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映画「泣くな赤鬼」〜感想

この映画の主役「赤鬼」とは、高校で野球部の監督をしている熱血教師のこと。日焼けしているからなのか、練習中いつも大声で檄を飛ばしているからなのか、とにかく真っ赤な顔をしているということから、部員たちにこんなニックネームをつけられたらしい。この赤鬼先生を堤真一さんが演じている。そして癌で余命宣告をされた、赤鬼先生の昔の教え子を柳楽優弥くんが演じている。そして柳楽くん演じる斎藤は高校時代はゴルゴというニックネームで呼ばれていて、そのゴルゴ時代の斎藤を斎藤智之くんという俳優さんが演じている。

作家の重松清氏の作品を映画化したもので、重松作品らしい人間味溢れる、そして心温まるストーリーを、堤さんと柳楽くんという二人の名優たちが演じているのだから、感動しないはずがない。

全く個人的な意見なのだが、柳楽くんは、ぱっと見はちょっと悪っぽいけど、中身は純粋な青年という役柄が本当にぴったりくる役者さんだと思っている。だからこの斎藤という青年は、柳楽くんが演じたことで、作品をものすごくリアルなものに作り上げることができたと感じた。

堤さんも、歳と共に野球に対する熱い思いが薄れ、覇気のない中年男性になった赤鬼先生という役にぴったりだったと思う。斎藤が最後にもう一度野球をやりたいという夢を叶え、そして彼の最期を温かく見守ってあげた赤鬼先生を演じる堤さんは、優しいお父さんの顔をしていたのが、とても印象的だった。

この映画では、思わず涙したシーンがたくさんあるのだが、特に旅立ちの時が近づいた斎藤を赤鬼先生が尋ねるシーンでは、涙腺は崩壊してしまった。
もはや言葉を発することもできなくなった斎藤が、野球のハンドサインを送り、それに気づいた赤鬼先生がハンドサインで応える。二人の間のわだかまりは完全に消え、斎藤はその短い人生を終える。

視聴を終えてからも、しばらく余韻に浸れた作品だった。リピート視聴間違いなし。


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