Waves J37 Tape徹底レビュー!ハイファイなテープサウンドと多彩な音作りを楽しもう
アナログテープ独特の豊かなサウンドを求めるなら、テープ系プラグインは欠かせません。
私がよく使うWaves Kramer Master Tapeは、ローファイでレトロな質感を出すのにぴったりですが、少しハイ落ちが強めで、その質感が行き過ぎると感じることもあります。
そんな時に頼りになるのが、今回紹介するWaves J37 Tapeです。
Kramer Master Tapeとの違い
一番気になるのが、Kramer Master Tapeとのサウンドの違いかと思います。
Kramer Master Tapeは、ハイ落ちが特徴的で、サウンドに温かみや丸みを加えてくれるため、重心が下に移動し、ローファイでしっとりとした音に仕上がります。
一方、J37 Tapeはハイ落ちが控えめで、各サウンドがくっきり際立つ印象です。
重心がそこまで下がらないため、程よいパンチ感を加えることも可能。テープの切り替えでサウンドキャラクターが大きく変わるので、音作りの幅も広く、多彩な表現が楽しめます。
J37 Tapeは、Kramer Master Tapeよりも後期のテープマシンをモデルにしているため、全体的にハイファイな印象です。
テープメディアで異なるサウンドキャラを楽しむ
J37 Tapeの魅力のひとつは、テープメディアを選択できること。切り替えるだけで、様々なサウンドキャラクターを楽しめます。
EMI TAPE 888 (1960年代初期): 1kHzから8kHzあたりの歪みが強く、ザラッとした質感。
EMI TAPE 811 (1960年代中期から後期): 高域のレスポンスが良く、歪みが少なめ。888と815の中間的なサウンド。
EMI TAPE 815 (1970年代初期): フラットな高域特性で歪みが少なく、繊細な味付けが特徴。
歪んだギターなら888でハイミッドを強調、811で張りのあるサウンドなど、テープメディアの選択によってさまざまなキャラを楽しめます。
音作りの幅広さ
Kramer Master Tapeは、ハイ落ちによるローファイ感が強いため、使える場面が限られることも。
しかし、J37 Tapeはテープメディア選択の多彩さや、ハイファイでクリアなサウンドから、さまざまな場面で使いやすい印象です。万人受けする守備範囲の広さが魅力で、プロジェクトに応じて柔軟に使い分けができます。
もちろん、Kramer Master Tapeが劣っているというわけではありません。その強烈な個性を好む方も多いでしょう。実際、私もKramer Master Tape使用頻度は高いです。
魅力的なテープディレイ機能
J37 Tapeの多機能性を語る上で外せないのがテープディレイです。
今まで使ったテープディレイの中でも、特に気持ちの良いサウンド。Kramer Master Tapeにもディレイ機能はありましたが、ややザラついた質感で、DAWのテンポに同期できないため、使用場面が限られました。
J37 Tapeのディレイは、甘くマイルドなテープディレイそのもので、ピンポンディレイとしても使用可能。リードサウンドにもバンバンかけたくなります。
また、センドリターンで使えるため、ディレイにのみテープメディアの質感を加えることもできます。
自分に合うテープ系プラグインを見つけよう
WavesのKramer Master TapeとJ37 Tapeは、どちらも異なる魅力を持つ素晴らしいテープ系プラグインです。
音のキャラクターが異なるため、自分の好みや楽曲に合うものを選ぶことが大切です。複数のテープ系プラグインを所持して、その場に応じて最適なものを選ぶ方もいるかもしれません。
テープ系プラグインはWaves以外にもさまざまなブランドからリリースされています。ぜひ、自分の好みに合うものを見つけて、サウンドの幅を広げてみてください。