音楽ゲームの分類 - Rez は音ゲーなのか? -
ここのところ note をいくつか書いたのですが、普通の note 的な使い方というよりはお仕事関連で伝えたいことを書いていたので、専門でない人には殆ど分からないという問題 (?) がありました。
目的としては間違っていないものの……、この辺りで少し気楽な内容を挟みたいなとも思ったので、表題にもある「Rez は音ゲーなのか?」という疑問を元に、いろいろと考察をしてみた結果を共有しようと思います!
他の記事とは比べ物にならないくらい気楽な内容 (のはず) なので!気楽に読んでください!
Rez は音ゲーなのか?
Rez はすごく好きなゲームの 1 つなのですが、私は最初「これは音ゲーではないな」と思っていました。
パラッパラッパー や beatmania などと違い、Rez は音楽に合わせた操作を要求されるゲームではなく、しっかりとシューティングゲームとしてのゲーム性を持っています。なので、「音楽に関わる演出が豊かなシューティングゲーム」として認識していました。それこそ、ジャンル名も「ミッドナイト・ハイ・シューティング」という字面には音要素が無いものです。
ところが、最近 wikipedia の「音楽ゲーム」項目など音ゲーの話をする文脈で、「Rez」の文字を見かけることが多くなりました。wikipedia の解説は殆どが所謂リズムゲームのものになっていて、Rez には当てはまらないのにも関わらずです。(笑)
ここでちょっと憤慨したくなる気持ちもありつつ、自分自身も「音楽ゲーム」と「リズムゲーム」を同義に捉えてしまっていたなという反省もしました。そして、「Rez が音ゲーなのか?」というのを議論するのはあまりにも不毛で、むしろこれだけ音楽に重点がおかれたゲームを音ゲーと呼ばないのはおかしな話であり、ただその同じ音ゲーの中でもいろいろな種類があることが重要なことなのだと思いました。
これらの解決のために、音楽に重点が置かれたゲームはすべて「音楽ゲーム」であると (勝手に) して、その中での分類を考えることにしたのです。
2 つの軸と 4 つの分類
「音楽ゲーム」を分類する上でも、Rez と所謂リズムゲームの差を考えることが大変役立ちました。まずは 2 つの軸を導入しました。
1つめは「音楽駆動」、ゲームのルールが音楽によって駆動しているかどうかです。
リズムゲームは音楽を選択して進行し、音楽のタイミングで飛んでくるノートに合わせて操作を行うといったもので、進行や操作の殆どが音楽によって駆動しているといえます。一方 Rez はステージ中のフェーズ進行こそ音楽のタイミングによって行われますが、敵配置のパターンが音楽に合っているわけでも、音楽のタイミングでの操作を要求されるわけでもなく、あまり音楽によって駆動しているとはいえません。これはそういったゲームを区別できる分かりやすい軸になると考えました。
2 つ目は「音楽体験」、ゲームの主目的が音楽的な体験かどうかです。
リズムゲームは自分が演奏者やパフォーマーとなって、音楽体験を形作ることが主目的となっているゲームだと思います。仕組み上はタイミングに合った正確な操作で高得点を取ることなどが目的になると思いますが、本質的には音楽体験を楽しむゲームとして受け取るのが自然だと思います。一方 Rez は敵を打ち落としつつボスを倒すまで進行することを目的としたシューティングゲームです。音楽的な体験を楽しむ意図がそれなりに込められてるとはいえ、明らかに音楽体験が主目的とはいえません。こちらは受け手側によっても変わってくる要素ではありますが、違いとして軸とすることができると考えました。
「音楽駆動」「音楽体験」の 2 つの軸を元に図に起こしたのが下記です。
この図をもとに「音楽ゲーム」を 4 つの類に分類していきます。
第 1 類音楽ゲーム
第 1 類は「音楽駆動」かつ「音楽体験」であるゲームです。
パラッパラッパー や beatmania などを含むリズムゲームは、大体この類に属します。
第 2 類音楽ゲーム
第 2 類は「音楽駆動」ではあるが「音楽体験」ではないゲームです。
最近、クリプト・オブ・ネクロダンサー や MAD RAT DEAD など、この類に属すると思われるゲームがちらほら見られる気がします。
第 3 類音楽ゲーム
第 3 類は「音楽駆動」でも「音楽体験」でもないゲームです。
Rez がここに属する他、音楽に重点を置きつつもゲーム性との関連が少ないゲームが広く属することになります。
第 4 類音楽ゲーム
第 4 類は「音楽駆動」ではないが「音楽体験」であるゲームです。
音楽系のウォーキングシミュレーターなどが属すると思われるまだ特殊と言える類で、代表的なゲームを出しにくい状況だったのですが、つい先日 Kid A Mnesia Exhibition がリリースされ、第 4 類の存在が分かりやすくなりました。(笑)
代表的 (?) な音楽ゲームの分類
4 つの類に分けたことと、そこに含まれるゲームを考えてみたことで、やはり「音楽ゲーム」は「リズムゲーム」より広い、多くのゲームを受け入れられる概念として存在するべきだと、改めて感じました。また、同じ類の中でも微妙に差が出てくることにも気が付きました。
ここで、個人的な偏見に満ちたものではありますが、代表的な音楽ゲームを先ほどの図を更に細かくしてプロットしていってみます。
図中の目盛りの位置づけは概ね下記を基準にしました。
こう表にしてしまうとそれはそれで議論を生んでしまう所もありますが (特に +1, -1 のあたり……) 、いろいろ見えてくるものもあって、面白いですね!
