Waves V-EQ3を超える!Scheps 73で音に太さと立体感をプラスしよう
DTMを楽しむ方にとって、ミキシングの最初のステップとなるEQの選び方は重要です。今回は、Wavesの人気プラグインである「Scheps 73」を紹介し、その特徴や使い方をわかりやすく解説します。
このプラグインを使うことで、音に太さや立体感を加え、よりプロフェッショナルな仕上がりに近づけることができます。
Waves Scheps 73とは?
Scheps 73は、世界的に有名なミキシングエンジニアAndrew Scheps氏が所有するNeve 1073をモデルにして作られたプラグインです。
WavesはすでにNeve 1073をモデリングしたEQプラグイン「V-EQ3」をリリースしていますが、Scheps 73はそれとは一味違った特徴を持っています。
最大の特徴は、プリアンプ機能を搭載していることです。
V-EQ3が純粋にEQに特化しているのに対し、Scheps 73は音に太さや立体感を加えることができる点が魅力です。このプリアンプ機能は特に生楽器やボーカルなど、アコースティックな素材に適しており、音楽の幅を広げる重要な役割を果たします。
Scheps 73の基本構造
Scheps 73は以下の要素から構成されています
ハイパスフィルター
3バンドEQ(Low、Mid、High)
プリアンプセクション
EQの構造自体はV-EQ3とほぼ同じですが、Scheps 73の最大の違いはやはりプリアンプです。このプリアンプが、Scheps 73をただのEQ以上のものにしていると言っても過言ではありません。
プリアンプによる立体感と迫力
Scheps 73の特徴的な機能の一つが、プリアンプセクションです。
通常のEQは音のバランスを調整する役割を持っていますが、このプリアンプを使うことで、音に太さや立体感が加わります。特に生楽器やボーカルに使うと、音がよりリッチで存在感のあるものになります。
私も長い間WavesのV-EQ3を使ってきましたが、Scheps 73を試したとき、そのプリアンプの効果に驚かされました。V-EQ3ではやや平坦に感じる音も、Scheps 73を使うと一気に広がり、音の存在感が大きく向上します。
例えば、アコースティックギターにプリアンプを適用すると、まるで目の前で演奏しているかのようなリアルで臨場感のあるサウンドを実現できます。また、キックやスネアなどのリズム楽器にも効果的で、ミックスの中でそれらのパートをより前面に押し出すことが可能です。
プリアンプを使う上での注意点
Scheps 73のプリアンプは非常に強力なため、すべてのトラックに使用するのは避けたほうがよいでしょう。全てのトラックに過度にプリアンプを使うと、ミックス全体が重たくなり、音がこもってしまう可能性があるため注意が必要です。
強調したいパートにはプリアンプを積極的に使い、それ以外のパートではプリアンプの使用量を控えたり、場合によってはプリアンプをオフにして調整してください。
さらに、Scheps 73にはDRIVEモードが搭載されており、これを使うことで音にディストーションを加えることができます。
このディストーションは、デジタル特有の「ジリジリ感」ではなく、アナログ回路を過剰にドライブしたような温かみのある歪みが特徴です。私は多用していませんが、ギターなどに少し歪みを加えたい場合には非常に効果的です。
EQの特徴とV-EQ3との違い
Scheps 73のEQセクションは、V-EQ3と非常に似ています。具体的には、ハイパスフィルター、3バンドEQ(Low、Mid、High)の構成です。
12kHzハイシェルフEQの素晴らしさ
V-EQ3では高域を持ち上げる際、若干機械的な音質になることがありましたが、Scheps 73ではその点が大きく改善されています。特に12kHzのハイシェルフEQは、音の明瞭度を極めて自然に高めることができます。
例えば、ボーカルトラックに適用すると、声の煌びやかさを引き出しながらも、耳障りな感じが一切ないのです。トーンを明るくしたいときには、この12kHzハイシェルフEQが非常に役立ちます。
ハイパスフィルターの効果
Scheps 73のハイパスフィルターは、V-EQ3と同様に低音域をカットする機能を持っています。
しかし、V-EQ3ではハイパスをかけると音が若干後ろに引っ込むような印象がありましたが、Scheps 73では音の輪郭がしっかりと残るため、低域を削っても音の迫力を失うことがありません。この点は、キックやベースの処理において特に有効です。
Scheps 73を使うべき場面とは?
Scheps 73はその汎用性の高さから、ほとんどの楽器やボーカルに使うことができますが、特に生楽器やアコースティック素材に対して強力な効果を発揮します。
アコースティックギターやピアノなどの楽器に、音の太さや立体感を加えたい場合
ボーカルに煌びやかさや存在感を与えたい場合
ドラムのキックやスネアに迫力を加え、ミックスの中で前に出したい場合
これらの場面でScheps 73を使用すると、音がミックス全体の中でしっかりとした位置を持ち、他のトラックに埋もれない存在感を持たせることができます。
まとめ
Waves Scheps 73は、初心者にとっても操作が簡単でありながら、プロフェッショナルな結果を得られる強力なEQプラグインです。プリアンプ機能により、音に太さや立体感を加え、楽曲制作に新たな可能性を広げます。
ぜひこのプラグインを使って、あなたのミキシングに一段と深みを与えてください。