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【プリズンライターズ】再犯率が減らない理由を考えてみた Vol.1まえがき

皆さん初めまして。私はプリズンライターズに、刑務所の実状を社会の人に知ってもらう方向で参加したいと思います。
なぜなら、2025年に現在の懲役刑と禁固刑をなくし、新たに拘禁刑にして、刑務所を変えていくらしいのを知ったからです。
拘禁刑に変える理由は色々あるようですが、私が注目したのは『再犯率の改善』と言うものです。
現在刑務所を出所して、3年以内に再入所している人が49.6%いるそうです。これは読売新聞にのっていた数字で、世界的に見てもワーストクラスとありました。

 さて、皆さんはこの数字をどう思われましたか?「多い」と思われましたか?私は正直「多い」とは思えませんでした。受刑者の立場で刑務所の実状を見ていると、「妥当な数字」もしくは「思ったよりも少ない」と思ってしまいます。
何故なのか?の前に、すごく根本的な質問をしたいと思います。
「刑務所の役割とは?」と聞かれて皆さんは何と答えますか?「犯罪者を更生させる」と答える人が多いのではないでしょうか?
私自身、入所してしまうまでそう思っていました。
ですが、入所してみてからは、刑務所と言うのは、「決められた刑期まで閉じ込めておくだけ」と思うことばかりです。
これが再犯率の最大の理由だとも思うのです。
 
 たしかに昔に比べると、再犯防止教育や就労支援が行われるようにはなりました。しかし、それらのほとんどが、いかにも「やってます!」と言うだけの体裁づくりで、終わってしまっているとしか言えないような実状のように思います。
再犯防止教育の中身はさておいて、刑が半分をすぎるぐらいまで何も行われていないのがほとんどです。
そして受け終わっても、その後にメンテナンス教育を行われている人など聞いたことがないぐらいにおらず、ただ「やりました」と言うだけです。就労支援は出所前に運良く少し受けられる人がいるかいないかぐらいです。
そしてハローワークが紹介してくれる仕事は職歴や資格のほとんどが考慮されておらず、肉体労働ばかりです。
高齢者や持病のある人のことも考えられてはいないでしょう。
 
 公に発表されていることは、しょせんお役所にとっての都合のいい上面だけです。
この上面ではもうダメなのだと、減らない再犯率と言う形で、現実をつきつけてきているのではないでしょうか?
せっかく色々と変えていこうと言うのなら、上面はやめて、実状に目を向けた根本的な変更が大事だと思うのです。
そして変わるためにも、多くの社会の人に刑務所の実状を知ってもらう、今がよい機会だと思うのです。
 
 実状に軽く触れてみようと思います。今のコロナや社会情勢でのように、やむにやまれぬ事情により貧困におちいってしまった40代後半の人が、それを苦に犯罪を犯し、3年間刑務所に入ってしまったとします。
何事もなくがんばったとしても、3年では10万円も持って出るのは難しいでしょう。就労支援を受けられたとしても、40代後半で肉体労働ばかりでは就労も難しい可能性は高いでしょう。
元が貧困なのに出所時に十分なお金を持てていないのは不安でしょう。
仕事もつけてないとなると、貧困解消の見通しも立たないままでしょう。
そうなってくると、一度は刑務所へ行った身です。
二度目のハードルが低くなってしまって…と言う可能性は否定しきれなくはないでしょうか?


 もし、この人に落ち着いて仕事を探せるだけのお金を持たせて出所させられていたなら、肉体労働以外の仕事がもっと紹介されていたなら、選択肢を広げられるぐらいの資格などが身につけられたなら…このどれか1つだけでもあれば社会にとどまって減らせた再犯が多くあったはずだと思うのです。
そんな刑務所の実状を、『お金』『教育』『施設』『職員』『受刑者』の5つのテーマに分けて、「この実状がどうにかなれば再犯率は減るんじゃないか?」と言うのをこれから語っていこうと思います。
変わることによって、更生して社会復帰したいと真剣に思える人が一人でも多く増え、そんな人が一生懸命がんばれる場所になるのが一番だと思うのです。
 
 私のあげるこの声がどこまで届くのかはわかりません。
私の見えている範囲での私見なので、絶対正しいかどうかもわかりません。
ですが、声をあげずにグジグジするぐらいなら、声をあげられる所があるのならあげ、反響が頂けるようなことがあるのなら、そこから学ぶべきは学んでよりよい方向に向かっていけたら、と思っています。
一人でも多くの皆さんの知恵と力が借りられるようにがんばりたいと思います。
 では次回から『お金』についてから始めたいと思います。

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プリズンライターズ / ほんにかえるプロジェクト
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