日本人の義とコンプライアンス
【義】正義を貫くに素直にあれ
日本人らしさである「義」の心、正義。
これは私たちの行動規範とも言えます。
孔子が『論語』の中で著した、
「義を見てせざるは、勇なきなり」
(人の道として当然行うべき事と知りながら、
これを実行しないのは勇気がないということ)
との言葉は余りにも有名です。
この語の意は私利私欲に囚われず、
人として成すべき事を成すことです。
中国思想では、常に利と対比される概念です。
利己主義即ち、自己中心的な行動を取り、
他者の存在を二の次とする自ら利己的な
行為を行わない事であり、利他的な行為をする
ことを促す意味を持つことであると思います。
武士道での中心、克つ最も厳格な徳目は
この「義の精神」とされています。
「義」とは、打算や損得のない人としての
正しい道、即ち正義を指すものであり、
「義」から派生した言葉に大義・道義・節義・
忠義・仁義・信義・恩義・律義、更に義理・義務・
義憤・義侠・義士・義民・義挙などがある。
日本で武士と言われる古の人は、
この「義」を武士道精神の中心に据え、
これを踏み外した者は、卑怯者として
社会から糾弾の対象とされました。
「義」には「正しい行い」と同時に
「打算や損得から離れた」との意味が含まれ、
人間の根源的なエネルギーとされる欲望を
制御しなければなし得ないとの意があります。
現代人の多くが行動判断の基準としている
合理的精神は、突き詰めれば「どちらが得か」
と言う相対的な精神を意味しています。
それに対し武士道における「義」は、
普遍的な「良心の掟」に基づいた
絶対的価値観を基本とする、言わば
不合理の精神であり「義」を遂行するには
余程の自立心を養わなければならないとされました。
新渡戸稲造はその著『武士道』で、
武士道の基本は「フェア・プレイ」の精神と言い、
武士らしさの根源とは「義を貫く」と言うことで、
武士は、例え戦いに如何なる手段で勝っても、
不正な行為をして勝った者は賞賛されなかった。
「敵に塩を送る」との諺の元となったとされる
上杉謙信の有名なエピソードですが、
こうした話が美談として長年伝えられたのは、
裏を返せばこの様な侍が少なかったと考えられます。
武士道が「義」を最高の支柱に置いた
と言うことは言い換えれば、
そうした至難の「義」を追求する事により
精神の「美学」を求めたのではないでしょうか❓
生死をかけた戦いに望む際、全ての武士が
上杉謙信のようにフェア・プレイの精神を
守ったわけではないと思われます。
生きるか、死ぬかという場面に於いて、
例え卑怯者と蔑まれようとも勝ちたい
と思うのが人情であり、またいつの時代て
あったとしても、人の本能は美学よりも強く、
理想は現実の前に打ち砕かれるのが世の常です。
だからこそ、
武士道はそのことを十分知りながら、
その現実を超越する己の理想の指針として
武士の規律として厳しく求めました。
人間としての資質を問われる行為や発言をして
国民や市民からの信頼を失う人、
失職する人も年々増え続けています。
このような状況を打破するには、
私達ひとり一人の義の意識=コンプライアンスの
理解と自覚が必要である、と考えます。
誰もが日々進歩し続ける情報過多の社会環境で
仕事をし生活していると言う意識を以って
何事にも取り組まなければなりません。
と同時に現況に見合った和の国日本人
としての倫理的判断力を備え日々触合う
周りの人を思いやる気持ち、自らを守り
律する自制心が必要であると思われます。
また、東京2020オリンピックでは「調和」の精神
が提唱されたことは皆さんも記憶に新しいと思います。
これを機に今まで日本社会全体が目を向けて
来なかったジェンダーの取組みである
【男女平等の課題=ジェンダー】について
本気で真剣に向き合う時が来ていると思います。
日本の礼・義・和の精神は
コンプライアンスに大切な心と活動です。
コンプライアンス⇒「義」の心
この度の新型コロナウイルス感染症により、
社会全体に大きな不安が広まる中、
一部の国政を司る人や管理する人の個人重視
と思われる心無い方の身勝手な言行により、
益々、社会全体に不安や国政への不信を拡大する
残念な発言・行為が少なからず見られます。
また、昨今日本の社会で起きている、
一般組織(会社)・政治家・行政・スポーツ界で
コンプライアンス意識の認識不足が原因で
様々な問題や事件が鋳銭に増して多発しています。
