ぷりんけぷす

超短編小説 短編小説 ショートショート 時々長め 出来る限り日々アップしていきます。 聞く小説も制作してます。 ⇨ https://youtube.com/user/thepicaro1

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  • 自称・ぷりんけぷすの超短編小説集

    超短編 ショートショート集です。主に死と愛と笑がテーマです

  • 超能力研究会

  • 自称・ぷりんけぷすの聞く小説

    表現の一つとして小説に音楽を合わせています。

最近の記事

ままごと 超短編

 古くは地面に文字を書き、やがて木や石に文字を刻む様になる。  紙の誕生で人類の伝達能力は飛躍的に向上し発展に拍車がかかる。  現在に至ってはそれらも必要とせず電波に文字を写し送信出来る様になった。  常に人類の進化とは形を残さず自らを消す方向へと進んでいる。  故に繋がりの関係性も希薄になり、脳内の記憶、肉体すらもデータ化してしまう。  全てがデータへと置き換えられ電源を切れば人類の存在した痕跡を残さずに処理出来る。  ようやくここまで辿り着いた。  思えば人

    • サザンカ 超短編 (加筆版)

      「あほか」  浩太はそう呟き、亮平の遺影を睨みながら焼香をした。  浩太は亮平とコンビを解散してからというもの、慣れない会社勤めの忙しさやバツの悪さも相まって、かれこれ亮平とは3年程会っていなかった 「浩太。コンビ名これで行こうや。書いてきてん」 「おお。どんなん?見してや」 「サザンカ。ええやろ?」 「んーまぁ悪く無いけど、なんか意味とかあるん?」 「ひたむきな愛や」 「うわ、気色悪」 「まぁそれは冗談として、困難に打ち勝つっちゅう意味があるねん」 「ふーん。ええやん」

      • ゴジラ 超短編

        「あの、ゴジラってあえて景気が悪い地域に現れがちなところありませんか?」特捜部隊員のヤナギがキタノ隊長に尋ねた。 「いや、そんな事は無いだろう。気のせいじゃ無いか」キタノ隊長は訝しそうにモニターを眺めながら隊員に答える。 「いやでも、まんざら与太話でもなさそうですよ。これを見てください」隊員のホシザキが手元のタブレットを操作しながらキタノ隊長に見せる。  タブレットにはゴジラに襲われた街がどれも破綻寸前の経済状況だった事が示されている。 「確かに赤字続きの地域に現れて

        • LGBT Q 超短編

           俺のすぐ隣に女性が座った。  電車や映画館なんかでは別段驚くこともなく日常的に起こり得る事だ。だが流石に今日は状況が違う。  ここはサウナだ。  何故裸の女性が俺の隣で汗を流しているのだ。  すぐ隣なのであまりマジマジと見ることも憚られるが、やはり女性だ。  サウナ室には他にも数名が居るが皆気にしていない様子に見える。確かにコロナ禍以降サウナ室では基本黙浴がルールだ。多少何か思う事があったとしても口に出せない風潮ではある。  ならば、これは何かのドッキリなのか?

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        • 自称・ぷりんけぷすの超短編小説集
          80本
        • 超能力研究会
          3本
        • 自称・ぷりんけぷすの聞く小説
          6本

        記事

          1週間 超短編

          「はぁ今週もまた終わってしまった。何故こんなに1週間は早いのだろう」  都内のワンルームマンションの一室で一人の男がそう言い大きく溜め息を吐き出した。  男の名前は中谷秀雄32歳。現在は失業保険を受給しながらの求職活動に日々勤しんでいる。  中々思う様に物事が進まない状況へのイライラも相まって秀雄は缶ビールの残りを一気に飲み干した。  空っぽの冷蔵庫の中身を見つめながら、もう一度溜め息をつくと財布を手に玄関へと向かいドアノブに手をかけた。すると、向こう側からも回す力を

          1週間 超短編

          いびき 超短編

           その人はただ寝ている。それだけなのに他人をここまで不快にする。  原因はイビキである。  その響きは多種多様だが圧倒的多数の人がイビキなど無いに越したことはないと思っているのでは無いだろうか?昨今ではイビキが原因で殺人事件にまで発展した例も少なくは無い。  ただ一つだけ提言したいのだが、まず大前提としてイビキは単体では存在し得ないのだ。  つまり誰かと共有しなければ存在し得ない。  いや、一人の時にもイビキは発動しているではないかと思ったあなた。  それは大きな間違いだ。

          いびき 超短編

          新時代 (土方歳三

          「俺もそろそろ帰るとするか」  函館五稜郭内の陣で一人の男が呟いた。 「土方さん、どうかされましたか?」近くで武具の手入れをしていた市村鉄之助が振り向き尋ねた。 「ん、いや、それより鉄。皆に集合をかけてくれ。榎本さんから舶来の酒を貰ったんでな」 「はい!承知しました。すぐに集合させます」そう言うと鉄之助は揚々と皆の所へ駆けて行った。 「全く元気なやつだ」  男の名は土方歳三。かつて新撰組の副長だった男だ。   江戸時代末期。ペリー来航騒動を皮切りに様々な思想が氾濫し世

          新時代 (土方歳三

          シン死神 短編

           サトシは今日こそは必ずプロポーズをするんだと鏡の内側にいる自分を睨み言い聞かせながら最終チェックを済ませた。その時サトシのスマホがいつもより強く震えた。  見覚えの無い番号の正体は近所の総合病院だった。 「杉村サトシさんの携帯ですか?実は・・」  内容は京子が昨夜遅くに交通事故に遭い病院に搬送され未だに意識不明の状態との事だった。     京子とは言うまでも無く本日サトシがプロポーズをする予定の相手だ。  一瞬だけ一張羅のスーツを着替えてから病院に向かうべきか悩んだが

