新卒研修の内容と設計意図 ~人事マネージャーインタビュー|PHD IR note
今回は、当社のHR本部で主に新卒採用を担当するマネージャー、富永 朝美さんに、2024年の新卒研修の内容や考え方についてお話を伺ってきました。
このトピックスを取り上げた経緯としては、8月13日に当社 2024年12月期 第2四半期決算を発表し、その中で以下のような説明をしています。
こうした説明をするとしばしば「本当にアサインできているのか?」「新卒1年目のコンサルタントをアサインするのは顧客を軽視していないか?」などといった声をいただくことがあります(何も知らなければ、私もそう思います)。
一方、実態としては新卒社員でも半年・1年も経てば、大部分が顧客企業に対してしっかりと価値提供できていたり、お客様から高い評価をいただいていたりするような状況です。
そうした育成を実現している当社の研修について、内容と考え方を一部ご紹介できればと思い、今回このテーマをチョイスしました。
さて、前置きが長くなってしまいましたが今回お話を伺ったのは新卒採用を担当するマネージャーの富永朝美さんです。
― まず、富永さんのキャリアを簡単にお願いします
大学卒業後、新卒では大手電機メーカーに就職しましたが、業務に取り組む中で将来のキャリア選択幅の狭さなどを理由に2020年に当社に転職し、主にデジタルマーケティングの領域でコンサルタントとして様々な案件を経験しました。
2022年から採用担当マネージャーを務め、2024年からは人事領域も一部管掌しています。
新卒研修という文脈では、採用選考から入社時研修を経て事業サイドに配属されていくまで、人にもよりますが1~2年くらいの期間、新卒社員一人ひとりと向き合っていることになります。
― 2022年から採用担当とのことで、入口である採用時に重視することは何でしょうか
プロジェクトホールディングスグループの採用では、やはり考える力は大切にしたいので、いわゆる”地頭”は重視しています。
単に学歴で判断するというよりは、実際に面接の中でお話しする中での質問に対する回答の一貫性や論理性を見ていますね。
結果的に2023年以降の新卒社員について、大学別の入社人数・内定者数は下図のようになっており、チャレンジ文化・成長環境という当社の特徴から、幅広い大学の優秀層に当社を選んでいただけているかなと自負しています。
また、業務でシステム関連の知識が求められるため、入社までに「基本情報技術者」の資格取得を推奨しているのですが、それなりの難度がある中で約9割が入社までに取得するなど「インプット力」は強いメンバーが揃っている印象です。
― そうした人材に対する育成・立ち上げの全体像を簡単に教えてもらえますか
新卒社員の殆どが配属されるプロジェクトカンパニー社では、特定の業界や業種に対する深い知見・経験を提供するというよりは、顧客企業1社1社に入り込んで、その会社の事業を伸ばしていくことにコミットしています。
【編注】以下の過去note記事もご参照ください
そのため、スタートラインとしては現場に入り込んでプロジェクトを前に進めることが役割となり、ここでは推進力とスピードの勝負になってきます。
そうすると「ビジネス上の基礎体力」が極めて重要になると考えており、まず1つめにスキルセット、特にPCスキルやシステム関連の知識、そしてビジネスの基礎知識が主になります。
そしてもう1つ、実はスキルセットよりも大切だと考えているのがプロフェッショナルとしてのマインドセットです。
まずはこのあたりの考え方を、人事面談や希望制の入社前研修を通じて口酸っぱく伝えるようにしています。余談ですが、マインドセットの話をすると前のめりに、入社までにどういうインプットをしておくと良いかを相談してくれる人もいて、これはとても良いなと思っていますね。
そしてこれらとは少し別線で重視しているのが人間関係の構築です。
新卒全体を集めた懇親会を会社主催で開催したり、1代上の先輩新卒社員による1年目の振り返り座談会をしたりという中で、実際の上司以外にも社内で気軽に相談や雑談ができる人を作ってもらえるようにしています。
― 「ビジネス上の基礎体力」を重視とのことですが、具体的にはどのような研修内容なのでしょうか
大きな特徴としては、極めて実戦偏重であることですね。先述のように、インプットは元来得意な人材が集まってくれているので、書籍リストなどを渡しておくと勝手にインプットは進めてくれているように思います。
最初の実戦は、入社前に実施している希望制の研修になります。
ここではスマートフォンアプリの開発を模擬したプロジェクトを題材に、システム関連知識や資料作成のスキルに加え、プレゼンテーションでの振る舞いに対するフィードバックなどを通じてマインドセットについても学んでもらっています。
入社後には疑似プロジェクトを更に3つ、その後に先輩のプロジェクトについて、初めは低い稼働売上額ででも現場に入っていきます。
それらの中で、役員やマネージャーからフィードバックを通じて基礎体力をつけていってもらう格好です。
「基礎」と言っても身につけるのは簡単ではありませんから、マネージャーも地道にフィードバックを通じた育成を図っています。
― 想像以上に実戦形式でした。何か背景・意図があれば教えていただけますか
大きく2つあるかなと思います。
まずは、先ほどもあったように当社に入ってきてくれるのはインプット力に長け、向上心の強い人材がほとんどで、必要だと思えば自分で勉強してくれています。
そのような中では、あまり座学が多いのも無駄になってしまうので、当社に入ったからこそ経験できる研修、を意識している側面があります。
もう1つは少し大きな視点で、最近のビジネス環境では外部環境の変化が極めて激しく、数年先にも何が起こるか分からない世の中です。
実際、今の生成AIブームを予測していた人が、ポストコロナでは~などと盛んに言われていた3年前、どれだけ居たかという話ですね。
そのような中、机上で計画を緻密に作りこんでそれを正確に実行する、というプロセスではビジネスにおける競争に勝てなくなっています。
実際にやってみて、結果を最速でフィードバックして方向性を修正していくことが求められ、その中では実戦の「場数」がモノをいうはずだという考えに基づいて、とにかく実戦偏重を意図しています。
― よく分かりました。ちなみに今年の新卒社員の育成状況はいかがでしょうか
2023年度から新卒採用を本格化したため、2回目の新卒研修となりますが、昨年度の反省点なども踏まえてブラッシュアップした結果、順調に進んでいるのではないかと捉えています。
以下に、今年の新卒社員について、標準単価に対して実際の稼働売上額の割合を集計したトレンドを示します。
9月時点で80%超までプロジェクトへの有償アサインが進み、期末に96%を目標としている計画値に対しても超過達成できている状況です。
こうした数値を事業側でも注視しながら育成を進めた効果もありつつ、入社前からの地道な取り組みが奏功した部分が大きいかと考えています。
― 当社グループが一般の「経営コンサル」と少し違った土俵でサービス提供していること、そしてその土俵で成果を出せる人材を輩出するために、飛び道具は無いものの工夫をしながら取り組まれていることが大きいということですね。ありがとうございました!
編集: コーポレート本部 経営企画ユニット長 三科 朋大
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