PRのちからで社会を幸せに
5年前、社員全員が家族のような小さな制作プロダクションから、上場企業に転職。広報部門の立ち上げをしました。
その頃と比べても、昨今はますますPR(広報)という職種やその重要性について認知が深まってきていると感じます。しかし、様々な媒体から取材を受けたり、コーポレートサイトの更新をしたりと、目に見えるわかりやすい動きをしていても「広報って何をしているの?」と、社内ですら聞かれることが多々。
PRとは何か、という問いに対して、現時点での自分なりの理解を記したいと思います。
みんなとなかよく
教科書的な説明から入りますが、広報は「広く報(しら)せる」と書きますが「広聴」も広報活動の中に含まれます。発信と受信の双方向です。広報という訳語よりも、PR=Public Relationsという言葉のほうが優れていると感じるので、以後はこちらを使用します。
この場合のパブリック、公衆というよりも社会という訳がしっくりきます。ステークホルダー(直接・間接的な利害関係者)とも言い換えられますが、何親等までが家族ですか?みたいな各論は無意味なので平易な言葉にすると「みんな」。みんなと良好な関係を築くのが、PRパーソンのお仕事です。
恋は終わるもの、愛は続くもの
関係の構築には終わりがなく、組織も、組織を取り巻く社会環境も刻々と変化してゆきます。その時代の文脈に沿った形で、コミュニケーションを展開しないといけない。
関係を構築すべき相手は社員であったり、協力会社や地域社会であったり様々ですが、相手は人。そして、いつの時代でも、良好な関係性の土台となるのはきっと、信頼。
信頼を積み上げるには時間がかかりますが、失うのは一瞬。虚栄は長続きしないので、地道にコツコツやるのが遠いようで近道。
おおきな窓をつくる
積極的に情報発信をすることで、各所から声も集まってきます。それらのフィードバックを、企業活動や次の情報発信に活かすことで1対nのコミュニケーションが成立します。もっと直接的にインタビュー等で声を集めることもありますが、大切なのは、窓を開けること。
最も手っ取り早く、広くみんなとの接点を持ち、信頼を獲得する手法のひとつがパブリシティ。たくさんの人へに一気に情報伝達ができますし、第三者による報道は信頼性の担保になります。
メディアの方々は常に時代の最先端を追っているので、彼らから得られる知見やフィードバックは大変貴重なものです。
風通しのよい組織
ある組織が、みんな(たとえば全ての顧客)と1対1で対話を行うことは現実的に困難です。それに、法人は「ひと」ではなく、広報担当者は「組織」ではありません。言わずもがな、代表権を持っていたとしても、です。
けれどマスメディア露出以外にも、みんなと仲良くする方法はたくさんあって、SNSやブログを更新したり、インタビューやアンケートを実施したり、イベントを開催したり、とにかく、関わることが、なかよしのはじまりです。
オンラインの世界では日進月歩で双方向のコミュニケーション技術が高度化されていますが、技術もPR手法もまだまだ発展途上。接点づくりというくらいの奥ゆかしい表現のほうが実態に即しているのではと思います。
なかよしは幸せ
みんなと仲良くする目的は経営課題の解決です。けれど本当のほんとうの話をすると、経営者のPRへの理解が深くない限り、そこまで到達するのは至難の技。経営コンサルのような仕事はPRの専門分野外ですし、PRは課題解決のためのいち手法。ハンマーを持つとすべてが釘に見える、ような状態に陥ってはならないと思います。
極論、PRなんてしなくたって、たくさんのひとに愛されて支持されるサービスやプロダクトがあって、健全な経営ができていれば良い、のではないでしょうか。
目の前のことを、コツコツと。みんなの幸せを求めることで、愛され求められる組織を作ってゆけると信じて。今日もがんばります。