
「これは売れる!!」確信を持って提案したら本当に売れた話
この記事は 株式会社ベーシック Advent Calendar 2024 、19日目の記事です。
こんにちは!株式会社ベーシックでプロダクトマーケティングマネージャー(以下PMM)を担当しているまりえと申します。
普段は「ferret One」というBtoBマーケティングのオールインワンツールを育てながら、どうやったらお客様の「面倒くさい」をなくせるかを真剣に考えています。
普段は文章を書いたり、自分の考えを外に発信するのが得意ではないのですが、書くことで自分がやってきたことや考えを整理できると感じ、今回チャレンジしてみることにしました!
初めてのnote投稿なので、拙い点もあるかもしれませんが、どうぞお付き合いください!
PMMって何する人?
「PMMって聞いたことはあるけど、何する人?」と思う方もいるかもしれません。私も入社当時は何をする人かわかりませんでした。
ざっくり言うと、PMMは「何が売れるかを考え、顧客への浸透や活用を促す人」で、具体的にはこんなことをやっています。
プロダクトの価値をちゃんとお客様や社内に伝える
お客様が本当に必要としているものを見つける
つまり、「お客様に役立つプロダクトを作る」「それをうまく伝える」両方を担当するのがPMMの役割です。
「何が売れるのか、を常に考えています!」というとなんだか
「お金になりそうなことばっか考えてるの?」「セールス色が強くてやだなあ」と感じる方もいそうですが、少しだけ補足させてください。
「売れる」ということは「お客様に本当に必要なものを提供して、価値を感じて対価をいただけた」ということだと思っています。
なので私が「これ、売れます!」と鼻息荒く騒いでいる時は「このプロダクトはお客様に必要なものを提供できている!」「対価を支払うだけの価値がを提供できる!」と思っているということです。
PMMの所属はプロダクト部なのですが、今回noteでお伝えするプロダクトアップセルの売上を200%達成した2024年上期にはCS(カスタマーサクセス)部に身を置きながらCSのチームと一緒にエクスパンションの創出に注力していきました。
この記事を読んでほしいのはこんな人
この記事では、私がCSチームと協力しながらMA(マーケティングオートメーション)を強化して、エクスパンションの売上目標を200%達成するまでの裏側をお話します。
読んでほしいのはこんな方
PMMってどんな仕事してるのか気になる〜と言う人
ferret Oneのプロダクトでどんなプロダクトなのか気になる〜と言う人
MAについて課題があって解決したい人(おまけ)
「へぇ、こんなふうにプロダクト作ってるんだ」と思ってもらえたら嬉しいですし、あわよくば「ferret Oneのプロダクト使ってみたいかも〜」と思ってもらえたら大大大成功です!
MAを強化するぞ!でも、いきなり開発がストップ!?
MA強化の話が出たのは2022年。ちょうどその頃、私はPMMとしてferret Oneにジョインしました。
「ん?2022年からってことは…だいぶ開発に時間がかかったんですねえferret Oneさん」
と思うかもしれませんが、違うんです。本当に、色々あったのです。
実は私が入社した当時、プロダクトの開発や機能リリースしてからの顧客の装着にはさまざまな問題がありました。当時は顧客の解像度も低く「何を開発すると顧客に役立つのかがわからない」「必要条件がわからず、想定以上に開発の要件が膨らみ時間がかかる」「時間をかけて開発したのに要件がマッチせずに使われない」なんて課題が山積み。
MAの開発をしよう、と決めた際もその当時は他社のMAにある機能を実装しようと考えており、結果開発工数が多くかかる見積もりになっていました。
それもこれも「顧客の解像度が低い」ことからくる問題。
そんな中、「まずはちゃんと顧客を理解しよう」と方向転換することになりました。冒頭でお話したように、元々PMMはプロダクト部の所属ですが一時的に兼務でCS組織に身をおいて、実際に顧客の商談に同席も行いながら顧客の解像度を高めていきました。
現在の利用顧客を調べてみると、多くの方が「新規リードの獲得」に課題を抱えていることが判明。そこで、「新規リード獲得を支援する機能をまず優先的に強化しよう!」と、当時予定していたMAの開発を一旦ストップすることに。これが2022年から2023年にかけての大きな決断でした。
下記の画像は、弊社が提唱するBtoBマーケティングの教科書、グロースステップを元に顧客のマーケティングの進み具合を可視化したもの。

