Synthesizer V 使い方完全解説!オススメのエディションからボーカル処理まで
前回の記事で紹介したように、Synthesizer Vを使えば、誰でも簡単に人間のようなリアルな歌声を作り出すことができます。
しかし、次のような不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
どのエディションを選べばいいのか
どうやって使えばいいのか
ボーカルのミキシングはどうすればいいのか
この記事では、Synthesizer Vのおすすめエディションや基本的な使い方、実際に私が行っているミキシング方法について解説します。
Synthesizer Vとは?
Synthesizer Vは、AI技術を駆使してリアルな歌声を作成できる歌声合成ソフトウェアです。
以下デモのように、人間が歌っているかのようなリアルな歌声をシンプルな操作で作れるのが魅力です。
Synthesizer Vのエディションと選び方
Synthesizer Vは、歌声合成ソフトウェアと歌声データベースを組み合わせて使用します。それぞれに無料版と有料版があり、歌声データベースにはさらにスタンダード版とAI版があります。
僕のオススメは有料版。それも、歌声データベースは買わず、歌声合成ソフトウェアの有料版Synthesizer V Studio Proのみで構いません。
有料版Synthesizer V Studio Proのメリット
有料版Synthesizer V Studio Proには、数多くのメリットがあります。中でも注目すべきポイントは以下の3つです。
歌の修正が簡単にできるAIリテイク機能が使える
プラグインとして、DAW に立ち上げて使える
歌声データベース「Synthesizer V AI Mai」が付いている
特に「Synthesizer V AI Mai」が付属している点は非常に魅力的です。
「Synthesizer V AI Mai」は、有料版の各種歌声データベースのAI版と同等のクオリティを備えています。つまり、Synthesizer V Studio Proを購入するだけで、高品質で感情豊かな歌声を手軽に手に入れることができます。
私のカバー動画で使用している女性ボーカルは、すべて「Synthesizer V AI Mai」で作成しています。
Synthesizer Vの使い方(歌わせ方)
ここからは、順を追ってSynthesizer Vの使い方(歌わせ方)を説明します。
メロディーラインと歌詞を入力
ボーカルスタイルの選択
修正が必要な箇所は「AIリテイク機能」で修正
やるのはこれだけです。
歌声ライブラリを選択
DAW上でSynthesizer Vをプラグインとして追加し、使用するライブラリを選択します。
メロディーラインと歌詞の入力
えんぴつツールを使用してメロディーラインを入力します。ある程度メロディーが入力できたら、次に歌詞を追加していきます。
歌詞を入力する方法は2通りあります。
ノートを1つずつクリックして入力する
複数のノートを選択して一括入力する
意図した歌わせ方を実現するために、以下のポイントを押さえてください
メロディーノートはレガートで入力する
スターカットを表現する場合は、歌詞の冒頭に「'(シングルクォート)」をつける
母音を伸ばす場合は「-(ハイフン)」を入力する
息継ぎを入れる場合は「br」を入力する
ボーカルスタイルの選択
Synthesizer Vでは、歌声の特性を自由に調整することができます。入力した歌声を聴きながら、楽曲に合ったボーカルスタイルを作り上げてください。
私の場合、Emotionalを選び、テンションを上げてハキハキとした歌声に仕上げることが多いです。また、ジェンダーを少し上げて、声に厚みと存在感を加える調整をよく行います。
AIリテイク機能を使った歌の修正
歌声に修正が必要な場合は、AIリテイク機能を活用してください。
この機能を使うと、修正したい箇所を選択するだけで、その部分の歌い方に関するさまざまな表情やニュアンスが提案されます。
私自身、AIリテイク機能を使って複数のテイクを生成し、その中から最も良いものを選ぶ形で修正を行っています。この方法なら、理想的な歌声を効率よく見つけることができます。
ボーカルのミキシング方法
楽曲全体のメロディーと歌詞の入力を終えたら、次はボーカルが聴きやすい状態になるようミキシングを行いましょう。
ボーカルミキシングは楽曲全体の聴きやすさに大きく影響する重要なプロセスです。ただし、個人的には非常に難しく感じる作業でもあります。
そのため、私は便利なプラグインを活用してミキシングを効率化しています。
1. Vocal Riderで音量調整
Vocal Riderでエフェクト入力前のボーカルの音量を整えます。
Vocal Rider はボーカルの音量を自動的に補正し、一定のレベルに保つことができます。詳しくは、以下の記事を読んでください。
2. CLA Vocalsでメイン処理
CLA Vocalsでボーカルのメイン処理をします。
CLA Vocalsは、ボーカル専用に設計されたオールインワンプラグインです。6つのスライダーを調整するだけで、簡単にボーカルの処理を完成させることができます。
3. Manny Marroquin Delayでダブリング効果を追加
Manny Marroquin Delayの「Voc Dist Dblr」プリセットを使い、ボーカルにふんわりとしたダブリング効果を加えます。
Manny Marroquin Delayの最大の特徴は、ディレイ成分にリバーブや歪みなどのエフェクトを組み合わせられる点です。
通常、このような効果を得るには複数のエフェクトを重ねる必要がありますが、Manny Marroquin Delayなら、1つのプラグインでこれらを簡単に実現できます。
4. NLS Channelでアナログ質感を付加
NLS Non-Linear Summerを使って、ボーカルにアナログ質感をプラスします。
5. H-DelayとIRリバーブで空間処理
最後に空間系をかけます。
ディレイはH-Delay、ディレイタイム189msec で使っています。
リバーブには、Logic Pro純正のIRリバーブを使用しています。
ボーカルから直接リバーブのセンドに送るだけでなく、ディレイからリバーブにも信号を送っています。
特に、ディレイから送られるリバーブ成分をメインにすることで、楽曲全体に自然な広がりと一体感を持たせることができます。