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【イベントレポート】医療介護における個人情報保護法とマイナンバー法の重要性セミナー〜事例編〜@大阪

2024年9月20日に大阪・阿倍野区民センター小ホールで、Project ハタフレが主催するセミナー「個人情報保護法とマイナンバー法の重要性を理解しよう!」が開催されました。今回のセミナーは、ハタフレ認定アドバイザーとProject ハタフレのコラボレーション企画として、運営・開催させていただきました。

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セミナー開催の背景

近年、万一の事故があった際に、業務停止や事業に大きな影響を与えかねないため、「個人情報」に対する法律の理解や対策は必須とされています。

そこで、セミナー前半では法律の専門家である政野 猛(まさの たけし)さんをお迎えし、業務に即した内容を噛み砕いてお話いただきました。
今回お届けする後半では、ハタフレ認定アドバイザーの五十川 昌弘(いそかわ まさひろ)さんが、現役ケアマネジャーとして見聞きした具体的な事例を挙げながら、介護・医療における現場での注意点と解決策をお話いただきました。その講演の内容の一部をお届けします。

講演本編

介護現場における個人情報保護法とマイナンバー法への対応

五十川さんは講演冒頭、介護業界において個人情報保護法はすべての事業所が該当することを理解してほしいと話し始めました。介護・医療業界では、特に個人情報が多岐にわたると五十川さんは解説します。

例えば、介護事業所が取得するヒアリング情報や、アセスメントシート、ケアプラン、サービス提供の記録、看護サマリー、病歴、介護の情報歴、処方箋なども個人情報に該当します。身体情報や症状、障害の認定情報なども個人情報に含まれます。

急速なICTの進展にともなって大量の個人情報がいろいろなICTツールの中に入っている今、医療職・介護職としての個人情報保護対策は重要性が増しています。五十川さんは、いちいち気にしていたら仕事にならないという現場の声にも理解を示しつつ、法律で規定されている以上、無視はできないことを訴えました。情報漏えいは残念ながらいろいろなところで起きていて、漏えいした際に知らなかったでは済まされません。

登壇中の五十川 昌弘さん(CareSTEP5 LCC 代表/なにわケアプランセンターSTEP1 管理者/浪速区在宅医療介護連携相談支援室コーディネーター)

情報漏れが起きやすいときは?

個人情報漏えいで「よくあるパターン」として五十川さんは5つのパターンを挙げました。

  1. USBの紛失

  2. 紙媒体の紛失
    利用者のファイルをトイレに置き忘れた/ファイルの入ったバッグを盗まれた

  3. 人為的漏えい
    職員が独立する際に、利用者の情報を持ち出してしまった

  4. 口頭による漏えい
    職員どうしの立ち話、飲食店でのおしゃべりなどで利用者について話す、利用者の隣人に話してしまうなど

  5. メールやFAX誤送信
    PCがウィルスに感染して、個人情報が抜かれてしまった

五十川さん自身も、飲食店で介護職と思われる方が大きな声で利用者の話をしているのを聞いたことがあるといいます。個人情報の取り扱いについて、職員全員で気をつけることが大切です。

介護・医療現場で気をつけるべきポイント

次に、五十川さんは事業所でとくに気をつけるべきポイントを解説してくださいました。

まずは、情報共有時のセキュリティ対策です。個人情報の保護や成りすまし防止などの対策を強化しましょう。さらに個人情報保護に関しては、職員の研修による運用の徹底、情報を適切に管理するためのしくみ作りも大事なポイントになります。また個人情報を取る際には、本人の同意を得る際に必要な手続きを踏むことが必要です。

「プライベートチャットなど、安易なツールを利用して個人情報の連絡していませんか?」と五十川さんは問いかけます。これからは、使う人自身が情報セキュリティ対策の重要性を理解することが求められます。またセキュリティ対策は、事業者の責任において実施する必要があるところも注意が必要です。

「パスワードは6か月に1回は変えましょう。それから、パソコンの前にパスワードを貼ってある人は、外してくださいね。セキュリティ対策ソフトの未使用は危険です。パソコンをログアウトしていない人、意外と多いのではないでしょうか。ログアウトしましょう」と五十川さんは具体的に注意点をお話くださいました。

また使用ツールを選定する際には、その安全性を確認することも大切だといいます。五十川さんは、厚生労働省から医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが出ていることを説明し、「サイバー攻撃やシステム障害への対策を講じているツールを使ってくださいということです。私が調べた限りではありますが、Chatwork、MCS(Medical Care Station)、Aケアカードは、個人情報漏えいなどの対策がしっかりしていて、安心できると感じています」。

当日のスライドより一部抜粋

個人情報取り扱い事業所における個人情報を取り扱う場合の基本ルール(5項目)

五十川さんは個人情報の取り扱う場面では、基本ルールを確認するようにしているそうです。ぜひ皆さんも、個人情報を扱う場面で、下記のルールを確認してみてください。

①個人情報を取得する際
 個人情報を取得する際、どのような目的で個人情報を利用するのかご本人に伝わっていますか?
②個人情報を利用する際
 取得した個人情報を決められた目的以外のことに使っていませんか?
③個人情報を保管する際
 取得した個人情報を施錠やパスワード設定等によって安全に管理していますか?
④個人情報を他人に渡す際
 個人情報を本人の同意を得ないで他人に渡していませんか?
⑤個人情報の開示を求められた際
 個人情報開示や削除要請を求められた場合、その申し出を断っていませんか?

小規模の事業所を含むすべての介護事業所が個人情報保護法の対象です。個人情報保護法の対策は必ず必要です。五十川さんは「小さな事業者は、自分のところだけで対策をすることは難しいかもしれません。私たちと、一緒にやっていきましょう」と声をかけました。

最後に、「(ハタフレ認定アドバイザーの)私と、進さん、三浦さんの3人は、介護業界が疲弊しない未来のために、介護業界を良い方向に変えて行こうとがんばっています。Project ハタフレのFacebookの中でいろいろな情報を発信しているので、ぜひ見ていただければうれしいです。noteの記事もありますので、ぜひ読んでください」とお話くださいました。講演の最後に、会場は温かい拍手に包まれました。

左から五十川 昌弘さん、政野 猛 さん、三浦 浩史さん、進 絵美さん

 

*講演者
五十川 昌弘さん
CareSTEP5 LCC 代表/なにわケアプランセンターSTEP1 管理者/浪速区在宅医療介護連携相談支援室コーディネーター

2011年以降、社会医療法人のケアプランセンター管理者として従事。2018年に大阪市浪速区で単独型ケアプランセンターとして独立。管理者、ICT(業務効率化)推進事業部開設。医療介護連携の橋渡しである浪速区在宅医療介護連携相談支援室コーディネーター相談業務や浪速区発信の医療介護連携ICTシステム(Aケアカード)広報にも携わる。他府県を含めた現場目線に特化したセミナー活動や、浪速区地域でのイベント企画、講演、地域向けセミナーなどにも参画・従事。



Project ハタフレとは?
「Project ハタフレ」は2024年3月に始動した中小企業の課題解決を促進するプロジェクトです。日本各地で様々な地域・業界課題と正面から向き合い、解決策を考え活動されている有識者の方々が「認定アドバイザー」に就任、ITに詳しい人もそうでない人も、業界業種、年齢といった属性とは関係なく、中小企業に関わる誰もが安心してDXへの一歩を踏み出せる環境を創出・拡大することを目的に活動しています。また、より多くの中小企業に情報をお届けできる環境を創出するため各業界で活動している団体が賛同企業としてご参画いただいています。​​​​

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