中小企業でもできる!上場しないホールディングス化で事業を多角化
ホールディングス化とは?
ホールディングス化とは、複数の企業が一つの持株会社(ホールディングス)傘下に入り、グループとして経営を行う形態のことです。各企業は、それぞれの事業を子会社として独立して運営しながら、ホールディングスがグループ全体の戦略策定や経営管理を行います。
ホールディングス化のメリット
経営の効率化: グループ全体の資源を有効活用し、シナジー効果を発揮できます。
リスク分散: 複数の事業を持つことで、業績の変動リスクを分散できます。
資金調達の円滑化: グループ全体で資金調達を行うことで、個々の企業よりも有利な条件で資金調達が可能になります。
M&Aの活性化: グループ全体でM&Aを検討することで、より大きな規模のM&Aが可能になります。
企業イメージ向上: グループ全体でブランド力を強化し、企業イメージ向上を図れます。
ホールディングス化のデメリット
初期コスト:設立や運営に伴うコストが発生します(税務・法務手続き、ITシステム整備など)。
運営の複雑化:グループ全体の調整が必要で、意思決定が遅れる可能性。
グループ内競争:事業会社間で利益配分やリソースの取り合いが発生する場合がある。
法的リスク:公正取引委員会の監視や法令違反のリスクが増加。
対象企業の選定と評価
ホールディングスに組み込む企業は、それぞれの事業の収益性、成長性、リスクなどを総合的に評価し、選定します。 シナジー効果が期待できる企業を選ぶことが重要です。 単なる企業数の増加ではなく、グループ全体の価値を高める企業を選び出す必要があります。 デューデリジェンス(企業価値評価)は必須です。
ホールディングス化の方法
ホールディングス化の方法には、大きく分けて以下の3つのパターンがあります。
1. 新規設立型:新たな持株会社を設立し、既存の複数の企業を子会社化する。
メリット: 新しいスタートを切れる、柔軟な組織設計が可能
デメリット: 設立手続きに時間がかかる、費用がかかる
2. 株式交換型:既存の会社を持株会社に転換させ、•既存の会社が保有する株式と交換する。
メリット: 手続きが比較的簡単、既存の顧客や取引先との関係が維持できる
デメリット: 既存の会社の負債も引き継ぐことになる
3. 株式移転型:既存の会社が保有する株式を、新たに設立する持株会社に移転する。
メリット: 税制上の優遇措置が受けられる場合がある
デメリット: 法律的な手続きが複雑になる場合がある
4.分社化:現在の事業部門を分社化し、親会社が持株会社となる方法。
ホールディングス化のポイント
目的の明確化: ホールディングス化によって何を達成したいのか、明確な目的を設定する。
グループ全体のシナジー効果: 各社の強みを活かし、グループ全体のシナジー効果を最大限に引き出す。
ガバナンス体制の構築: 透明性が高く、効率的なガバナンス体制を構築する。
M&A戦略: M&Aを通じてグループの成長を加速させる戦略を策定する。
税務・法務の専門家との連携: 税務や法務に関する専門家のアドバイスを得ながら、手続きを進める。
法的・税務上の検討
ホールディングス化は、会社法、税法などの法律に準拠する必要があります。 特に、以下の点を詳細に検討する必要があります。
持株会社の設立形態: 株式会社、合同会社など
株式交換・合併: 既存企業の株式を交換したり、合併したりする際の法的・税務上の処理
税制上の優遇措置: グループ会社間取引における税制上の優遇措置の活用
会計処理: グループ全体の連結決算処理
複数の企業が集まる際の注意点
企業文化の融合: 異なる企業文化を持つ企業が統合されるため、文化の衝突や統合に時間がかかる可能性がある。
経営陣の統合: 経営陣の統合や人材の配置に時間がかかる可能性がある。
情報システムの統合: 異なるシステムを統合する際に、トラブルが発生する可能性がある。
従業員のモチベーション維持: 組織変更に伴い、従業員のモチベーションが低下する可能性がある。
資金調達:ホールディングス設立には、多額の資金が必要になる場合があります。 適切な資金調達方法(銀行融資、株式発行など)を検討する必要があります。
ホールディングス化した持株会社の売上は、一般的に子会社からの配当金が主な収入源となります。
ホールディングス会社の主な収入源
子会社からの配当金: 子会社が得た利益の一部を、親会社である持株会社に配当として支払います。この配当金が、持株会社の主な収入となります。
経営指導料: 持株会社が子会社の経営に関する指導や助言を行い、その対価として受け取る費用です。
業務委託料: 持株会社が子会社に対して、経理や人事などの業務を委託し、その対価として受け取る費用です。
