少し肌寒い深夜に

季節の変わり目のある深夜、散歩に出かけたくなり、そっと家を出た。

外は予想通り涼しく、気持ちいい散歩が出来そうだ。私は一日中していたイヤホンを外し、ひんやりとした空気と静けさを思いっきり吸い込んで歩き出した。

街灯と信号機の光だけを頼りに近所の公園に足を進める。私の足取りは自然と軽くなり、絡まった思考もリセットされた気がした。

初めての夜の散歩に新鮮さを感じながら、踊るように歩き続けた。

目的の公園に着くと近くにあるベンチに腰を下ろした。
少し上がった息が落ち着くと一気に孤独を感じた。田舎の深夜の公園には誰もいない。都会よりかいくらかきれいな星空と乾いた自然を体全体で感じていた。

肌寒さを感じ始めたときには、思った以上に時間が経っていた。半袖半ズボンはまだ早かったかもしれない。

早く家に帰る為自然と足取りは速くなる。私は寒さから逃げるように歩き続けた。ようやく家に着いたとき、すでに体は冷え切っていた。

静かに家に入ると、暖かさと安心感が私を出迎えた。
深夜の散歩は魅力的だったが私にはまだ早かったのかもしれない。
いつか夜の似合う大人になりたいと思った。


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