「小説家になろう」における読者獲得法 その2
文章でご飯を食べて行こうと思う人にとって、多くの人に読まれることは至上命題の一つです。
読まれないとモチベーションが維持できない人、読まれなくてもモチベーションを維持できる人はいると思いますが、読者にまったく読まれないのに文章でお金を稼げる人はいません。
読まれる文章を書けるようになること。極論してしまうと、そこに至れるのであれば、アプローチの方法は問題ではありません。
自分の価値を信じ、他人を変えられると信じて文章を書くのは、それはそれで一つの道ではありますが、興味すら持っていない人を文章で変えるというのは至難の技です。多分、それだけやっていたのでは文章を開いてさえもらえないでしょう。
読まれるためには、まず「興味」を持ってもらわなければなりません。
今回取り扱うのは「小説家になろう」における表面的な読者獲得方法だけですが、本文内においても「興味を引くための仕掛け」を多数用意しないと、読者はついてきません。これは公募の下読みでも同様でしょう。
(自分にもブーメランが刺さって痛いです……)
本文を面白くするのは作者である皆さんの仕事です。本文が面白くないと、固定読者がつかないので、そこは何とかがんばってください。
そんなわけで、2回目の今回も、読者にただ開いてもらうためのテクニックと、固定読者が獲得できているかの確認法をご紹介します。
【一回目を読んでない方はコチラもどうぞ】 https://note.com/project_hisa/n/n5f1b0f39542f
Lv4 外部ランキングに掲載されよう
「小説家になろう」へ最初に投稿を開始する場合、最初の段階では表紙の更新欄と「もっと見る」から浅い部分にいて目に触れること(Lv1参照)と、タイトルやあらすじで興味を持ってもらう(Lv2参照)という二つしかルートがありません。
しかし実は、「小説家になろう」になろうとはまったく別に運営されている、外部ランキングという読者流入ルートが存在します。Lv1とLv2をうまく乗り越える事ができれば、次に視野に入ってくるのがこの外部ランキングということになります。
この外部ランキング、それぞれのサイトの管理人が「小説家になろう」の運営が提供しているAPIなどで情報を自動収集し、本家とは違う切り口で作品をランキングしたものになります。
たくさんあるので、僕が馴染んだものだけご紹介しましょう。
本家ランキングにはない、弱小作品のランキングが特徴で、例えば「期待の小説日間ランキング」で言うと、書籍化されていない作家さんのブックマーク数100以下の作品からのランキングされたものが掲載されます。
昔自作で「期待の小説日間ランキング」で数日間1位なったことがありますが、初回掲載でPVなら3,000以上、ポイントなら200以上入りました。
このブーストは、本家の日間ランキングに挑戦するための足がかかりとしては、非常に大きな力になります。
こちらのサイトも有名どころです。現代的なデザインが良い感じですが、作者的に注目するのは「注目の新作ランキング」です。
こちらは、掲載開始後一週間以内の作品から、ポイント数でランキングしたもののようです。
ちょこちょこ観察していますが、ランキング上位に行く人は、最初からこのランキングに入ってることが多いみたいですね。(ここに入ったからと言って、上位に行けるわけではないようですが)
なろうRawi(AIランキング)
こちらのサイトは目下台頭中のサイトで、管理人が分析の末に書籍化に成功したことで、それに続く人が徐々に出始めています。
注目するのは、「AIランキング」です。ポイントは関係なく、タイトルやあらすじを自動採点しています。ここに掲載された作品がどのような経過をたどっているかは記録不足でわかりません。
また、スコッパーの利用者がいるかどうかもわかりませんが、読者の流入ルートとして今後要注目のランキングです。
さて、外部ランキングを3つほど紹介しましたが、今回の記事上注目すべきは「sinoobi.com」と「なろうファンDB」のランキングです。
この2つに掲載されるためには、大量に読まれる前の最初の一週間が非常に重要になります。
この期間で濃密に読者を獲得できないと、その作品で次の展開を呼び寄せることは難しくなります。
じゃあどうすべきか。おすすめは、連載開始前に書き溜めておくことです。
初日は最初の物語の区切りまでLv1のテクニックを考慮しつつ連続で投稿して、何度もトップページに掲載されることで勢いよく読者を獲得し、その後も1日1本以上掲載して読者を集めることができれば、外部ランキングに掲載されることは不可能ではありません(本文が面白い事と、Lv2がちゃんと出来ていることが前提となります)
ここをうまくこなせれば、本家の日間ランキングが視野に入ってきます。日間ランキングに載れば、外部ランキング以上の読者流入ルートを確保できるようになります。
Lv5 読者離れを食い止めよう
読者さんにはそれぞれ好みがあります。面白い、楽しい、キュンキュンする、現実逃避できる、考えさせられる。読む動機は様々ありますが、その好みから外れれば読者さんは容赦なく読むのをやめます。
例えばこれまで30話まで書いて来て、30話がこれまでで一番面白い!という状況だったとして、5話で読むのをやめてしまった人は30話は読んでくれないわけです。
30話の作品に10人の読者が来た場合、理論上全部読んだらpvは300になるはずですが、実際にはそれよりかなり少なくなります。
例を見てみましょう。
※グラフはExcelで作成しています。
うまくいっているとは言い難い自作の作品ですが、1話の読者数と37話の読者数を比較すると、最後まで読んでくれた読者は16.7%になります。カクヨムにも掲載されているので、現在の自作の固定読者は250人といったところでしょうか。
つまり、読者さんは途中で読むのをやめるか、最新話まで追いかけて読むのをやめるかしているわけです。
読者がどこで読むのをやめているか。それを把握して原因を究明しないと、上には進めません。
(ちなみに以前書いていた作品の読破率は25%程度で、その作品の問題点を分析して書いた作品が今作ですが、残念ながら今作は前作を上回れていません)
ちなみに、そのための分析ツールとして、「なろうPVグラフ化メーカー」は非常に便利です。
ちなみに著者はLv4については前作でかなり上手く行き、経験がありますが、Lv5については今のところ成功していません。
読者がなぜ離れるのか、僕はまだ分析しきれていません。
もちろん、読まれているにも関わらず思ったようにポイントを入れてくれないのはなぜなのかも判然としません。
なろうで計測したところ、僕の作品には最新話を追いかけてくれる200人弱の固定読者さんたちがいるようなのですが、ブックマークしてくれているのは100人弱、評価してくれているのは19人です。
つまり10%程度ということになるのですが、人気作になると20%や30%はザラに行きます。
読んでもらえるようになってPVの壁を越えたら、次はポイントの壁が立ちふさがるわけです。
ここまで来て、ようやく内容が劇的に面白いかどうかの勝負になります。
小説において、広報活動と内容の面白さは両輪です。どちらが欠けても前には進めません。
ネット上では、外部ランキングの次なるキラーコンテンツになるかもしれないレビューサイトが胎動しています。今後、読者獲得方法が大きく変わるかもしれません。
僕らはこれからも、いろいろと知識や経験を積んでいかねばなりませんねぇ……