第二回タイトルガチャコンテスト結果発表
皆様、お待たせしました。第二回タイトルガチャコンテストの結果集計作業が終了しました。
今回は14作品の応募がありました。応募していただいた皆さま、ありがとうございます。
また、タイトルを提供し、タイトルを評価する指標を与えてくださった『なろうRaWi』さんの開発者のお二人にも感謝を申し上げます。こんなにハッキリ違いが出るのは、正直驚きです。
さらに、舞台としたオープンチャットの管理人さん、副管理人さんたちからはコンテスト運営に当たって、多大な協力と助言をいただきました。ありがとうございます。
加えて、オープンチャット上では活発で建設的な議論も飛び交っていました。議論に参加してくださった皆さま、ありがとうございます。これからも共に高みを目指しましょう!
結果発表
では早速上位三位の発表です!
1位
捨てられた令嬢は、復讐のために隣国の公爵に嫁ぎました
水空 葵さんの作品です。
タイトルをログラインとしてうまく活用し、圧倒的な読みやすさと展開の安心感、そして読者の期待に寄り添う良作でした。
数字的な分析としては、5日間でのユニークアクセスもこのコンテストで一位になれるほど高く、初日からランキングにも入っていましたが、本当のピークはそれ以降にやってくるという大物作品の動きをしていました。こういうの、ロングテールというんでしたっけ?
とても理想的な打ち上げを見せていただきました。
ちなみに、水空さんはコンテスト以外の作品も良いので、これはいずれプロになりそう……。今後の活躍も期待してます!
1位おめでとうございました!
2位
鱗好きの公爵令嬢は、幼なじみの無愛想な婚約者よりドラゴンがお好き
緋村 燐さんの作品です。
実は世の中には爬虫類のヒンヤリ感が好きな人がたくさんいるけど、「モフモフ」ほどには普及していません。そういう意味ですごく攻めたタイトルで、結末的にはドンデン返しもあり、全体的に挑戦的な作品でした。
数字的な分析としては、読破率の高さが圧倒的なことに驚きました。実はこの作品、3話構成なのですが、読破率が5日目の段階でほぼ100%。つまり読み始めた人はほぼ全員最後まで読んでいるということです。
これ、めっちゃすごいことなんですが、僕らのような分析勢でないとどうすごいのか伝わらないのがもどかしいところ。伝われ!
3位
陰険な公爵閣下との婚約を解消するつもりが何故か猫を飼っていた
納戸丁字さんの作品です。
タイトルとしては読者の疑問を誘発するタイプで、「婚約を解消」と「猫を飼う」の因果関係の違和感から、クリックへと導く流れになっています。その後開かれるあらすじから本文への誘導もスムーズで、かなりの研究がうかがえます。
数字的な分析としては、2位同様の読破率が5日目の段階でほぼ100%。2作品並ぶとますますすごく見えないけど、これめっちゃすごいんです。
オープンチャットでご一緒させていただいてますが、周囲の参加者から真綿のように知識を吸い込んでの急成長。正直ビビってます。これからどこまで行くか楽しみ!
結果はいかがだったでしょうか?
小説の投稿は、コツコツと地味な作業が続きます。
文章を磨き、書き方を研究し、面白い題材を見つけて、プロットを立て、本文を書く。
それを乗り越えて、作品を投稿しても、読者に見つけてもらえないことはよくあります。
WEB小説の世界は、面白い作品を書くだけで自動的に読者に届くほど甘くはありません。読者は無限に読めるわけではないからです。
だから、面白い小説を書く能力を磨くことはもちろんのこと、読者に選んでもらうための方策も考えなければなりません。
でなければ、せっかく書いた面白い小説も、読者の目に触れないまま終わってしまいます。
何を目的に創作するかは人それぞれですが、何を目的にするにせよ、どうせなら読まれたいですよね~。
今回入賞された方々は、タイトルで十分読者を集めうるということを証明してくれました。
さらにランキングに入れているということは、読者がちゃんと作品の内容を理解し、好意的に評価してもらえているという証拠でもあります。
つまり、同様の要素をそろえることができれば、読まれるまでの段階は高い確率で再現できるということです。そしてそれは、もっと面白い中身を用意できれば、一気に駆け上がることができるということでもあります。
書籍化の壁は、もう手が届くところにあるはず。皆さん頑張ってください。
各種データ比較(第一回→第二回)
第一回と今回の違いは、AI評価が高いタイトルに限定されて執筆されていることです。その違いは、結果の違いに顕著につながりましたので、そこを考慮しつつご覧ください。
作品数
17作品 → 14作品
※前回は夏休みに開催されましたが、今回は春休みだったことが応募作品数の影響した可能性があります。
獲得ユニークアクセス数(5日間)中央値
551UA → 1,889UA
※中央値は、全体の中央の値で、平均とは異なります。
※今回の場合は、全体のアクセス数の底上げを示しています。
獲得ユニークアクセス数(5日間)平均値
8,094UA → 3,257UA
※平均は全体のUAを合計し、作品数で割り戻すことで得られます。
※第一回については、書籍化まで至った作品が平均を引き上げていました。
獲得総合ポイント数(5日間)中央値
32pt → 311pt
※中央値は、全体の中央の値で、平均とは異なります。
