ヴィンテージ感のあるサウンドから最新のサウンドまで!Waves Abbey Road TG Mastering Chainで理想の音を実現しよう
DTMで楽曲制作を楽しむと、サウンドクオリティをさらに高めたくなります。特にアナログ機器のモデリングデバイスは、楽曲に深みとヴィンテージな味わいを加えるのに最適ですが、独特の音質がミックスを混雑させることもあります。
そんな悩みを解決するのが「Waves Abbey Road TG Mastering Chain」です。
イギリスのアビー・ロードスタジオで使用されているEMI TG12410 Transfer Consoleを再現したもので、ヴィンテージな質感と現代的なクリアサウンドの両方に対応しており、ジャンルを問わず幅広く活用できます。
Abbey Road TG Mastering Chainの特徴
アビー・ロード公認のリアルなアナログサウンド
Abbey Road TG Mastering Chainは、アビー・ロードスタジオの監修のもとで設計され、オリジナルのEMI TG12410 Transfer Consoleと同じ感触で操作できるようにモデリングされています。
見た目からはヴィンテージなイメージが強いものの、クリアでパンチのあるサウンドも実現できる点が大きな魅力です。
モジュールの柔軟な組み合わせで自在な音作り
このプラグインはモジュールごとにON/OFFでき、必要なモジュールだけを組み合わせて使えます。
マスタリングだけでなく、トラックごとの音作りにも活用できる柔軟性があり、各モジュールを駆使して理想のサウンドを追求できます。
Abbey Road TG Mastering Chainのモジュール解説
癖の強いINPUTモジュール
INPUTモジュールは、LRまたはMSバランスの調整や適切なインプット量の設定ができる重要なパートです。このモジュールの最大の特徴は、独特の質感を加える「Tape Equalizer」にあります。
「Tape Equalizer」を使用すると、中域を強調して厚みを増したり、伸びやかな高域を加えたり、ドンシャリ系のサウンドを作り出したりと、さまざまなサウンドキャラクターを演出可能です。
ただし、強い個性があるため、楽曲に合わない場合はFLAT設定(質感を付加しない設定)で使用するのが無難でしょう。
マスタリング用途では、2Mixのバランスを崩さないようにFLATで使うことが多いですが、ドラムなどのバストラックや個別トラックに質感を加えたい場合に非常に効果的です。
MS処理が肝のTONEモジュール
TONEモジュールは、MS処理対応の4バンドEQを備えたセクションです。
ゲイン以外のパラメータはすべてダイヤル式のため、細かい調整は難しいですが、アナログ機器ならではのザックリとした操作感が魅力です。この「ザックリ感」が、自然なサウンドメイクに一役買っています。
また、MS処理が可能なので、ステレオ幅を活かした立体的なEQ処理ができます。MS処理に慣れていると、このモジュールのポテンシャルを最大限に引き出しやすく、サウンドの奥行きをさらに深められるでしょう。
TONEモジュールの補完的なFILTERモジュール
FILTERモジュールは、ローパス、ハイパス、プレゼンスの3バンドからなるシンプルなEQです。
このモジュールのポイントは、「プレゼンス」の使い方にあります。
TONEモジュールとは異なる周波数帯域を選択できるため、TONEモジュールだけでは補えない帯域を調整して、サウンドにさらなる深みや明瞭さを加えることができます。
異なる質感が楽しめるLIMITERモジュール
LIMITERモジュールは、「Original」と「Modern」の2つの異なる質感を楽しめるコンプレッサー/リミッターです。
「Original」モードでは、TG12413オリジナルのサウンドに近い、少し高域が抑えられたヴィンテージ感を持つ質感が得られます。一方、「Modern」モードは、現代的なVCAベースのクリアでタイトなサウンドを実現します。
このモジュールのコンプレッションタイプは、サウンドの方向性に大きな影響を与えるため、楽曲に合わせて選択することが重要です。
ヴィンテージ感を求めるなら「Original」、最新のクリアなサウンドが必要なら「Modern」を選ぶ、というイメージで使い分けると良いでしょう。
実践的な活用法:Abbey Road TG Mastering Chainをどのように使うか
個別トラックの音作りにも応用
Abbey Road TG Mastering Chainは、各モジュールが独立してON/OFFできるモジュラー構造も大きな魅力です。これにより、必要なモジュールだけを選んで使用でき、柔軟な音作りが可能です。
例えば、ギタートラックにFILTERモジュールを使って高域に煌びやかさを加えたり、リズムトラックにINPUTモジュールの「Tape Equalizer」で厚みを与えるといった使い方ができます。
マスタリング用途に限らず、個別トラックやバストラックの音作りにも非常に役立ちます。
MS処理の理解がサウンドを引き立てる鍵
Abbey Road TG Mastering Chainは、一般的なステレオ処理でも十分に楽しめますが、そのポテンシャルを最大限に引き出すにはMS処理の理解が不可欠です。そのため、初心者には少し難易度が高い部分があるかもしれません。
とはいえ、MS処理に慣れてしまえば、短時間で劇的なサウンド変化が得られる、非常に強力なマスタリングツールです。
初心者にも優しい豊富なプリセット
MS処理に慣れていない方や、マスタリング自体に不慣れな方も多いと思います。Abbey Road TG Mastering Chainには豊富なプリセットが用意されているので、まずは好みのサウンドが得られるプリセットを選ぶだけでもOKです。
プリセットの数が非常に多く、必ず自分に合ったサウンドが見つかるでしょう。
慣れてきたら、プリセットのパラメータを少しずつ動かして音の変化を確認したり、プリセット設定を参考にしながら自分でイチから調整してみるのもおすすめです。
マスタリングから音作りまで、あらゆる場面で使ってみよう
Waves Abbey Road TG Mastering Chainは、ヴィンテージなサウンドから最新のクリアなサウンドまで幅広く対応し、マスタリングだけでなく音作り全般にも活用できる優れたプラグインです。
そのポテンシャルを最大限に引き出すにはMS処理の理解が求められるため、初心者には少し難しい部分もありますが、豊富なプリセットや個別モジュールの柔軟な使い方で、そのハードルもクリアできます。
ぜひ、一度このプラグインを試してみてください。