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【プリズンライターズ】「心の雫」短歌10首 vol.8
残暑御見舞申し上げます
暦の上ではもう秋ということですがまだまだ夏まっ盛りですね。
先月は生活が一変する大事件が私の身に起こりましたが少しずつ落ち着いてきています。
作業については全くの閑職となり、一日の半分は作業の安全心得などを読んでいます。
工場を変わらなかったため、半分から向こうには以前の作業場があり、班長さんが私のやっていた作業をこなしています。
あちらは忙しくこちらは暇というなんとも残念な状況です。
最初はいいなーっと思って見ていましたが“覆水盆に返らず”一度こぼした水は戻りません。
それと同じで一度手離したものはもう元に戻りません。
あとは気持ちを切り替えて今の作業に取り組むだけですが、なんとも暇で暇で…新しい目標を見つけて目指さなくてはなりません。
今の場所にも班長さんはいるので、とりあえずその場所を目標とすることはできます。
3年くらいはかかりそうですが、まあとりあえずの目標ということで頑張るつもりです。
部屋も変わりまして、目下部屋では孤立中です。
5人部屋の5番目に途中から入りますと、非常に肩身の狭い思いをしています。
番手としては4番手ですが追い出し作戦にかかって大変です。
1人追い出せば部屋を少し広く使うことができます。5人ですと布団を敷くといっぱいいっぱいで身動きがとれないのです。
昼間は以前は押し入れがあり、その中に布団を収納していたのですが、一昨年の改装で部屋にトイレが作られ、入り口は鍵付きの扉となりました。
そのときに押し入れが無くなり、布団は自分の坐る位置の後ろに置くようになりました。
昼間は坐ると隣との距離が30センチから50センチという接近です。
そして季節は夏ということです。部屋の扇風機は小さく、廊下のクーラーは開口部が小さいし網状になっているためあまり部屋の中までは届きません。窓は開放状態なので熱波が舞う、という日が多いです。
独居の方は、各部屋に扇風機もあり、入り口が開放されているため、廊下のクーラーがよく入り、快適な状況です。
しかし、半分以上が空室状態です。雑居がぎゅうぎゅうで独居はガラガラというのは、あまりにもおかしいのですが、現在私は、独居に入れる身分ではありませんので興味は薄いです。
5人部屋が解消されるなら、それはそれで嬉しいですが。
そういう部屋の狭さ(10畳くらいの広さ+流し台+少々の板の間)もあり、あっちこっちでイジメ問題が発生します。
女子刑務所でも暴力事件はありますが職員が見ていないとそれは問題になりません。
言葉での暴力なんてのは職員側からすればそんなことぐらいのことで、そちらで何とかしなさい、的です。
まぁ、ターゲットにされる方も悪いんじゃない、くらいの感覚なのでしょうね。
私にしても罰あけ、という負い目もあります。
狙われたら自分で自分を守るしかないでしょうが、現在は守るべき地位というものが全くないので、ちょっと楽です。
以前は持っているものが多かったのでトラブルにはかかわりたくなかったです。
懲罰に行く人が何度も繰り返す心理というのがなんとなくわかります。
私に降りかかっている災難は独裁者Hが周囲を使ってイジメるというもので独裁者は安全な場所で指示するというものです。
黒を白と言いそれに従っています。こういうときに成功するのは悪質であればあるほど周囲は従わざるを得ないというときです。
どこかの国の粛清も厳しければ厳しいほど周囲の人間は自分を守るために独裁者に従う訳です。
冷静な目で見ればわかることでも見えなくなっているのでしょう。
いつ粛清が自分の身にふりかかってくるかもわかりませんので必死です。私がこの部屋に入る前にもイジメがあったようで、その人は元私と同じ部屋だったのですが明るく生き生きとしていましたが、この部屋で会ったときは目が死んだようになって笑顔が全くなくなっていました。
最初の一週間くらいはまだターゲットがその人で、笑顔のない状況がよくわかりました。
その後、ターゲットを私に変更したようで現在は元の元気な人となっています。
その点仏教的に言えば私は人助けをしたのです。
ちょっと前にこの部屋で薬の授受があったようで、一人精神がおかしくなった人がいます。
現在も工場に出られないようでかわいそうです。
薬の授受も物品の授受も当然懲罰の対象ですが、鍵付きの扉になってからは、ほとんど見つかっていません。
開放と違い、職員の目が行き届かないのでしょう。
危険なものはトイレの中で、とか、トイレに置いておくから、とか、そこまでは職員も見張る訳にもいかず、カメラを取り付ける訳にもいかず野放しです。でも刑務所ですからこの程度のことは大したことはない出来事です。
そういった日常生活を送っていますので、場所を取らずコンパクトに熱中するものが欲しく短歌の整理をしています。
短歌というものは、一首一首我が子のようなもので愛着があります。
数えてみますと、手元には900首の短歌ができています。
この短歌を誰かに読んでほしいと思っていますが、本にするには返品の山になりそうで、怖くて挑戦できません。
電子書籍なら返品はないのでトラウマにはなりませんが、方法が未知の世界です。
誰かと一緒の合同歌集なら心強いのですが、誰か歌集を出したい人はいないでしょうか。
単に自己満足のレベルかもわかりませんが挑戦したいと思っています。
いつも『短歌』に投稿して入選している熊本県の方などたぶんたくさんの歌をお持ちではないかと思います。
ほんにかえるの会員になっているかどうかわかりませんが、ご一考頂けたらと思います。
また、そんなことは止めた方がいいよ、という意見の方も教えて頂けると助かります。
『ほんにかえる』の方に手紙を頂けますと、転送してくださると思います。
一か月に一度の近況報告です。
どうかお体に気をつけてご自愛くださいませ。
激しかる雨に打たれたグラジオラス地(つち)に伏しつつなおも咲きおり
西の辺をむらさきに染め暮れゆけば積み重ねゆくひと日終わりぬ
革靴をエクレアみたいと詠みし人なるほどと見ゆ職員の靴
塀ひとつ界(さかい)となりて住みおればわが上空を鳥は飛び交う
美容師の試験のために求めたる黒き印鑑しみじみと押す
行列の乱れる理由(わけ)を知りたければ飛べぬ小雀主役となる日
自画像を描(か)けばまなこの厳しさに真剣なるか心映せり
夢ならば自由な世界に羽ばたけと願えど悲しいつも受刑者
シャンプーの香り豊かな長髪はいずこにいても女の証
炎昼と誰が言いしか的を得て炎(ほむら)立つほど熱せられし我
消灯のチャイム響けば沈黙と悔悟の波を包む暗闇
令和4年8月9日
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