理想の執筆アドバイザーを妄想してみる1

 少し前に、『なぜ小説の創作論はすれ違うのか?』という記事を書いたのだが、それを読んだフォロワーのつこさんさんに「なろうのエッセイに転載したらランキングに載れるよ?」と予言された。

 カクヨムではランキングに常駐できるようになってきたが、なろうでは一瞬しかランキングに入れていない僕としては、ランキングという言葉はすこぶる魅力的な言葉なのである。

 抗い難い誘惑に負けて、早速転載してみると、なんとエッセイの日間ランキング4位に1日半ほど居座ることができた。

 ところが、である。記事の意図としては、創作論が炎上する要因として、創作者が作品を作る際の動機や目的、目指すゴールの違いなどを表現したくて作者の傾向分析をした。だが、大半の人が自分の傾向を分析し始めた。

 そういう意図で書いたのではない。が、そういう感想がちょこちょこついて、それに返事を書いているうちに閃いた。

 作者の傾向に合わせて、熟読してアドバイスするアドバイザーがいたら、繁盛するのではなかろうかと。

 と、いうわけで、以前の記事でお話した作者タイプの傾向分析をどのように作っていったかから紹介していこう。昔懐かしボキャ天方式、もといマトリックス図で分析してみたい。

作者タイプ分析

創作者分析マトリックス

 我ながらステレオタイプな分析だが、横軸が読者を重視しているかどうかである。低ければ読者の存在や個性は意識しておらず、高ければ読者を意識していて、どうしたらターゲット読者に読まれるなどを、常に考えている。
 縦軸は作者自身を重視しているかである。低ければ、自分の存在や個性を意識しておらず、高ければ自分を強く意識している。

 ここから作者を5つのタイプに分けたものが作者のタイプになる。執筆アドバイスを行う場合は、相手の現在のタイプと、目指しているタイプを把握することから始めると良いだろう。

①絶対書籍化タイプ
 →創作の目的は書籍化
 →読者の需要がある小説を書くことを優先する
 →広報手法は流行のものを採用する
  ※最初からタイトルが長い等
 →伝えるために文章はとにかくわかりやすくする
 →アドバイスは、具体的にすると受け入れやすい
 ★需要重視でプロになりやすい
 ★求められる作品をサラッと書ける
 ★業界で生き残っているエンタメ作家さんに多くいる

②自己実現追及タイプ
 →創作の目的は自己実現
 →書きたいものの中から需要がありそうなものを書く
 →広報手法を試行錯誤する
  ※短文タイトルから長文タイトルに変更する等
 →伝えるために文章をわかりやすくする
 ★ランキング上位、兼業エンタメ作家さんに割といる
 ★書きたくない作品は書けない
 ★組織創作の歯車になるのは苦手

③自己陶酔自爆タイプ
 →創作の目的は賞賛を集めること
 →自分が何のために書いているか自覚していない
 →自分のやり方に固執し、既存の知識を否定する
 →アクセス数や評価至上主義
 →賞賛を受けられないのは環境のせい
 ★非常に攻撃的
 ★自分と他人との違いが理解できない
 ★炎上を楽しめる

④精神世界潜航タイプ
 →創作の目的は内面の重圧を吐き出すこと
 →とにかく自分の書きたいものを書く
 →需要はニッチだが、読まれないと病む
 →文章にこだわり、芸術的な方向を追い求める
 →アドバイスは抽象的な方が好まれる
 ★文学指向強め
 ★タイトルは短め
 ★自己肯定感が低い
 ★世の中に対し、強い理不尽を感じている

⑤性癖趣味人タイプ
 →創作の目的は性癖の実現
 →自分が好きなものを書く
 →同好の士が多く、本人は意識していないが需要も高い
 →アクセス数を気にしない
 →文章はあまり深く考えていないが、なぜかハイレベル
 ★性癖指向強め
 ★得体の知れない化物が潜む
 ★大当たりすることがあるが、2発目は難しい
 ★そもそも創作論に興味がない


アドバイス方針

 さて、アドバイスする相手のタイプの分析が終わったら、次は作品を読んでアドバイスしていくことになる。まずは現在の相手のタイプに沿って、地雷のないアドバイスをして信頼関係を作っていかなければならない。
 いきなり核心を突こうとしても、気づきが積み重なっていない状態では難しく、もし突けたとしても相手に受け入れ準備はできていないので注意が必要だ。

①絶対書籍化タイプに対するアドバイス
 基本的に哲学的なアドバイスは通じない。アドバイスは具体的なレベルに言語化しておく必要があるだろう。
 広告業界のテクニックや読者の傾向分析、流行の変遷、場面演出などの創作論が刺さりやすい。根拠がきちんとしていれば、設定やテーマについての指摘も受け入れる余地があるので踏み込んでOK。
 ただし、読者に媚びすぎ、なんで広報まで自力でやらないといけないか等は地雷。言えばソッと切り捨てられる。

②自己実現追及タイプ
 
作者自身が読者に何を伝えたいかが最も重要なポイントとなる。
 必ず作者に何を伝えたいかを確認してから、アドバイスを行う必要があるだろう。
 読まれるためのテクニックについては、絶対書籍化タイプ同様興味を持つが、自分のこだわりを捨てるテクニックを採用することには強い抵抗を覚えがち。
 作者の伝えたいことや、主義主張に繋がる部分に意見してしまうと、心のシャッターが降りてしまうので注意が必要だ。

③自己陶酔自爆タイプ
 読者、つまりアドバイザー自体を重視しておらず、自分の意見に固執しているので、アドバイス自体が無益。どんなアドバイスをしても、反発を感じられてしまうので注意が必要だ。
 唯一の抜け道は賞賛をおくることだが、やりすぎると依存されてしまう。
 極論すると関わらないのが吉だが、ごくまれに絶対書籍化タイプに進化する人がいる。
 適度な距離をあけて、観察だけに留めるべし。

④精神世界潜航タイプ
 抽象的、哲学的なアドバイスを好む。
 なぜか自己肯定感が低い場合が多いため、強い表現でアドバイスをすると際限なく凹んでしまうので注意が必要だ。
 アドバイスは、共感などを軸に読者を意識させる方向に積み重ねていくのが良いだろう。
 なお、小説を芸術と考えており、読ませるためのテクニックには強い抵抗感があるので、その話題は避けたほうが無難かもしれない。

⑤性癖趣味人タイプ
 市場にないものを、性癖のために自力で創作しているケースが多く、性癖に対する共感が何よりのご馳走。
 創作論は広く浅く把握しているが、さほど熱心なわけではない。アドバイスする際は、性癖から掘り下げていく形が理想的だろう。
 性癖の解釈を誤ると、逆鱗に触れてしまうおそれがあるので、注意が必要だ。


 さて、夜も更けてきたので今日はこの辺で。

 妄想なのでまだ書けるけど、眠くなってきた……