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【PR NOW#012】 「推し活」ブーム往来!オタクの心理を掴む企業コミュニケーションとは?

こんにちは。プラチナムの恒光と申します。
平日はPRコンサルタントとして働き、休日は趣味のコスプレを極めています。

キャラクターへの愛を、体を張って表現するコスプレイヤーは、
いわゆる「オタク」に分類されるかと思いますが、
最近、そんな「オタク」たちの活動を指す「推し活」が頻繁にメディアで取り上げられているように感じます。
こうなる前から当然のように「推しがいる生活」を送ってきた身としては、昨今の騒がれっぷりに驚くばかりです。

アイドルやキャラクター、さらには旅館からコスメまで、自分の好きなものをアピールし、金銭を投じる行為が、世こんなにもポジティブ捉えられるようになった今、「推し活」を利用したPRを行う企業も増えています。
一方、オタクたちの推しへの熱量がゆえに、浅い理解で「オタク」を傷つけたり怒らせたり、空回りしている事例も見られます。

今回は、「オタク」の実態について当事者の目線から解説し、
どのようにPRに生かせるのか考えてみます。
※なお、筆者は女性の多いジャンルにいるため、やや偏った内容になるかと思いますが、ご了承いただければ幸いです。

1. 世の中の「オタク」像はここ10年で様変わり

ここ10年近くのオタク(※ここではアニメ漫画ゲームなどのジャンルを指します)の社会的ポジションの変化には驚くばかりです。
10年前は‟アニメキャラを愛している”、とすら言いづらい雰囲気がたしかにあり、オタクたちは掲示板や自分のHPをなど狭いコミュニティでひっそり交流していた印象がありますが、今や、状況は一変。
「『鬼滅』では宇随さん推し、だけど同時にSixTONESの森本君にもハマってる」など、ジャンルをまたいで自分の好きなものアピールする人増えたほか、かつて「オタクはオシャレに無頓着」という偏見も薄くなり、
今は上手に「推し色」をまとい“概念コーデ”を楽しむ人も増えました。

参考:「コロナ禍の推し活事情 髪色を「推しカラー」にする女子学生たちの気分上々」

SNSの影響もあり、それほどディープでなくても、セルフプロデュースの一環として「オタク」を名乗り、「#推ししか勝たん」と自分の偏愛を惜しみなくアピールする時代なのです。

2.「推し熱」利用は諸刃の剣!? 知っておきたいリアルなオタク事情

その「推し」への熱量を自社の製品サービスと結び付けたい!という企業が多くあるのも理解できるのですが、四六時中Twitterに張り付き、「推し」の動向を探り、愛とお金を注いでいる彼らは、むしろ界隈でネガ情報を拡散する危険もあります。
PRとオタクを結びつけるには、その生態を正しく理解する必要があるのです。

・推しへの感情≠恋?むしろ「モブになりたい」オタクたち
まず勘違いされやすいと感じる点は、彼らの中には「推し」と結ばれたり、認知されたりしたくない人も多いということです。
彼らは「推しを見守る用務員のおじさんになりたい」、「推し同士の絡みを遠くから見つめるモブでいい」、と第三者的な視点を好みます。
イケメンキャラから姫扱いされたい!という層もいますが、いわゆる「少女漫画的体験」が求められていないことも多いのです。

・本末転倒?推しを「探す」時代 /推しブームの負の側面
コスプレ界隈に「イナゴ」というスラングがあります。
SNSの「いいね」ほしさに次々と話題の作品に乗っかり飛び移る様‥作物を荒らしていくイナゴのようだという意味ですが、このワードは言い得て妙です。
推し活ブームによって、「何のオタクにもなれない自分に焦る」「人気ジャンルに推しを作ってコスプレをしたほうがバズる」などと、
「好き」の気持ちが先だって「推し活」していたはずが、何かを「推す」ことが目的化する「推し疲れ」も起きています。
下記記事も、やや論点は異なりますが、推しに金銭を「詰む」ことの負の側面について書かれています。

3.諸刃の剣である「推し」を利用したコミュニケーション、成功のポイントは?

では、どのようなプロモーションがオタクの心をつかむのでしょうか?いくつか事例をご紹介いたします。

事例①
跡部様と子猫ちゃんたちへのリスペクト!/テニプリ×森永乳業

【ポイント】
・長寿コンテンツ、『テニスの王子様』と森永乳業コラボ案件
・プレスリリース内で、キャラを徹底して“実在のタレント”として扱う配慮

本人のコメントはもちろん、撮影秘話も用意されている等、その徹底されたキャラクターたちへのリスペクトに、
「私の推しに仕事をくれて、ポテンシャルを引き出してくれてありがとう」と、思わず感謝したくなります。

②一見ミスマッチなコラボが、見事にバズ!/アイナナ×ロート製薬

【ポイント】
・アイドルゲーム『アイドリッシュセブン』をプロテインのプロモーションに起用した事例
・日々筋トレするであろうアイドルとプロテインは親和性◎
・オタクを悩ませる「ブラインド商法」ではなく好きなキャラを選べる良心的システム

購入者の中には、「推しも頑張ってるだろうから、自分も次の現場まで筋トレするぞ!」と意気込む者も出現。
オタクは“推しのために”とかこつけて体を張るのが好きな傾向があります。
参考事例:万歩計バトル/タニタ×ヒプノシスマイク

③カラー展開を活かし推し活に便乗!決め手は一枚絵/Candy缶

【ポイント】
・作品コラボ以外でオタクの心をつかんだ事例
・製缶メーカー・側島製罐が自社企画製品「Candy缶」が売れないことをツイート
・嘆きのツイートに対し、アニメイトをはじめとした反響が。「推し活」グッズとして認知が拡大

決め手は豊富なカラー展開を一枚絵で見せた下記の投稿です。ただ「並べたらカラフルできれいだな」と思い投稿したところ、問い合わせがあったとのことです。

また、最初の時点はオタクを対象としていなかったことも、跳ねた点なのではと思いました。はじめから「推し活専用缶」として売り出すよりも、オタクの妄想力、「あれは推しの“概念”だ!」と自分で発見し、布教したがる習性にうまくハマっていったのではと考察します。

4.まとめ

以上、オタクのリアルな実態と、推し活を利用した企業事例をご紹介しました。この「推しブーム」もいつ陰りが見えるかわかりませんが、恋愛、結婚、出産…といった従来のライフプランのみを正解としなくなった時代、お金と時間の使い方は個人の自由。生涯「推し活」を続ける人もどんどん増えてくると予測します。

ぜひ、「オタク」という不思議な生き物の生態を正しく理解し、企業コミュニケーションににも役立てていただければと思います。

もし、「オタク」との向き合い方にお困りの際は、
多様なジャンルのオタクが所属し、各“沼”に合わせたコミュニケーションを提供できるプラチナムに、是非ご相談ください!

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