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ついに7年ぶりの「取り付け」騒ぎ(p.193)発生

これはまだ一連の事態の序の口で、今から一定程度までは連鎖的に拡大してゆき、共産党による統治を揺るがせてゆくはずです。
画像の南京銀行は名前からもお分かりのように地銀の大手行です。今回の事態はそもそも、今春もっと田舎の河南省で起きた小規模の金融機関に対する預金者の抗議活動にすぎなかったのですが、南京銀行にまで飛び火した形です。
・ 日経での報道は今回が初めてですが、現地での取り付けは9月初めから始まっていたとのことです。
・ これに先立って、8月には別の地方で立て続けに小規模の銀行の破綻も生じています。
・ 一連の事態の伏線は、金融不安を恐れる当局(銀保監会)が2021年に、銀行による営業拠点外からの預金受け入れを禁止したことでした。これが中小銀行の収益源を奪い、地方の金融機関は追い込まれてゆきます。
・ くわえて今回、新規に「不良債権処理加速地域」の指定が導入され、6省が指定されました(具体的な地域は未公表だが、河南省以外に東北地方の省や村鎮銀行が多い省が対象)。
・ 財政部(財務省)は2020年から翌21年夏にかけて「インフラ債を使った公的資金の注入は今回の一度限り」と表明したうえで、日本でいえば建設国債に当たるインフラ債を原資として、巨額の公的資本の注入による不良債権処理を進めました。

今後はこうした公的資金注入が常態化してゆくでしょう。そして本書にも述べたとおり、そもそも中国の統計は信頼性が低く(pp.191-192)、当局の金融機関の債権に対する監査にも手心が加えられていることから(pp.189-190)、簿外の債務は当局にも把握できてはいませんので、今からの不良債権処理はまさに焼け石に水です。


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