          シン死神 短編

          超能力研究会 浮く 超短編

           月曜日。全校朝礼の最中一通のメールが届いた。 「拓也。今日の放課後時間ある?」真奈美からだった。  放課後。僕の所属しているバドミントン部は月曜は基本筋トレだけだが、高校最後の大会前だから休む訳にはいかない。 「おい。柴田」担任の川口が僕のすぐ後で声を上げた。  慌てて僕はスマホをポケットにしまい、首だけ動かし頭を下げた。 川口はフンと鼻息を吐き出し、役目を終えたロボットの如く元居た位置に戻って行った。  朝礼が終わり、教室に向かう途中の廊下で真奈美に肩を叩かれた

          超能力研究会 浮く 超短編

          南の島にて 超短編

           全てをやり切った。これだけやっても世界は何も変わらなかった。果たして誰かは救われたのか?本当に誰かに必要とされたのか?もっと頑張らなければダメなのか。いや、もういい。どうせ同じだ。  都会にしても田舎にしてもどうせ窮屈に感じる。この世に救われる場所なんて無い。ひょっとすると広い海ならば、まだどこか隙間に入れてもらえる余地があるのでは無いか。  田中は沖縄の離島行きの飛行機に乗り込んだ。どうせならば綺麗な海が良いと思ったからだ。  人は辛い時ついつい南の方に流れて行くと

          南の島にて 超短編

          腕時計 超短編

           最近時計が私の事を焦らせてくる。  いや、別に概念的な話では無く物理的に焦らせて来るのだ。  ある日、いつものように腕時計に目をやると想像していたより時計の針が大幅に進んでいた。  約束の時刻に間に合わないと思い慌てスマホを取り出すと20分くらい腕時計の時刻が進んでいただけだった。  その時は別段気にも止めず側面にあるツマミで時計の針を合わせ直した。  後日また時計の時刻がずれた。  流石に故障なのかと思い近所の時計屋に持ち込んでみたが店主から何処も悪いところは見

          腕時計 超短編

          もしもしかめよ 超短編

           もしもしかめよ かめさんよ せかいのうちで おまえほど あゆみののろいものはない どうしてそんなにのろいのか  浩司は歩いている最中、ふと子供の頃の記憶が蘇った。不安定な畦道を友達と歌を歌いながら歩いた記憶。  毎日の様に朝から日暮れまで遊び、次の日また次の日。何も考えなくて良かった。  ああ、あの頃は楽しかった。  いつからだろう。明日が来るのが楽しみじゃ無くなったのは、ただ黙々と日々を消化するだけで、気付けば空を見上げる事も無くなり、姿も見えない何処かの誰かを傷つけ

          もしもしかめよ 超短編

          殺人の動機 超短編

           今野検事はタバコの煙を深く吸い込み喫煙所を埋め尽くす程に大きく煙を吐き出した。  今野検事は明日に迫っている勾留期限に焦燥感を感じていた。被疑者 喜多川晴夫(36)は連続殺人犯として先日検察に送致されて来た。  現行犯逮捕という事もあり起訴する事自体は概ね決定しているのだが喜多川の殺人の動機だけがどうもはっきりしないのだ。  警察からの調書によれば喜多川の犯行は終電の時刻頃に駅から出てくる女性の跡をつけ、人通りが少なくなった所で殺害すると言うものだった。被害者の数は実に5

          殺人の動機 超短編

          Heaven 超短編

           けたたましい銃声が銀行内に鳴り響いた。  次の瞬間に女性客の悲鳴と共に行内が混乱に包まれそうになるが、二発目の銃声と同時に静まり返った。  私自身は初めての光景に震え動く事が出来ない。以前支店長が若い頃に一度銀行強盗に遭遇したと話していたが、幸運にも支店長は一昨年退職していたので二度目の遭遇は避けれたのだ。  パッと見た感じで犯人は5、6人。行員にも協力者が居る恐れもあるので予断は許されない。  たちまちに出入り口のシャッターを降ろされ、私たち行員も客共々行内の隅の

          Heaven 超短編

          水 超短編

           私は酒をよく飲む。自分で言うのもなんだが、毎日かなりの量を飲む。  そして寝る前に大量の水を飲む。その日飲んだ酒のほぼ同量を飲む。酒を飲む人なら分かると思うが、酒を飲むとやたら喉が乾く。  まぁ毎日大体そんな感じである。  ただ最近ふとした疑問が浮かんだ。  この大量に摂取している水は一体何処に行っているのだろうと  もちろん酒を飲んでいる最中トイレに行く事もあるのだが、多分他人と比べて私は極めてその数と量が少ない様に思う。どう考えても摂取した量と排出した量が合わないの

          素晴らしき世界 超短編

           小説家とは全知全能な存在だ。  自身で世界を創り上げ、自身で思う様に操る事が出来る。  例えば、のどかな牧場で老夫婦が質素ながらも日々を仲睦まじく暮らしている。  突如としてして規格外の嵐に見舞われ家ごと飛ばされてしまう。   たった一行だけで老夫婦の平和な生活を一変させる事が出来るのだ。  そのまま老夫婦は上に上に空高く運ばれ雲の上に着地した。そして天上世界での新たな生活が始まった。そう老夫婦は神に選ばれたのだ。  みたいなSF的な展開にしても構わない。  ある

          素晴らしき世界 超短編