「日本の家計が値上げを受け容れている」理由
日本銀行の黒田総裁の「日本の家計が値上げを受け容れている」は、
東京大学の渡辺努教授のサーベイ👇を基にしている。
だが、おそらくこの仮説は外れている。家計は「コロナ禍のために消費が減った→結果的に貯蓄が増えた→値上げに寛容になった」よりも、値上げの主な理由が原材料の国際価格の高騰&円安だと知ったために、「値上げ圧力は全国に行き渡っている→他店も値上がりしている可能性大→他店に移っても骨折り損のくたびれ儲けになる→その店でそのまま買う」となったと考えられる。
仮説の妥当性は別として、「ひとつの仮説」として言及しただけでヒステリックに批判されるのはおかしい。悪い前例になってしまうので、黒田総裁も撤回するべきではなかった。
オリックスの宮内シニア・チェアマンが1994年に言った通りで、賃上げは株主に対する裏切り行為なのだから、コストプッシュインフレになっても企業には賃上げをする理由はない。👇は1994年2月の「舞浜会議」における宮内(オリックス社長)・今井(新日本製鉄社長)論争。
宮内論が極めて左派的/リベラルなことにも注目(例:国家社会よりも個人の自由が大事)。その後の構造改革は従来の革新勢力も支持したから成功した。