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大学教授になって英語を教えよう!:個人研究費について(1)


個人研究費はいくらもらえるのか

大学の専任教員になると、通常研究費が支給されます。研究費は、研究を行うために必要な費用であり、その中には図書費、研究のための出張旅費(交通費や宿泊費)、コンピューターなどの研究機材など物品の購入費などが含まれます。これらは給与とは別物であり、課税対象にはなりません。個人研究費の年額は大学によってさまざまですが、私立大学の場合、年額30万円から60万円程度が一般的だと思われます。私の経験では、研究者人生のキャリアとして最初に勤めた短期大学では、年額わずか10万円でした。その後勤めた4年制大学では年間40万円程度でした。また、最も高額な研究費が支給された大学の場合は、年額でほぼ80万円でした。なお、これらは全て私立大学の例です。公立大学でも同じような傾向が見られるようですが、国立大学の場合はもう少し金額が少ないのではないかと思われます。

個人研究費ゼロという国立大学も

また、これは特定の年度だけの話であったのかもしれませんが、個人研究費がゼロという国立大学の話を聞いたことがあります。その話のうち1つは校舎改築の費用が不足するので個人研究費をゼロにしてその費用に充てるというものです。その大学の先生から以前直接聞いた話ですが、これはその特定の年度だけの問題であったのかもしれません。もう1つのケースは研究費がほしければ科学研究費など競争資金を取ってこいという方針の大学です。いずれのケースもそれぞれの勤務先の先生から直接聞いたものですが、10年以上昔のことですので、今は少しは改善(?)されているかもしれません。

任期付教員は金額が少ないかも

大学では、専任教員とはいえ、任期付きの教員がいます。任期付き教員の待遇は、通常の終身雇用の教員に比べると良くありません。まず、任期付きですので、3年あるいは5年といった任期があり、任期満了になれば、次の勤務先を探す必要があります。また、全体的に任期付き教員の給与は低いのですが、それと同様に個人研究費も通常の専任教員に比べると低い傾向があります。ある大学では、専任教員の50%という規定があったりします。任期付教員こそしっかり研究してステップアップし、次の終身雇用のポストを狙ってもらう必要があるのですが、個人研究費まで差がついてしまうというのは厳しいです。ただ、終身雇用の教員と違い、学部や全学の委員などを免除されていることが多く、自由になる時間は多いかもしれません。

研究費目について:まずは消耗品費

それでは、個人研究費はどのようなことに使えるのでしょうか。個人研究費で使用できる予算科目には、通常消耗品費、物品費、図書費、旅費などがあります。消耗品費は、例えばプリンターの用紙、プリンターのトナー、あるいは小額の研究用・教育用機器で、大学の備品台帳に記載されないものをいいます。英語の教員の場合、学生の話した音声をデジタル録音することがあるかもしれません。そのような場合に、安価なデジタル録音機を購入した場合、大学によっては備品扱いとはならず消耗品費となります。消耗品は、利用頻度が高く消費サイクルが早いものですが、機器であっても使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満のものが該当します。ただし、大学によって取得価格の上限は異なり、5万円未満の場合もあります。また、私が知っている公立大学の先生によると、その先生の大学では2万円が消耗品取得価格の上限ということでした。消耗品に相当する物品を購入する場合、多くの場合に立て替え払いが許されます。つまり、先に品物を購入しておき、後ほど購入代金を大学に請求するという形です。例えばUSBメモリを近所の大型量販店で購入した場合など、領収書あるいはレシートをもらっておき、それを提出することで、自分が立て替えていた金額を大学より支給してもらうという形になります。この場合、購入した品物を会計担当職員の窓口に持参し、検収してもらうことが必要な大学もありますし、書類のやり取りだけで費用を請求できる大学もあります。また、Amazonやその他オンラインで発注した場合も同じ形になりますが、最近では大学そのものがAmazonと法人契約をしている場合があります。この場合には、教員個人が立て替え払いをすることなく、大学のAmazonビジネスアカウントを利用して商品を注文し、大学が直接Amazonに支払い、教員自身は金銭のやり取りを何もしなくて良いということになります。ただし、大学が教員の申請内容は研究費での支出として適切であるかを審査し、1週間のうち決まった曜日にAmazonに発注しますので、注文品の到着は遅くなります。

