【イベントレポート】ケアマネジメントに必要な『介護報酬改定+ICT連携』のこれから〜ハタフレ 認定アドバイザーコラボ企画〜@千葉県流山市
2024年6月26日、ハタフレ認定アドバイザーの五十川昌弘(いそかわまさひろ)さんが、千葉県流山市で「ケアマネジメントに必要な『介護報酬改定+ICT連携』のこれから」と題して介護支援専門員研修を行いました。
認定アドバイザーの活動がきっかけで実現
今回の研修実現のきっかけは「Project ハタフレ」。同じく認定アドバイザーの進絵美(すすむえみ)さんが会長を務める「ケアマネジャーを紡ぐ会」に流山市介護支援専門員連絡会様から「ICTに関する研修ができないか?」とご相談があったことが始まりでした。進さんが五十川さんをご紹介し、ハタフレ認定アドバイザー内でのコラボレーション活動として今回の研修が実現しました。
研修では、五十川さんがご自身の介護支援専門員(ケアマネジャー)としての経験を織り交ぜながら、介護報酬改定の対応ポイントやICT連携に関して講演されました。その後、実際にICT連携を体験するグループワークを行いました。
当日は、流山市のケアマネジャー約80名が参加され、驚きの声があがったり、笑顔が見られたりと和やかな空気の中、実り多い研修となりました。
それでは、研修の様子を少しだけお届けします。
医療介護連携情報の中心となるケアマネジャーは、ICTツールの管理も必要に
令和6年度の介護報酬改定内容では『ICTを活用を推進している』といえます。『医療系、訪問看護ステーション、訪問介護、デイサービス、福祉用具など全ての介護サービス事業所』が今後、ICTを活用した情報共有に取り組んでいく時代になりつつあります。
『医療・介護・福祉・行政および地域が連携』をとって、対象者の方の自立支援に資することができるように、ケアマネジャーや各関係機関の方は、連絡・調整・交渉をすることになります。そのため特に、医療介護連携情報の中心となるケアマネジャーには、ICTツール、グループチャットなどの管理が今以上に必要になります。
五十川さんは、下記の三つを重要なキーワードとしてあげました。
ACP:患者(利用者)さんの全ての関係者が価値観・希望を共有する
BCP:災害にて、各医療介護機関との業務継続計画を共有する
ICT:デジタル化したことで素早い情報共有を各機関に発信する
実際におきた「看取り」に関する裁判の事例や、能登地震でのICT連携の有無による情報格差などの具体的な事例をもとに、ICT連携の必要性と導入例が詳しく紹介されました。五十川さんが実際に行った居宅介護支援のテレビ電話でのモニタリングの様子なども皆さん、真剣にご覧になっていました。
ICT環境の整備で、1日平均40〜50本の電話が4〜5本にまで減少
五十川さんは、ICTを「業務効率化」と言い換えます。
五十川さんが経営する会社では、ICT環境を整備したことで電話が1日平均40〜50本から4〜5本にまで減少し、データ化で人件費・通信費・交通費・郵送費・印刷費などを約70%改善させたそうです。このお話に、参加者の皆さんは驚きの声をあげていました。
また五十川さんは実際にターミナルケア連携の一連の流れを、チャットツール(Chatwork)の画面を示しながら紹介しました。利用者様ごとにグループチャットを作成して、サービス担当者会議(ケアマネジャー、看護師、ホームヘルパー)などとのやりとりを行ったり、BCP災害対策、緊急連絡先、災害時避難場所などの情報が関係者がどこでも見られるように一元化したりしています。このように医療・介護が情報共有することで患者(利用者)の生活をより良いものにできると五十川さんは話します。
その他、セキュリティ対策や各アプリケーションのメリットデメリットなども解説。具体的な事例や、事例にそったチャットツールなどの使い方には皆さん真剣な表情で聞き入っていました。
グループワーク「医療介護の連携理想像とは?」
まずは、
『医療介護の連携理想像とは?』
『皆さんのこれからケアマネジャーとして目指す姿とは?』
をテーマに、各グループでディスカッションを行いました。
参加者の方からは「連携は情報共有のためだが、本人・家族の意向に沿ってバックマネジメントをがんばってやっていきたい」といったご意見などが出ていました。
また
・簡単なツールが見つからないから、まだFAXやメール、電話を使っている
・日々の仕事が精一杯で、ICT導入の必要性は感じるが、導入する気力や時間がない
・訪問することで、匂いや利用者様の変化に気づけることもあるため、直接会うことも大事
と言ったお話も。多くのグループで、ICT化の悩みを共有する場となりました。
グループワーク「実際にICT連携にチャレンジしてみよう」
次に「ICT連携に向けて1歩目のチャレンジをしてみましょう」と題して、チャットツール(Chatwork)を利用して、グループでICT連携を体験しました。
仮想の利用者『M.Iさん』が登録されたグループチャットに、参加者に実際に入っていただき、サービス担当者会議開催の準備を開始。五十川さんがケアマネジャー役です。受け入れは了承済み、アセスメントシートもチャットにPDFで添付された状態でスタートしました。
まずは会議の日程調整。五十川さんが提案した仮想の日程に、皆さんが日程調整の返信をするなどして、和気藹々とグループワークは進んでいきます。
日程調整がスムーズに進んだところで、そのままチャットツール(Chatwork)を使って、オンラインのサービス担当者会議開催を実施しました。他のツールを使うことなく、会議の参加者をタップするだけでビデオ通話が開始、スムーズに会議を行うことができました。
五十川さんが、利用者様の情報をすぐにチームで共有できたり、会議の開催候補日をすぐに調整できること、チャットの内容をそのまま介護ソフトにコピー&ペースト(コピペ)することで業務時間が短縮できることなどを補足説明すると、皆さんうなずいていらっしゃいました。
実際に、ICT連携を体験していただくことで、「思っていたよりも簡単に使えた」という声や、「自分の事業所ではどう使えるのか考えたい」といった声が上がっていました。五十川さんの具体的なお話と、実際の体験によって、実りのある充実した研修になりました。