『Unmasking Autism』―読むのが苦痛なWOKE本

自閉症に関する新たな知見が得られるかと思って読み始めたら、これまでのASD研究は白人の男が主な対象でDEIが欠けていると主張するWOKE本で、読むのが苦痛で仕方がなかった(それでも完読したのはwokeの自閉症研究への影響について知るため)。

であるからこそ、ASDかどうかは自分で決定すべきだという価値観を私は支持する。私は自己診断よりも、自己決定や自己認識という言葉のほうが好きだ。ASD者のアイデンティティは、厳密な医学的なレンズより、社会的なレンズを通して見るほうが理にかなっていると思うからである。診断は門番のようなものだ。貧しい人、多忙な人、肌の色が濃い人、女性的な人、クィアな人、ジェンダー規範に当てはまらない人などの目の前で、重い柵をピシャリと閉じる。公平な診断を受けられないASD者は、私たちの中の誰よりも切実に連帯と公正を必要としている。彼らを締め出すことがあってはならない。

p.68-69

客観ではなく主観というWOKEな主張だが、著者のメンタルヘルスに問題がありそうに感じられたので調べてみたら案の定だった。

日本語訳の出版妨害で話題になった"Irreversible Damage"ではASD者(特に女)は「自分はトランスジェンダーでは」と思いやすいことが指摘されているが、この著者のPrinceはその典型例だと推測される。このような精神に問題を抱えた思想的に偏向した「専門家」によって自閉症研究が歪めらることが懸念される。

アメリカのAmazonなどのレビューでは高評価が多いが、自閉症についての知見を広げるという観点からは★一つが妥当である。

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