音楽制作系ゲーム
今回はあまり挙げなかったのですが、音楽を制作する過程をゲームの形にしてしまったようなゲームも存在すると思います。
その中でも、「音楽知識が不要で適当に触ってるとなんかいい感じに鳴る」系のゲームは第 4 類に分類されると思います。
完全に制作系のものに関しては含めるなら第 1 類だと思うのですが、むしろゲームとして扱うのかどうかが意見が割れそうなところですね……。(今回のコンセプト的にはなんでもかんでも「音楽ゲーム」にして OK です)
サウンドエフェクトゲーム
ここまで「音楽に重点を置いたゲーム」の話をしてきましたが、サウンドエフェクト (効果音、SFX、SE) に重点を置いたゲームのカテゴリだって存在できるはずです。あまり例を知りませんが……、ASMR の流行などもありますし、アツいカテゴリかもしれませんね?
音楽とサウンドエフェクトは同じ「音」を扱う以上、連携が重要です。サウンドエフェクトを音楽的に使用する音ゲーも珍しくはなく、この辺り「音楽ゲーム」と切り離して考えるのは難しいところですね……。これは次回 (?) の課題かもしれません。
また、「音ゲー」という呼び方をすると、こういったカテゴリも含まれてしまいそうですが、「音ゲー は 音楽ゲーム の略称である」というのは崩さずにいきましょう……。
オーディオゲーム
オーディオゲームは、グラフィックが存在せず、音の情報だけを頼りにプレイするゲームのカテゴリです。
これと「音楽ゲーム」の関係がどうなるかというと、独立した概念になっていると考えます。つまり、「オーディオゲームであり、同時に第 1~4 類の音楽ゲームである」というゲームが存在し得ます。それぞれどんなゲームか考えると面白いですね。もちろん同時にサウンドエフェクトゲームである可能性もありますね。
これも「音ゲー」と呼ぶと含まれてしまいそうなカテゴリなので気を付けたい所ですね。(?)
サイレントゲーム
オーディオゲームとは対称的に、オーディオが存在しないゲームのカテゴリもあると思います。(そうじゃないゲームでも音無しでプレイしちゃったりするケースもありますが……)
これこそ流石に「音楽ゲーム」にはならなそうという感じがしますが……、しばらく考えていたら、音楽のビジュアライズやデバイスの振動を利用して存在しない音を聴かせることで、「サイレント音楽ゲーム」という超カテゴリが生まれてもおかしくないような気がしてきましたね?気がしてきましたね?(圧)
おわりに
「Rez は音ゲーに含まれるのか?」をきっかけとして、「音楽ゲーム」や音に関わるゲームについての考察をしてきましたが、どうだったでしょうか?
軽いノリではあるものの、一通り辿ってみると「もっとこういうゲームが欲しい!」とか「こんなゲームもあってもいいよな?」とか、色々なアイディアやモチベーションに繋がることもひょっとしたらあるのではないかと思いました。
途中挙げた分類プロット図などに関しても、「このゲームはここだろ?」とか「俺ならもっとこうするよ?」とか色々な意見があっていいと思うので、皆さんも好きに考えてくださったり、良ければ教えてくれると嬉しいです!
そして、本題 (?) に戻りますが、「Rez は音ゲーか?」と聞かれた時の答えとしては、下記を使ってもらえたらと思います。
「音ゲーだよ。第 3 類のね!(ドヤァ」