STEPごとにやるべきことやその施策を回すために必要な機能をまとめました。プラン設計もこのSTEPに合わせて機能やリード数上限などを決めて作成をしています。
そんな紆余曲折があり、「新規リード獲得」を行うための機能開発が一定済んだところで、満を持して、MA強化を2024年に行うことになりました。
PMMの仕事① ユーザーヒアリングで見えた顧客の課題と提供価値の提言
MAの開発を進めることが決まったとき、まずやったのがユーザーヒアリングです。実は2022年の段階でも一度やっていたんですが、改めて「MAで解決できる課題」と「提供する機能」について深掘りするため、再びお客様の声を聞きに行きました。
ヒアリングで分かったこと
ほとんどの企業が、MAを使いこなせていない
導入にコストはかけたけど、メンテナンスが大変で放置されている
運用しても思ったほど成果が出なくて、コストに見合わないからやめちゃったケースが多い
正直、驚いたのは「ちゃんと運用している企業ですら成果が出にくい」という事実。細かい設定や自動化を頑張っても、その手間やコストに見合った結果が得られないことが多かったんです。
ちなみに、弊社のマーケティング部でも以前はMAの定番機能、シナリオやスコアリングを使っていました。でも、こちらも「コスト>成果」になってしまい、結局やめていたことが判明…。「MAで本当にやるべきことってなんなんだろう」と真剣に考えた記憶があります。
ferret Oneが目指すべき「MAの価値」とは?
MAの開発を進める際、ヒアリングで集めた情報を基に、プロダクト・開発チームで徹底的に議論しました。
本当に顧客に必要なものは何か?
MAを使って顧客にどんな価値を提供できるのか?
たどり着いた結論は、お客様がやりたいことは「MAを使いこなす」ことではなく「商談機会の最大化」を実現すること。そのためには顧客の興味を惹くコンテンツを作り、検討を始めたタイミングを逃さずに検知する仕組みが何よりも重要だと私たちは考えました。
そのため、ferret Oneではコストをかけずに成果を出せる環境を用意できるMAにしようと考えました。
MAの開発をストップする前に決めていた要件は他社と変わらない機能の実装で多くの開発工数がかかる試算でしたが、顧客に必要な機能をチームで考えたとき「そんな多機能は必要ない」と「やるべき事に絞って実装しよう」決めた結果、開発も最短で終えることができ、お客様にスピーディーに機能を提供できる状態を作ることができました。
リリースの計画がたったとき、「このMAは売れる!!」と自信がありましたし、実際にヒアリングや商談同席でお話を聞いたことがあるお客様には「このお客様には絶対提案したい」と思いながら開発を進めていた記憶があります。
PMMの仕事② 顧客のコミュニケーション設計
プロダクトのリリース計画が立ったら、次にやるのは「お客様にどうやって周知していくか」を決めること。ターゲットとなる顧客にしっかりと価値を伝えるためのコミュニケーション設計を行います。
このあたりのフローは、2023年にAIアシスタント(現在はAIBOW)をリリースしたときにある程度決めていたので、それをベースに進めていきました。

基本の流れ
リリース時の基本的な流れはこんな感じです:
リリースと同時に説明会を実施
お客様に直接説明し、興味を持ってもらう機会を作ります。
興味を持った方には無料トライアルを提供
実際に使ってもらいながら、価値を感じてもらいます。
不明点を解消しつつ活用イメージを共有し、クロージング
使い方が分からない、イメージが湧かないという課題を解消しながら、導入をサポートします。
この流れは、どんなリリースでも基本的に踏襲しています。
MAの場合はどう進めたか?
MAの強化に関しては、2024年2月から5月まで随時アップデートが走る計画だったため、途中でβ版をリリースしながら進めていました。その都度、お客様にどのタイミングで告知するのが最適かを調整しながら進行。特にMAは複数の段階で価値を伝える必要があるため、計画的にアプローチしました。

チームプレイで成功を目指す
もちろん、これらすべてを一人でやるのは無理なので、CS(カスタマーサクセス)チームと協力して進めました。例えば、セミナーの呼び込みやお客様とのミーティングでクロージングをかける部分はCSと連携して対応。
さらに、自社のMAツールを使ってセミナー運用を行ったことで、運用データから改善ポイントが見えてきたり、お客様へのトークにも深みが出たりしました。MAツールの実践的な活用が、結果として施策の精度を上げることにつながりました。
実際に行った機能アップデートの説明会

当時はカスタマーマーケティングチームが存在しなかったため、企画・登壇はプロダクト側で行うことが多かったですが、2024年下期からはカスタマーマーケティングチームが発足し、セミナーを活用した取り組みについては大井さんがアップデートしながら取り組んでくれました。
ぜひ、具体的にどんな工夫をして成果に繋げたかは大井さんのnoteをご覧ください!
カスタマーマーケティングチームについて知りたい方はぜひ、梨木さんのnoteもご覧くださいませ。
クロージングに必要な事例作りも自分で進める
クロージングを成功させるためには、成功事例の提供も重要です。リリースに伴い、活用コンサルティングを実施し、お客様に実際に新機能を試してもらいました。
機能の説明を行いながら、使用感や感想をフィードバックとしていただき、「商談機会の最大化」、つまり商談獲得の増加を一緒に目指しました。どのポイントでつまずくか、仮説どおりに施策を進めると本当に成果が出るのかを、お客様と一緒に体験する中で、成功事例を作り上げていきました。
<実際におこなったコンサルティングの資料>

