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大学教授になって英語を教えよう!:研究室について

研究室は自分専用オフィス


今回は、研究室のことについて話をしたいと思います。会社員の方、あるいは公務員の方など仕事場には自分の机があると思います。しかし、仕事に必要な書籍、あるいはその他さまざまな資料というものは、職場の机の上に置くだけでは、スペースが不足していませんか。このため、自宅にもそういった書籍あれば資料が置かれているのではないかと思います。しかし、大学の専任教員になった場合、まともな大学であれば研究室がそれぞれの教員に与えられます。そこには事務用の机、書棚、少人数のゼミ活動するための作業用の机と椅子などが完備されています。つまり、自分専用の個室の専用オフィスが与えられるのです。また運が良ければ、就任時にはパソコン一式が提供されるというケースもあるかもしれません。

研究室があることの強み

このように自分の研究室、つまり自分だけが使えるオフィスがあるということは大変大きな強みになります。書籍やその他資料をたっぷりその場所に収納することができますし、それに重要な資料が手の届く範囲にあるという環境で仕事ができるということは、仕事の効率化からいっても大変恵まれているといえるでしょう。時には学生の相談に個人的に乗るということもあるでしょうし、また、研究の話を同僚とする、あるいは他大学、企業等を招いて研究の話や打ち合わせなどをするという場合にも、この研究室というのは大変重宝します。

いわば一国一城の主になるわけです。基本的に、研究室は朝から夜遅くまで使うこともできますし、早朝から授業前の時間帯にも使うこともできます。大学の施設管理のルールにもよりますが、土曜日や日曜日、あるいは祝日にも使用可能です。調べ物をする、あるいは書き物をするといった場合にもパソコンが必要ですし、また部屋の照明も必要ですね。当然そうすると電気代も必要なわけですが、このような電気代はもちろん大学負担になります。授業の準備をする、そして研究をするということは、大学教員としての業務になりますから、当然の事といえば当然です。今日では、ほとんど教室ではチョークを使わずにホワイトボードにマーカーで書くことが多いため、あまり必要ではないかもしれませんが、チョークを使って授業する場合、どうしても手が汚れてしまいます。このこともあって、個々の研究室には水道が通っていて洗面台が完備されるのが普通です。そうすると、もちろんポットを持ち込んで、授業のない空き時間にはお湯を沸かして、お茶を飲むというようなことも可能になります。また、夏場は暑くてどうしても喉が渇きますから、冷たい飲み物が欲しくなります。接客でも飲み物は必要でしょう。そのような場合、私物ではありますが小さな冷蔵庫を持ち込んで、そこにさまざまな飲み物を用意しておくということも可能です。

今日ではインターネット接続が研究、教育ともに必須です。このため研究室にも大学のネットワークに接続するための情報コンセントが整備されているのが普通です。ここからイーサネットケーブルで自分のパソコンに接続することで大学のLANに接続可能となり、必要な認証を経てインターネット接続も可能となります。WiFiも利用可能な場合もありますが、やはり有線接続の方がアクセススピードは速いようです。

なお、各種消耗品は自前で用意する、あるいは大学の個人研究費などで購入する必要があるケースがほとんどです。かつて公立の高等学校教員をしていた時代には、基本的な文具は着任時に支給され、事務担当職員にお願いすればさらに追加のボールペンなど消耗品などはいただけたのですが、大学ではそのようにはならないと思います。

新職場の研究室への引っ越し

研究室には通常書棚などが完備されていますので、かなりの量の本を保管することができます。ただ、以前の職場、あるいは自宅から大量の本などを運ぶのは大変です。このような場合、運送業者に依頼して運んでもらうことになることがありますが、大学によってはその運搬費用が支給されることがありますので、着任前に事務職員の方に確認しておくといいでしょう。ただ、研究室の鍵は着任して初めてもらえるので、荷物を送った場合、就任予定の大学にあらかじめ連絡しておく必要があります。到着日時がはっきりわかっている場合には本人自身が大学に行き、担当職員の方から研究室の鍵を借りて研究室を開錠して、運送業者に対してその場で搬入の指示をすることができます。遠隔地である、あるいは到着時間が事前にはっきりわからない場合には、就任予定の大学の事務職員の方に依頼して、荷物を仮に保管してもらえる場所の確保をお願いしないといけません。

実は、まったく新設の学部に採用され、研究室も新築の建物内にあって真っさらであるという可能性はほとんどありません。たいていの場合には、学部内で退職される先生がおられ、その先生の研究室に入ることになります。問題はその退職される先生がいつご自分の荷物を搬出するかです。これは一種の玉突きで、着任の日が近づいているのに、自分が入る予定の研究室がなかなか空かないというケースが結構あります。退職される先生に早く荷物の搬出をお願いしたいところですが、その方が定年退職ではなく、別の大学に移られる場合、その方にも同じ問題が生じます。ですので、特に本や大きな電化製品などが問題になりますが、荷物の搬入にあたっては就任先の事務職員の方と綿密に「引越し」の打ち合わせをする必要があります。

なお研究室の広さはさまざまですが、筆者の過去の経験から言えば、大体20平方メートル前後、6〜7坪前後の広さが多かったと思います。過去に訪問した他大学の研究室では、もっと広いものもありました。国立大学のケースですが、軽く見積もっても2倍、つまり40平方メートル程度の研究室も見たことがあります。

研究室についての注意事項

最近では研究室のドアは透明のガラス張りになっている、あるいは10cm〜20cm程度のガラスがスリット状に縦にはめ込まれているものが多くなっています。これはセクハラ防止のためです。研究室は密室になります。このためセクハラ、パワハラの温床となる可能性もあります。それを防止するため、通路から研究室内部が見えるようになっていることが多いと思います。万一、研究室のドアが完全に密閉され、廊下からまったく内部が見えない仕様の場合には、訪問者、特に異性の学生や教職員などがある場合にはドアを少し開けておくのがいいでしょう。そうすることであらぬ疑いをかけられることもなくなります。

研究室ではお湯をわかすために電気ポットを持ち込まれることも多いと思います。また、エアコンはたいてい完備されているはずですが、ちょっと足元だけ暖をとるため、電気ストーブを持ち込む方もおられます。そのような場合、常に火事にならないように注意しておく必要があります。夜には守衛さんが建物を巡回してチェックされる大学が多いとは思いますが、一度出火してしまうとどうにもなりません。また、帰宅時には研究室の窓をしっかり施錠しておく必要があります。知り合いの先生がかつて不注意で少し窓を開けて帰宅してしまい、不在中に豪雨と突風で研究室が水浸しになったこともありました。研究室は先生個人が自由に使えるのですが、管理責任もあるということは肝に銘じておく必要があります。

それでは、また次回の記事で。

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