小説家として生きるための7ステップ
Lv1 日本語を読み書きできるようになろう!
当然の話ではありますが、日本人向けの小説は日本語でできています。
ですから、日本語がきちんと書けないと伝わりません。また、自分の書いた文章をチェックしたり、他の作者の技術を盗んだり、助言を受けたりするためには、きちんと読めなければなりません。
書き始めたばかりの場合、主語が抜けたままになったり、指示語が宙に浮いたまま進行したりして、読者を置き去りにしている作者を見かけます。
読み書きはすべての基礎になりますので、甘く見て日本語をきちんと習得しないまま小説を書くと、誰も理解できない作品になりかねません。注意しましょう。
Lv2 表現力を磨こう!
小説は、表現の一種です。小説を書くというのは、自分の中の世界を相手に伝える事に他なりません。
しかし、ビギナーの文章は、なまじ自分がイメージできているためにいろいろな描写を省略してしまいがちです。書くのがうまければ、もしくはしばらくその小説を読んでいれば省略してもかまいませんが、読者はあなたの脳内をのぞけません。まずはしっかり描写することを意識しましょう。
描写の種類は、ざっくり次の通りです。
・情景描写
→登場人物の外観、場所、景色等の描写
・心理描写
→登場人物の心の動きや印象の描写
・動作描写
→登場する人やモノの動きの描写
・会話描写
→登場人物の会話の描写
書いてすぐに読み返すと、書いた時のイメージが脳内に残って、描写が足りない事に気づけない事が多くあります。しばらくたって、書いた内容を忘れた頃になると気づくことができるようになりますので、昔の自分の作品を読み直してのたうち回るのも良い経験かもしれません。
Lv3 ストーリーを計算しよう!
小説を無作為に書きたいように書いて、読者を楽しませることができる作者は実は稀です。書き進めるうちに、簡単にストーリーが矛盾したり、脱線して狙い通りの着地点に辿りつけなくなることは珍しいことではありません。
ではどうするのか?実践者が多いやり方は「プロットを作る」という方法でしょう。
「プロット」というのは、簡単に言うと小説の設計図とも言うべきもので、だいたいの場合は書き始める前に作ります。
プロットを作る目的は、極論すれば矛盾や無駄な脱線を予防して、読みやすい作品にしていくことなんですが、実はこれ、かなりの曲者です。なにせいくつもの方法論が乱立していて、読む本、聞く人ごとに全く違う答えがあります。
起承転結を意識して緻密に積み上げていく作者。感情を叩きつけることで読者を揺さぶろうとする作者。脳裏に浮かんだイカすシーンに向けてストーリーを組み立てる作者。いろんなタイプの作者がいるので、プロットの作り方も唯一の正解は存在しないと思われます。(それどころかプロットを作らずに制御できる猛者もいるとかいないとか…)
小説は楽しんでもらえれば正義という単純な世界で、楽しんでもらうための道程は無数に存在するので、自分なりにストーリー制御する方法を見つけましょう。
Lv4 読者の反応を逆算しよう!
演劇やドラマには、『演出家』という役割があります。視聴者を泣かせたいからムーディーにする、笑わせたいから軽快にするといった、シーンを盛り上げるための演出をする役割の人たちです。
つまり、演劇やドラマのすべてのシーンには視聴者にこう反応して欲しいという目標があり、その目標に沿って演出がなされるわけです。
もしも、そういう目標がまったくないシーンがずっと続くドラマを見たとしたら、きっとつまらないのではないかと思います。
ちなみに、小説は作者が一人ですべて書くので、そういった役割分担がありません。そのため、ビギナー作者は読者がどう反応したら良いかわからないシーンを延々と読ませてしまう傾向があります。
泣かせる、笑わせる、キュンキュンさせる、考えさせる。何でもかまいませんが、書くシーンは目標に沿って演出する意識を持つようにしましょう。メリハリは大事です。
Lv5 見ず知らずの読者に読んでもらおう!
素人が小説家になるためには、「小説投稿サイトで注目される」、「公募に応募する」という二つの方法がありますが、そのどちらもきちんと読んでもらえるよう工夫する必要があります。
小説投稿サイトを活用する場合は、ライバルが多く、読者に知ってもらえるタイミングが非常に少なくなっています。そのため、「タイトルで興味をもってもらい、クリックしてもらう」がまず一つ目の壁、「あらすじを読んで読み始めてもらう」が二つ目の壁、「最初の数話で気に入ってもらう」という三つ目の壁まで超えて、ようやくスタートラインです。
その後、ようやく内容で勝負できる段階に入れるのですが、その段階に辿り着くためには最初の三枚の壁を超えるための研究が必須でしょう。
公募などのコンテストで賞を取ってデビューを狙う場合も、何段階かの審査を突破する必要があります。
コンテストによって多少違うとは思いますが、最初に応募要項をきちんと守っているかが審査され、次に下読みさんが読んで審査基準に到達していない作品がふるい落されます。
そうして残った審査に値する作品を編集者等が読んで、審査員が読むに値する作品に絞り込んだ上で最終審査が行われます。
例えば、京アニの放火犯や一次審査も通らずに逆恨みして編集部を脅迫した容疑者は、応募要項すら守れずに落とされているそうですので、土俵に乗るためには応募要項を熟読する必要があります。「このくらい良いだろう」と応募要項を守らなかった場合、余程の例外措置がなければ救済はありません。
また、下読みの方や審査員の証言を分析すると、応募に添付する『あらすじ』を読めば作者の実力がある程度わかるという人が散見されます。裏を返せば、『あらすじ』が面白くなければ真面目に読まれない可能性があります。『あらすじ』は絶対に手を抜かないようにしましょう。
『見ず知らずの読者に読んでもらう』というのが、実はかなり高いハードルであることがお分かりいただけたでしょうか?
このあたり、実は小説を書く能力とは別の能力なのかもしれませんね。
Lv6 ヒット作を出そう!
Lv5を超えて、投稿サイトの中で頭角を表したり、公募で受賞したりすると、いよいよ書籍化が視野に入ってきます。
書籍化する出版社によっては、そもそも契約してくれなかったり、契約内容が一方的になったりするケースがあるので気をつける必要があります。さらに、場合によっては書店への営業が不十分で書店に置いてもらえない等、そもそも問題のある出版社なども世の中的にはあるそうです。
そもそも論になってしまうので、そこらへんは省略するとして、力のある出版社から書籍化してもらえる場合でも、その作品が売れなかったら出版社との縁も長続きしません。
3冊以内にヒットが出なけば見捨てられる、なんて噂もあるほどです。
この段階ではまだ専業にはなれません。血迷って飯の種を捨てたら、出版社から見捨てられた際に路頭に迷うので注意しましょう。
(まぁ、EPUB形式で同人誌的小説をAmazonやKOBOで売れば、多少の収入は期待できるやもしれませんが…)
Lv7 メガヒット作を出そう!
コミック化、アニメ化、映画化等して、その相乗効果でメガヒットが出れば、いよいよ専業の道が開けます。
この辺りまで行ければ、脚本家やシナリオライター、ゴーストライター等にジョブチェンジすることも可能になって来ます。
ここまでくれば印税もがっぽがっぽで、生活も楽になるんでしょうね。うらやましい。どうやったらここに辿りつけるんでしょうね?
と言うわけで、3000字を超えてきたようなので、本日はこの辺で。各段階の細かい話は、それだけで結構な文字数になりそうなので、また別の機会に書かせていただきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
お疲れ様でした(*^▽^*)