オプチャでログラインコンテストをやってみた


 僕が加入しているLINEのオープンチャット「小説家になりたい」ですが、現在だいたい180人ほどが加入しています。

 雑談メインの緩いオプチャなんですが、たまに何か思いついた誰かが企画して、コンテストとかいろいろやります。

 僕は腰掛けのなんちゃって管理人ですので、だいたいの企画は思いついた人が仕切っているのですが、たまには自分でやってみることにしました。

 テーマは「ログライン」です。

 実はこれ、1行テーマや1行プロット、1行コンセプト等、出版社や業界などによって、さまざまな呼び名があります。
 広告業界で言うと、初期のAKB48の「会いに行けるアイドル」まわりのキャッチコピーなんかが有名でしょうか。

 呼び名は違いますが、目指すところはだいたい同じ。どこを推すかを明確にすることで、その後の動きに方向性を持たせることを目的としています。

 小説においても、ログラインは作品にシンプルな指針を与えることで、作品の根幹を常に意識することができるようになり、脱線しにくくなる効果があります。

 まさに最小のプロットと言っても過言ではありません。 

 さて、そんなログラインのコンテスト、オプチャ上の企画はどうなったでしょうか。まずは企画で参加者を募るところからです。

~オプチャ上の告知~

企画名称:
 第一回ログラインコンテスト

主催意図:
 脱線して面白さにつながらない文章を書いてしまうと、読者は冷めます。
 もっとも原始的なプロットであるログラインを作って、ストーリーの脱線を防ごう。
※ログラインとは?
 小説の根幹部分である面白さを定義するもの。1行プロットともいう。
 作者自身、または読者に対する公約として機能する。
 基本的には、読者を惹きつけるフックを含む5w1h(省略可)で構成される。
 目に触れやすい代表的なログラインは、新聞のテレビ欄や、なろうの長文タイトル。
 詳しくは検索だー!
例 : 教室で亡くなって異世界転生した少年が、教科書の知識を使って成り上がる。(35文字)

内容:
 このノートのコメント欄に、60文字以内でログラインを投稿。
 最後にカッコ書きで文字数を明記
 読者を意識して見どころを表現しよう。
 ※一人3作まで。

投稿期間:
 10月4日〜10月11日

投票方法:
 投稿ログライン数5作につき一人一票(端数切り捨て)
 ただし、自作への投票は不可
 投票は「イイね」で行ってください。
 例 : 投稿18作=一人三票

投票期間:
 10月12日〜10月16日

一言:
 盛り上がったらnoteで記事書くかも。
 投稿する人はあらかじめ承諾したものとみなします。
※つまり、誰かにパクられる恐れがあるので、本気で書こうと思ってるの出さないでね

 こんな感じですね。その後投稿期間は一週間とり、結果的に13人、28作のログラインが集まりました。そこから4日間の投票期間をとった結果がこちらです。

 僕の独断と偏見に満ちた講評とともにどうぞ~


4位 4票 大臣さん
夭折した天才監督の作りかけの映画を、スネに傷を抱えまくった元メンバー達が完成させる物語(43)

~勝手に講評~
 大臣さんの専門分野は小説の他に、映画、宇宙、将棋、優男、ショタ等あります(hisa調べ)。うまく自分の専門分野を生かしたプロットと言えるでしょう。
 目を閉じると、メンバー同士が衝突したり、やけぼっくいに火がついたり、お笑いのネタ的にすれ違ったり、「まくった」という言葉の選び方に、軽妙な展開が浮かびます。
 大臣さんのいつもの作品とは逆に、わざとらしいぐらいコミカルにできれば、小説家になろうのヒューマンドラマとかで通用するかも?
 あ、でも何かテーマ性を感じるので、このログラインとは別に、もう1テーマ伏せておきたいところ。


同率3位 5票 いらいちさん
暗殺者兼王子の護衛役として育った俺だけど王子が死んでしまって目的がなくなったので辺境の村で農業はじめました(53文字)

~勝手に講評~
 句読点! と叫びたくなる僕はもう古いでしょうか? 
 非常にスタンダードなファンタジー系開拓モノの香りがしますね。
 いらいちさんの持ち味は、兄妹姉妹の掛け合いのうまさと、感情移入しやすい文体ですので、「ああ、田舎暮らししたいぜ」という読者の夢を育む、主人公を追いかけてきた妹系ヒロインに尻に惹かれながら、ほのぼのピリリな生活が浮かびます。
 戦闘シーンなんかいりませんぜ。さくっと一方的に殺っちまいましょう。


