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Vol.60 大学生の私がウガンダで感じた無力感から出した1つの答え。#3
こんにちは〜杏です!
「ウガンダの村でホームステイをしていた私が伝える、アフリカ生活のリアル」第3弾では、ウガンダで感じた無力感から考え続けて至った、私の答えについて書こうと思います。
ウガンダ生活での養蜂との出会い
ウガンダの村生活の中で、メインでは小学校ボランティアをしていましたが、いろいろなことにも挑戦させてもらいました。例えば、ホストファミリーが行っている農業・牧畜・養蜂。
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この中で私が特に夢中になったのが養蜂です。
私にとって蜂は怖い存在にしか過ぎなかったのですが、養蜂家であるヘンリーと出会い、蜜蜂の魅力と養蜂の可能性を知りました。
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ウガンダでは、人口の74%が農村地域に住んでいて、66%が農業をしています。私が住んでいた農村地域でもほとんどが農家でした(Farm Africa)
また、ウガンダはアフリカの真珠 (Pearl of Africa)と呼ばれ、アフリカの中でも特に土壌や気候が豊かだと言われています。
そんなウガンダでは、さまざまな作物が生産されています。最も盛んに育てられているのはバナナやコーヒー。その他にも、パイナップルやマンゴーなどの南国フルーツやサトウキビ、ジャックフルーツ、パパイヤ、スイカ、パッションフルーツなど…。数え出したらきりがありません(笑)
美味しい果物がいっぱいでフルーツ好きにはたまらない国です!
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そのような農業が盛んなウガンダで、なぜ養蜂に惹かれたのか。
私はヘンリーと出会うまで養蜂のことについて全く知りませんでした。しかし、ヘンリーから養蜂について教えてもらう中で、養蜂がたくさんの可能性を持っていることに気がつきました。
その最初のきっかけは、ヘンリーが作っている蜂蜜を初めて食べた時です。村生活の中でフルーツからしか糖分を摂取していなかった時に食べたあの蜂蜜の美味しさを忘れられなかったのです。
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日本の蜂蜜とはまた違った味のウガンダの蜂蜜。すっきりとしていますが、濃厚でとっても甘い…!
そもそも日本では蜂蜜が高く、あまり食べたことがなかったことも相まって、このとき蜂蜜の持つパワーに本当に感動しました。
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そして、実際に養蜂場で採蜜を体験させてもらいました。最初は蜂に刺されないかとてもビクビクしたいたのを覚えています(笑)。
何度も採蜜に関わらせてもらいましたが、最初の時は全く刺されず、、最終的に刺された回数は、攻撃性が高い蜂の採蜜をした時に刺された3回だけ。上手くコミュニケーションを取れば、蜜蜂は思ったよりも全然刺しません!
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蜜蜂が持つ毒素のことをbee venom(ビーべノン)と言いますが、その効力からウガンダでは、エイズ患者の治療にも使われているのだとか。
また、蜂蜜そのものにも栄養素がたくさん含まれていて、免疫を上げる効果があります。
私は毎日蜂蜜を食べるようになってから、肌も腸の調子もよくなったし、蜂蜜を食べるだけでたくさん食べても太らなくなったような気がします!(笑)
これは気のせいかもしれませんが、実際にウガンダの蜂蜜は、無添加・非加熱なので質が高いです。
蜂蜜の中には、実はシロップ入りであったり加熱されていたりで本来の蜂蜜の栄養素が入ってないものがあります。
本来の蜂蜜の栄養素が入った蜂蜜には、ミネラルや酵素などの栄養素がたっぷり含まれていて、味もとても美味しいです。
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またウガンダの蜜源は、コーヒーやバナナ、マンゴー、シナモン、ユーカリ、など日本のものとは全く違います。蜂蜜は蜜源となる花によって味も栄養素も変わるので、ウガンダの蜂蜜はウガンダだからこそ作られる、唯一の蜂蜜ということです。
ちなみに、コーヒーの花から採れたウガンダの蜂蜜は、砂糖の代わりとしてコーヒーと相性抜群です。
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ウガンダの養蜂事情
そして、皆さんもご存知のように、蜜蜂は果物や食物を生産する受粉に欠かせない存在です。世界の受粉の7割は蜜蜂が担っています。
現在、村では養蜂は伝統的な方法で行われており、安全に養蜂ができる人は僅かです。ヘンリーは10歳の時から養蜂を始め、独学とさまざまな場所で経験を積み、ウガンダだけではなく海外の養蜂家からも慕われている養蜂家です。
ヘンリーは、大学で機械系を学びエンジニアになりましたが、蜂が大好きすぎるあまり養蜂ビジネスを立ち上げるという夢をずっと持っていました。そして、その夢を実現させるために3つの仕事(エンジニア、バター作り、養蜂)をしてお金を貯め続けてきました。
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ヘンリーの夢は、貧困農家に養蜂トレーニングを行い彼らの収入向上を目指すこと。農家さんはほとんど自給自足なため、自分たちで食べる分しか生産できていない状態です。
しかし、養蜂をはじめると受粉が盛んになるため、同じ土地で作物を育てても1.2〜2倍くらいの生産量を増やすことができます。(実際に日本では、巣箱を農家に貸し出したりしています。また、蜜蜂は自然の中に生息していますが、蜂の巣を木の隙間など不安定なところに作ります。ところが、巣箱を置くことで、安定したところに巣を作ることができるので、蜂にとっても良いのです。)
そうすれば、農作物の生産量が増えるのでその分の収入が増えますし、ハチミツからの収入も得られます。
そして、なによりも養蜂は他の事業よりも土地や労力を必要としないので始めやすいのです!
養蜂の課題とこれから
ただ、ウガンダの養蜂には課題が…。
近年急激に進む農薬使用により蜂が影響を受けています。しかし、ウガンダでは、環境問題を気にする人が多くありません。
農薬が環境に影響があるということには気が付いていても、それがどれほどの被害に繋がるのかを知らない人が多いのです。
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そんな農家さんが養蜂を始めることによって、農薬などの環境への害に意識が向き、環境問題の重要性に気づくことができるはずです。環境教育としても養蜂は非常に重要な役割を果たす可能性があります。
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このようなウガンダの可能性に満ちた蜂蜜で、国際協力を模索したいと思い、私はヘンリーと一緒にBee Powerという会社を設立しました。(2024年7月)
ウガンダの魅力がいっぱい詰まった蜂蜜をウガンダの特産品として世界に広めていくこと。
これが私が辿り着いた1つの答えです。
ここまでつらつらとウガンダの養蜂について書いてきましたが、少しでもウガンダや養蜂について知ってもらえたら嬉しいです!
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ライター プロフィール
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横浜市立大学 国際教養学部3年
国際関係や教育について学んでいます。現在、ウガンダの農村地域の収入向上を目指し、養蜂×国際協力でクラウドファンディングに挑戦してます!