このようなことは、国の予算に多大な影響を
及ぼす大きな社会問題となって来ています。
このようなことは、
対象と成る国民や組織・団体・会社で働いたり
活動したりする人々を第一に思い考える
思い遣る心=○○○ファーストの意識、
顧客(ファン)目線で思考する意識など、
相手を第一に意識し「思い遣る心」
(≒もてなす心)の欠如と職責の認識不足、
或いは自己保身や利己的な心を抑制する
コンプライアンスの理解と認識の欠如に
より生じることであると受け留めています。
極端に言えば、
「日本人の心」である【おもてなしの心】と
風土文化・国民性(特質=武士の義)の
素晴らしさとプライドの自覚不足に拠る
ことではないかとも私見で推測しております。
コンプライアンスは大きく捉えれば、
日本人の「義の心」であるとも言え、
Nippon人力でもあると捉えても良いと考えます。
■コンプライアンスの概要
※コンプライアンスは、
社会的立場・職責により異なります。
1.コンプライアンスの認識
職業人としての社会的な責任を自覚すると共に、
国の定めた法令、人として必要とされる最低限の
モラルや職場の規定、ルールを遵守し、誠実且つ
公正公明に職務を遂行する能力と取組姿勢を言う。
2.法令・諸規則(規定)の把握と認識
イ)企業・組織(店舗)の社会的責任について
把握し、認識をしている。
ロ)社内生活上で必要とされる法令及び
法定の知識を理解し、認識している
ハ)企業・組織(店舗)で定めた就業規則や諸ルール
及びコンプライアンスの遵守上で問題となり易い
関連法令の知識とその内容を熟知している。
ニ)職業人としての確りとしたプロ意識、社会的責任感、
職業に関する倫理意識を保有している。
ホ)経営理念、ビジョン・社是・モットー・社訓、
倫理憲章、行動様式規範等の内容を熟知している。
ヘ)企業活動全般に関する法的・倫理的問題についての
具体的事例を理解し、それが自社に及ぼす影響を理解している。
3.法令・諸規則(規定)の遵守
イ) 公の利益と企業の利益が相矛盾する際に、
企業倫理感の下、公正且つ適切な判断をしている。
ロ) 公私の区別(≒規律性)の適切な基準を保有し、
それを明確化した言動をしている。
ハ) 日常業務の遂行において法的或は、
倫理的な要素の問題に直面した際は、
上司同僚に積極的に相談したりするなどし、
より良い的確な解決策を模索している。
ニ) 日常の業務に関連する法定、又は倫理的な問題に
ついての具体的ケースについて自らの明確な見解・意見を保有している。
ホ) 社会道徳的に望ましいモラルや意識を有し、
その言動を率先して行い、日常業務上で経営理念、
ビジョン・社是・モットー・社訓、倫理憲章や行動規範を
自ら具現化している。
ヘ) 部下・後輩の倫理的な相談に対してアドバイスや
サポートをすると、共にその解決に向けて
一緒に考えるなどして取組んでいる。
チ) 営業上の不測の事態や事故災害に関しても
冷静沈着な現状分析に基づき、必要とされる
適切な問題解決力を保有し、実行している。
4.コンプライアンスマネジメント
イ)現在に至るまでに発生した問題の事例や
他社の出来事などについて、その要因や誘因となる
背景や構造を分析し、運営陣、主管部門と連携して、
担当部門の倫理規定や行動規範規定などの企画立案を行っている。
ロ)倫理規定や行動規範規定を現場への伝達及び指導の徹底など、
コンプライアンス・マネジメントの運営管理に関する
中心的役割を遂行し、役目を果たしている。
ハ)コンプライアンス・マネジメントの効力をあらゆる
観点から予測分析し、結果の評価をしている。
地球温暖化、少子高齢化社会に入った
現在の日本では、いつどこで起こるかもしれない
未曾有な自然災害や事態に備えるため、
また、年々増え続ける高齢者を支えるため、
国内で起きている様々な悲しい出来事や犯罪を
少なくするためにも、誰でも今から直ぐ出来る
「人と和し人との繋がり」を深めていく意識で
活動・言行するはことが必要だと思います。
近年頻繁に起きている自然災害、並びに
人としてあるまじき自己中で刹那的な
行為や犯罪の多発などの要因・起因・原因
それは、IТや個人主義が広まることと共に
日本の素晴らしさを軽視し、ビジュアル重視に
なっている社会への天から日本人への警鐘、
ではないか、と受け留めております。
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