備品の場合

大学の規定にありますが、高額な電子機器、例えばパソコン等は大学の備品となり、大学の備品台帳に記録されることになります。備品の購入であっても、立て替え払いをすることができるケースがありますが、その場合にはその製品のカタログや仕様が書かれた公式の書類の提出が求められたり、また場合によっては相見積もりが必要となることがあります。相見積もりとは、2社あるいは3社の業者に購入したい製品の見積もりを取り、最も安い業者から購入することです。

図書費について

大学教員の業務の1つは研究です。研究を行うにあたり、大量の論文を読み、また書籍を参照する必要があります。そのため、個人研究費で書籍の購入が可能になっています。大学によっては、個人研究費については、図書費が別項目になっているところがあります。これは年度の最初に自分の個人研究費のうち、どれだけの額を図書費に充てるのかをあらかじめ登録しておいて、その範囲内で図書の購入を行うものです。もちろん、図書費の金額は途中で変更することができます。ただし、その分だけ個人研究費の他の費目の金額が少なくなっていきます。かつて、個人研究費で図書を購入する場合は、すべての図書は1冊ずつ大学の図書館に登録されました。つまり、これは図書がすべて大学の備品になるということを意味します。そのため、別の大学に移る場合には、個人研究費で購入した図書はすべて大学の図書館に返却しなければなりませんでした。ただし、最近ではこの形を取る大学は少なくなってきています。1つは、図書館のスペースがなくなってきたことがあります。さらにもう1つ、パソコンなどと比較すれば書籍は通常1冊あたりの単価が安いものです。その書籍1冊1冊を図書館の職員が大学の図書として登録していくのは大変な手間になります。こういった手間を省くこともあり、最近では、書籍も消耗品費扱いにされる大学が増えてきています。ただし、消耗品扱いとはいえ、大学の図書館に出向いて購入した図書を検収してもらうという大学もあります。この場合には、図書は消耗品扱いにはなるものの、その大学の消耗品として大学の個人研究費によって購入されたというスタンプが押されることがあります。この場合購入時に少し手間がかかりますが、これらの図書は自分が別の大学に移る時や、退職するときには持ち出すことができますので、ある意味で安心して書籍を購入することができます。また、私がかつて在職した大学では、図書は完全に消耗品と同じ扱いになり、検収もなく、大学の図書館のスタンプを押されることもなかったというケースもありました。

雑誌の扱いはどうなるのか

研究に必要な書籍とは別に、教員の専門領域の雑誌も研究には必要になってきます。とりわけ専門領域の国際雑誌は、大変貴重な研究のための参考資料となってきます。もちろん、こういった専門雑誌を大学の個人研究費で購入することもできますが、通常は、大学が独自の図書館予算をもっており、その予算を使ってさまざまな分野での有名な国際雑誌の購入契約をしているのが普通です。ただ、このような国際雑誌は年々価格が高騰しており、また為替変動の影響も受けて、あまり教員に利用されない国際雑誌は購読が停止される傾向にあります。なお、自分が勤務する大学で必要な国際雑誌が契約されていない場合、自分の個人研究費で購入するという方法もありますが、かなり高額なものも多いので、それは得策ではありません。また、まだ専任職を得られてなく非常勤講師として大学に勤務している場合は、そもそも個人研究費すらもらえません。ただし、その場合には、必要な国際雑誌と契約をしている大学に非常勤講師として勤務するという裏技があります。もしもそのような大学に非常勤講師として雇用された場合、たとえ非常勤講師であっても、給与は別として大学の教育・研究の面ではその大学の専任教員と同じような扱いを受ける部分があります。つまり、非常勤講師であっても、その大学の図書館の入館証をもらうことができますし、またその大学のEメールアカウントをもらうこともできます。紙ベースの雑誌で有用な論文を見つけたら、図書館でコピー代の実費を支払ってその場でコピーすることができます。また、最近では国際雑誌は電子版での契約も多くなってきていますが、その大学のネットワークに入り、大学の図書館経由などでアクセスすることによって、電子版の国際雑誌を閲覧したり、ダウンロードしたりすることができるようになるのです。また自宅からでも大学のネットワークにログインし、図書館のサーバー経由などで国際雑誌にアクセスできるというケースも増えています。

旅費やその他の内容での支出はどうなるのか

さて、研究活動では学会に参加したり、各種の調査を実施することがあり、そのための旅費も必要です。また、アプリを購入する、サブスクリプションを購入するというケースもあります。ただ、これらについて書いているとかなり長くなりますので、別の投稿でふれたいと思います。

それではまた次回の記事で。

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