PMMの仕事③ プロダクトアップセルの計画
PMMはプロダクトを売れるようにする人、と冒頭でお話しましたが、役割としてはプロダクトの売上責任を持つことになります。
そのため、アップセル(追加購入やプランアップグレード)の売上目標を達成するために、具体的にどんな施策をやるべきかを考えるのもPMMの重要な仕事です。
売上達成のためにやったこと
②でお話したようなコミュニケーション設計はもちろんですが、CS(カスタマーサクセス)チームとも協力して進めました。たとえば:
ferret Oneを利用するお客様にはどんな課題があるか?
その課題を解決するにはどの機能がマッチするか?
これを、グロースステップの流れに沿って整理しながら進めました。そして、「仮説どおりに成果が出るか」を実際に検証していきました。
結果はどうだったのか?
結果として、プロダクトアップセルの売上は半期で目標の200%を達成!
今回MAで価値を提供できると考えたお客様は、グロースステップの中でもSTEP4以上、「リードの母数が増えてきており、ナーチャリングが必要になるタイミング(顧客を育成する)」というフェーズのお客様。そのお客様にしっかりと提案を行った結果、価値を感じてもらうことができ、結果として売上貢献に繋げることができました。
一方で、それより前のSTEPのお客様には「新規リード獲得」のニーズが強かったため、記事作成をサポートするAI機能など、別の機能でニーズを満たす提案を進め、こちらもしっかりと価値を感じていただけました。
なぜうまくいったのか?
今回、プロダクトのアップセルが大幅に達成できた理由を振り返ると、プロダクト・開発・CSの全員が顧客の課題をしっかり理解し、その解像度を高めて提案や開発に臨めたことが一番大きかったと思います。
過去、MAの開発がストップした頃は、
「何を開発すれば顧客に役立つのか分からない」
「必要な条件が曖昧で、開発の要件がどんどん膨らむ」
「時間をかけて開発したのに、要件が顧客のニーズにマッチせず使われない」
つまり、「作っても使われない」「時間ばかりかかる」という課題がありました。
そんな状況を変えるために、まずグロースステップをベースにプランの設計やプロダクトの機能を考えるようにしました。このSTEPを基に、「どの顧客に、どの機能を提供すればいいか」を明確にし、プロダクト・開発・CSの全員で同じ認識を共有。
具体的には、開発メンバーにも「この顧客にはこれが必要」という意識を徹底してもらうため、トイレの扉にまで貼り紙をするくらい情報を浸透させました。(本当に貼ってくれたかどうかはわかりません)
「顧客が本当に求めているものは何か?」「それを達成するために何が必要か?」
これを考え抜いてプロダクトの価値を高めていった結果、「これは売れる!!」プロダクトを作ることができ、今回の大きな成果につながったのだと思います。
結局、顧客にしっかり向き合うことが、プロダクトの成功の一番の近道なんだなあ、、と思います。
現在、私は兼務していたCS組織から異動をし、今はセールス部と兼務しながら今度は新規のお客様の解像度を高めています。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます!今回は、私がPMMとしてプロダクトにどう向き合い、どんな思いでMAの機能を作ってきたのかをお話ししました。
<PMMってどんな仕事してるのか気になる〜と言う人へ> 「PMMって実際何してるの?」と思っている方に、ferret OneのPMMの取り組みをちょっとご紹介しました!少しでも「なるほど、こんな感じなんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。 同業の方、「PMMってどうやって進めるのがいいんだろう?」なんてお悩みがあれば、ぜひ飲みながら語り合いましょう!(@marie_basic)
<ferret Oneのプロダクトでどんなプロダクトなのか気になる〜と言う人へ>
ferret Oneは、BtoBマーケティングの施策をもっと実行しやすくする環境を提供しています!
「今のツールが使いにくい」「施策を進めたいけどなぜか行き詰まっている」そんなお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。その課題、ferretが解決できるかもしれません!
▼BtoBマーケティングでお困りの方はぜひ
それでは、次のアドベントカレンダーは、の私の大好きな制作チームのお母さんである安座間さんの「もったいないサイト」をどう救う?制作グループ初ウェビナーで見つけた学びと可能性です!お楽しみに!✨️