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青の煌めき 超短編

「この音が何度でも俺を甦らせる」
 そんなバスケットボール漫画のセリフを思い出す。

 確かにそうだ。
 だが俺の場合は少し違う、

「この音と青の煌めきが何度でも俺を甦らせる」だ。

 かつて、この青い光によって絶望の淵から救われたものが何人いる事か想像もつかない。

 みんな挙ってこの青の煌めきに魅了され、そして振り回される。


 ある時はまるで少女のように絶え間なく煌めきを与え続けてくれる。

 そうと思えば、電球が切れたように沈黙する時もある。

 このような気まぐれを

『女心と秋の空』

 と表現するが、この言い回しも元号が令和に変わった今となってはそろそろ変えて欲しいものだ。


 見切りをつけその場を諦めると違う誰かに青の煌めきが訪れる。
 そんな場面を今まで何度も経験してきた。

 だから、俺はもうこいつだと決めたら、こいつ以外を見ないことに決めた。
 他に目移りするから誠実さが伝わらない。

 最期まで、最期が訪れるその瞬間まで。こいつと心中する覚悟で挑まなければならない。

 例えこいつが全く振り向いてくれなくても、俺以外の人にしか青の煌めきを示さないとしても。

 俺は信じて待つしかない。信じて、ただ盲目的に待つことしか出来ない。

 壊れたブリキの玩具のように、こいつを押し続ける事しか出来ない。

 世間の人は笑うかもしれない。
 もっと世界は広い。他に目を向けなさいと。

 全く違う。そう言う話ではない。

 これは生き方の問題だ。

 俺は青の煌めきを求める事しか生き方を知らない。


 さっきの『女心と秋の空』の新しい言い回しを提唱したい。

『女心とジャグラー』

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