財政マネタリストが使い続ける相関グラフ
「税は財源ではない」カルトの教祖の一人・中野剛志が、近著の『どうする財源』で例の散布図を引用している。
財政支出でGDPをコントロールできるという「財政マネタリズム」とでも呼ぶべき論である。
このグラフは起点(t=0)とn年後の名目GDP(Y)と一般政府支出(G)の関係が
$$
\frac {Y_n}{Y_0}≒\frac {G_n}{G_0}
$$
となっていることを示している。これを変形すると
$$
Y_n≒\frac {Y_0}{G_0}G_n
$$
となる。$${\frac {Y_0}{G_0}}$$は定数なので、$${Y_n}$$は政府が決める$${G_n}$$によって決まる、というのが積極財政派の主張だがそうではない。
式を
$$
\frac {G_n}{Y_n}≒\frac {G_0}{Y_0}
$$
と変形すれば、ほとんどの国は一般政府支出の対GDP比($${\frac {G}{Y}}$$)をほぼ一定に保つということを示しただけに過ぎないことが分かる。
IMFのWorld Economic Outlook Databaseから先進36か国について示したものが👇だが、
この2001年と2019年を比較するとこう👇なる(左下が日本。
収入でも同様の関係が見られるが、因果関係が政府収入→名目GDPの向きではないことは明らか(増税して税収を増やすほど名目GDPも増えることになってしまう)。
積極財政派の学習能力の低さには呆れさせられる。