知的財産使用料: 持株会社が保有する知的財産(ブランド、特許など)を子会社に使用させ、その対価として受け取る費用です。
ホールディングス会社の売上と事業会社の違い
事業会社は、製品やサービスを販売することで売上を計上しますが、持株会社は一般的に自社で製品やサービスを販売することはありません。そのため、売上という概念は事業会社とは異なります。
ホールディングス会社の収益構造のポイント
持株会社は、子会社の経営を統括し、グループ全体の利益を最大化する役割を担います。
子会社の業績が、直接的に持株会社の収益に影響を与えます。
持株会社は、子会社からの配当金だけでなく、経営指導料や業務委託料など、様々な方法で収益を確保することができます。
持株会社は、通常の事業会社のように「商品やサービスを販売して得られる売上高」を持たない場合がほとんどです。
代わりに、収入は「配当金」や「経営管理費」など、子会社からの収入に依存します。そのため、子会社の経営成績が持株会社の収益に直接影響を与えます。
会計上の売上高は、持株会社の規模や役割によっては小さく見えることがありますが、利益率が高いことが多いです。
ホールディングス会社の売上に関する注意点
税務上の取り扱い: 配当金や経営指導料など、各収入源の税務上の取り扱いは複雑です。税理士に相談し、適切な処理を行う必要があります。
非課税となる場合: 事業会社が100%子会社の場合、持株会社が受け取る配当金は、一定の条件下で非課税となることがあります。
収益の安定性: 子会社の業績に左右されるため、収益の安定性は事業会社に比べて低い場合があります。
上場しないホールディングス化のメリット・デメリット
上場しないホールディングス化は、企業が非公開のまま、複数の事業会社を傘下に収めることで、経営の効率化やリスク分散などを図る手法です。上場企業と比較して、より自由な経営が可能となる一方で、いくつかの注意点も存在します。
メリット
経営の自由度が高い: 上場企業は、株主や市場の目を意識した経営を行う必要がありますが、非上場企業は、より長期的な視点で経営戦略を立案し、実行することができます。
情報公開の義務が少ない: 上場企業は、定期的に開示すべき情報が定められていますが、非上場企業は、その範囲が限定されるため、競合他社への情報漏洩のリスクを低減できます。
M&Aが円滑に進められる: 上場企業は、M&Aの際に株主総会の承認など、様々な手続きが必要となりますが、非上場企業は、よりスピーディーにM&Aを進めることができます。
経営者の意思決定が迅速: 上場企業は、株主総会など、意思決定に時間がかかる場合がありますが、非上場企業は、経営者の意思決定が迅速に行えます。
事業承継が円滑: 家族経営の企業などでは、株式の相続や贈与により、スムーズな事業承継が可能となります。
デメリット
資金調達が難しい: 上場企業は、株式を発行することで大規模な資金調達が可能ですが、非上場企業は、銀行融資や私募債など、限られた手段で資金調達を行う必要があります。
信用力が低い: 上場企業に比べて、信用力が低く、取引先との交渉において不利になる場合があります。
経営の透明性が低い: 上場企業は、定期的に開示すべき情報が定められていますが、非上場企業は、その範囲が限定されるため、経営の透明性が低いと見られることがあります。
株主との関係が複雑: 上場企業は、多くの株主と関係を持つ必要がありますが、非上場企業は、少数の株主との関係を構築する必要があります。
経営者のリスクが高い: 上場企業は、株主からの監視が厳しいため、経営者の責任が明確化されていますが、非上場企業は、経営者の責任が曖昧になる場合があります。
上場しないホールディングス化の注意点
ガバナンス体制の構築: 非上場企業であっても、透明性のあるガバナンス体制を構築することが重要です。
情報開示: 従業員や取引先に対して、必要な情報を適宜開示する必要があります。
M&A戦略: M&Aを積極的に活用することで、事業拡大を図ることができます。
事業承継計画: 将来の事業承継を視野に入れ、計画を策定しておくことが重要です。
まとめ
上場しないホールディングス化は、経営の自由度が高く、M&Aを円滑に進めることができるなどのメリットがある一方で、資金調達が難しい、信用力が低いなどのデメリットもあります。
自社の状況や目指す将来像に合わせて、メリットとデメリットを比較検討し、最適な選択を行うことが重要です。
この記事が、あなたの理解を深める一助となれば幸いです。
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