1stアルバムの発売を記念して、ライブをやることになりました。私の誕生日当日です。120席を埋めたいので、予定を空けておいて下さい。」という主旨のLINEが知人から送られて来た。そこまで仲が良い人じゃないし、一人でライブに行くほどにはJazzが好きな訳では無いので、一旦、無視した。
数日後、「1stアルバムが発売しました。是非聴いて下さい。」とLINEが来た。新幹線の移動中だったので、30分くらいのアルバムを無料で聴ける音源で聴き、簡単な感想とちょっとした質問を返した。すると、返す刀で丁寧な返信が来た。自分も移動中で暇だったこともあり、3往復くらいのやり取りをした末、ライブのチケットを購入した。
当日、120席の席はほぼ埋まりライブは大盛況であった。熱狂的な彼女のファンの姿も沢山あった。彼女の姿勢から学ぶことは沢山あると思う。ドブ板で泥臭く集客をしている。当日の客層から言うと、Jazzが好きか、彼女のことが好きか、そのライブハウスの常連かのいずれかだと思う。僕はいずれにも該当しない。
集客する側から見ても、来客の読みが存在するはずだ。ほぼ間違いなく来てくれる〜ほぼ無理だろうが来てくれたらラッキーくらいで分類していると思う。たぶん、僕は確度の低い潜在顧客層だ。おそらく僕以外にも、そういった確度の低い読みの方に沢山の連絡をしているのだろう。僕はたまたま新幹線の移動中だったからその連絡に目をとめたが、そうでなければ、おそらく無視していた。これは確率の問題である。
大量に行動を積み重ねると、良き偶然に巡り合う。大量に行動を積み重ね続けると、良き偶然に巡り合うことが偶然でなくなる。ライブに向けた練習も忙しい中、一人一人に連絡し、また、返信に対応するのは、なかなかの労力だと思う。無視されたり、断られたりして、少しずつ心が削られることもあるかもしれない。
集客には痛みが伴う。
昨今、SNSやクラウドファンディングの普及により、誰もが自分の挑戦を発信出来るようになった。以前は挑戦することが自体が価値であり、共感やお金が集まっていたように思うが、最近は共感やお金が集まる挑戦とそうでない挑戦の明と暗がはっきりとしている。
自身を顧みても3年くらい前までは、知り合いが立ち上げた/関わっているクラウドファンディングやイベントなどはほぼノールックでお金を出したり、参加をしていたけど、最近は割とスルーしていることが多い。自分の能力の問題なのだが、情報処理とスケジュールの対応が追いつかない。そんな中でも普段から仲良くさせてもらっている人の挑戦だったり、お誘いの連絡が自分のために書いてくれたんだなと分かる文章にはちゃんと応えたいと思う。まだまだ人間のアナログで勝負出来ることが残されている。
最後に、今回頂いたお誘いには、「空けておいて下さい。」「聴いて下さい。」とはっきりとした意思表示がなされていた。僕もやってしまいがちだけど、「もしよかったら、〇〇してもらえませんか?」等よりはよっぽど気持ちの良い表現だと思う。時と場合によっては後者のような表現が必要な場面はあるだろうが、断られた時の自分への慰めを保険として含んでいるような気もする。やって欲しいことは、はっきりとやって欲しいと伝える。拒絶され傷つくことを覚悟の上で。今回は色々と大切なことを教えてもらった。
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