同率3位 5票 あませさん
異世界召喚斡旋課〜今日も私はクライアントに謝罪回り。自分勝手な勇者どもを叩き直しに東奔西走〜(46文字)

~勝手に講評~
 あませさんは古くからのオプチャメンバーで、古参のメンバーからは『しゃちょー』と呼ばれています。その観点からみると、『社長』らしいログラインですね。
 普段から社員に振り回されているんでしょうか?
 ログラインからは、異世界召喚した勇者を派遣するけど、派遣先で世間知らずな勇者がワガママ放題して、主人公に殴られているイメージが浮かびます。
 イメージが浮かぶということは、世界観はちゃんと構築できています。きっとブレない小説ができあがるはず。
 執筆を~~~!


同率2位 6票 ルギトさん
「猫よ、なぜお前は猫なの?」とか飼い猫に言ったら「猫だからです」って返された瞬間から世界中の動物が喋りだした話(55文字)

~勝手に講評~
 ルギトさん。異世界転生の香りがするベールに包まれた作家さん。多分作品を読んだことはない気がする。
 ログラインに関しては、これを机に貼って執筆の指針にすると言われると僕には難しい気がしますが、それでもここまで票を集めたのは素晴らしい。シチュエーションとキーワードのチョイスがうまいんでしょうね。
 ログラインというより、「話」を削ってタイトルにしたら動物好きの読者をフックできるのかも。
 僕の予想を超えてきた作品でした。


同率2位 6票 いらいちさん
香りを味で感じる香水店の店長と感情に匂いを感じるバイトの大学生がお客の悩みを香りで解決する香水ミステリー(52文字)

~勝手に講評~
 いらいちさん二つ目のランクイン。そしてプロットは異能系ですな。
 小説の描写は視覚と聴覚に偏りがちなので、たまに匂い、味、触感等を織り交ぜると、新鮮な共感があったりしますが、それをログラインレベルでやってる感じですかね?なかなか勉強になります。
 シーンとしては、ストーカーの残り香を蛇のようにペロペロする店長と、戸惑う依頼人の感情を嗅いで顔をしかめるバイト君の姿がうかびましたね~。
 あと句読点っ!!


1位 7票 竜造寺さん
皆が異世界に転移、転生しているのに僕だけが地球に取り残された。(31文字)

~勝手に講評~
 竜造寺さん。竜を作っているお寺の住職というペンネームですが、本当にいっつも竜(イヤホンのケーブル)ばっか作っています。この真性のオーディオマニアめ。執筆をするのじゃ!!
 なお、古株からはイヤホンさんと呼ばれています。
 あ、ログラインの話でしたね。既存のパターンの裏返しで面白そうですね~。既存のものは自分だけが転生転移、クラスで転生転移、クラスで一人残る、国ごと召喚、星ごと転移なんかはありますが、逆パターンは新しい。
 あれ? でも一人しかいないとなると、恋愛要素使えない? と思いましたが、異世界の住人がこちらに来たら行けますね。
「な!? 魔法が使えないだと!?」
 というシーンが浮かびました。主人公は地球製の機械が扱えるので無双できるし、良いっすねー。


 というわけで、講評でした。今回の企画の狙いは、ログラインの重要性を意識することが第一ですが、ログラインだけでも得票数がばらけることを知ってほしかったのです。

 たった60文字弱でも、票が割れます。つまり、短くても読者に響く文章と響かない文章があるということ。

 短いログラインで面白い話としてレールを敷き、そこから脱線しないように走る。

 読み続けてもらうために、最初のネタだし段階からログラインを活用してみませんか?


~ちなみに著者の成績~

おでこに3本皺がある御津目 徹が、使い捨てコンタクトレンズが毎回3つずつなくなる理由に気づく物語(47文字) 1票

多くの人が信じれば実現する。法則が変わってしまった世界で、お金に対する信仰を力にする元詐欺師が、怪奇事件を解決する話(58文字) 1票

人と人との間に誤解があると、火薬の匂いを嗅ぎ取ってしまう仲直り屋が、世の誤解を解きほぐして仲直りさせる話(53文字) 1票


 もう泣いていいですかね? 主催者だったのにダメダメでした。でも、1票ずつは入っているということで、投票してくれた方、ありがとうございました~。