※今回の場合は、全体の総合ポイントの底上げを示しています。
獲得総合ポイント数(5日間)平均値
1,080pt → 466pt
※平均は全体のポイントを合計し、作品数で割り戻すことで得られます。
※第一回については、書籍化まで至った作品が平均を引き上げていました。
日間総合ランキングイン率(5日以内)
29.4% → 71.4%
※今回AI評価が高いタイトルを厳選したことで、ポイントに与える影響が可視化されたものと考えられます
分析所感
小説投稿サイトで作品を読んでもらうためには、サイト構造を分析し、読者を獲得するステップごとに対策を行っていく必要があります。
今回のコンテストではその過程を四段階にわけ、苦戦しがちな読者に『興味をもってもらう』部分に特化してブーストをかけられるよう様々な工夫をこらしました。
【参考記事】
興味をもってもらう上で一番重要なのは、自作で最初に読者の目に触れる部分、つまりタイトルです。
だから、このコンテストは第一回同様、『なろうRaWi』のタイトルガチャで出たタイトルから、逆算して小説を書くという方式で行いました。
第一回と大きく違うのは、タイトルガチャで出たタイトルを運営側で書きやすいよう手を加え、AI評価でAかSになったもののみ、オープンチャット上で公開したことでしょうか。(ハイファンタジーやローファンタジー等はAやSが出にくかったためEXまで許容していましたが、応募作品はありませんでした)
結果として、AI評価Bが多かった前回より高いランクイン率が観測されたため、長文タイトルにおいてAI評価の有用性は高いものと考えられます。
また、各作品のユニークアクセスの増加過程を細かく観察した結果、PVの二日目以降の伸びは、ランキングに入れるかどうかにかかっていることがより鮮明になりました。
当たり前ですが、ランキングの掲載基準はPVではなくポイントです。見てもらえるだけで自動で増えるユニークアクセス数と違い、ポイントは読者に手動で入れてもらう必要があります。しかし今回、内容が面白いにもかかわらず、このハードルが超えられなかった作品も多くありました。
おかげさまで、これまで僕は「読み続けてもらう」というのがWEB小説の最終ステップだと考えていましたが、その次に「読み終わってから評価をもらう」という第5のステップが存在することに気がつけました。
考えてみれば当たり前で、僕も意識はしていたはずなのですが、一連の流れの中でこの部分に対策が必要だと再発見できたのは、目から鱗案件でした。これだから主催者はやめられませんね。
今回もいろいろと勉強になることがたくさんあって楽しかったです。
【オマケ】「小説家になろう」ランキングへの掲載の流れ
トップページ上の「完結済み連載作品」欄または「新着の短編作品」欄(「もっと見る」部分含む)へ掲載
※どれくらいの読者に興味を持ってもらえるかにタイトルは絶大な影響を与えます。
※しかし、どれくらいの割合で読者からポイントをもらえるかについては内容勝負になります。(読者は自分が楽しむために読みに来ており、作品を応援するために読みに来ているわけではないので、相当面白くないと評価まで辿り着けません)
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ジャンル日間ランキングに進出
※内容が面白ければ評価がもらえ、それが一定数を越えると、日間ランキングに入れます。
※短編の場合、このランキングに進出できるかが第一の壁です。
※継続性については、二日目に一日目の合計ポイントを超えられるかどうかが壁となります。
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ジャンル週間ランキングへの進出
※短編の場合、公開後7日間は上昇一辺倒になるので、観測していて超楽しかった。
※上位5位まではトップページに掲載されるため、「表紙入り」と呼ばれ大きな読者流入がある。
※長編の場合は、『連載中』ランキングと『完結済』ランキングに分かれており、ランキング掲載方式変更後、トップページに表示されなくなった『完結済』でも大きなブーストを観測。完結してから読み始める人、思っていたより多そう。
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総合日間ランキングへの進出
※異世界恋愛の場合はジャンル日間ランキングと同時進行しがち。
※5位以内で一気に伸びる。もし短編でそこまで行ったなら、長編化に切り替えると、書籍化を狙えるかもしれない。
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総合週間ランキングへの進出
※異世界恋愛の場合は、ジャンル週間ランキングと同時進行しがち。
※勢いによるが、10日目頃に7日前のポイントを超えるのが難しくなりがち。その後も月間ランキングでの上昇は続くので、読者獲得は月間ランキング頼みになっていく模様。
ジャンル月間ランキングへの進出
※週間ランキングで上位に入り続けていると掲載される、選ばれし作品のランキング。
※小手先では難しい領域なので、人気ジャンルの長編でここの上位までいけたら、書籍化は射程範囲かもしれない。
ランキングと推移し、ジャンル週間5位以内に入ると表紙入りして急激に伸びて総合上位や月間上位に入りはじめる、というのが一般的な流れのようです。