<コロナの夜に 坊ちゃん力>
<コロナの夜に 011>
跡取りには個人、本人の能力ではない何かしらの力を与えられていた
という自覚はある。
煎餅屋の六代目として生まれ、育てられてきた。
両親がそうやって育ててきたのだけとは違う。
近所の人たち、従業員さん、お客さんたち、関係各所から
それなりの敬意を払ってもらっていた。
気を遣ってもらっていた。
全くそんな価値もない人間なのにある種の信用をもらっていた。
田中裕介個人だったら、全く箸にも棒にもかからないようなことが聞いてもらえたりする。
そうやって周りに自然と跡取りとしての経験値を高めてもらっていたのかもしれない。
ずるいと思うけど、そこに生まれてしまったんだから受け入れ、上手く使っていくより他ない。
そーいうのを子供ながらにも大人になっても感じていたから、有難い商売やなって感じていたんだと思う。
密かにこの辺をして「坊っちゃん力」と個人的に呼んでいるw
これを上手く利用できる坊っちゃん力高い人もいれば、こじらせてる人もいる。
親父は小さなルール違反の話は前に書いた。
https://note.com/princeofsenbei/n/n88292b095dbc
その時「自分なら多少の違反しても許されると思っていた」と語った。
坊ちゃん力の負の側面。自分にだって少なからずあると思う。
それを排するためにイギリスでは「ノブレスオブリージュ」を叩き込まれるのかもしれない。
ちなみに私は両親譲りかはわかりませんが、偉そうとか生意気とか上から目線とか言われることの多い、若干こじらせてる系と思います。
さて、個人的最強坊ちゃん力大賞をご紹介したい。
大好きでとても尊敬している(と思われてないだろうけど)鳩サブレー豊島屋 久保田社長の由比ヶ浜命名権を買ったのにあえて元のままの名前にした話。
https://www.huffingtonpost.jp/2014/05/15/kamakura-toyoshimaya_n_5334297.html
めちゃめちゃカッコええかった!!
こんな粋なことできる坊ちゃんになりたいと思う46歳w
坊ちゃん力は私が起業して個人の力で勝ち得たものではない。
先祖からの預かりもの「のれん」の為す力だ。
跡取りはこれを大切に扱って、次に繋げるのが仕事だ。
そして、子や孫の世代が食べられる土壌を作るのも大事な仕事。
一代限り、木を切りまくって禿山にして、農薬まみれの貧弱な土壌にして、大きな御殿残したって何の意味もない。
地域や業界のためにも貢献しなきゃならん。
こうやって「のれん」を何代も引き継いで来てくれたから
個人以上の信用をいただけた。
跡継ぐプレッシャーより下駄履かせてもらった方が大きいんじゃないかなと思っている。
それをつなぐのはめちゃんこハードル高いけど、当たり前にやらなきゃいけないことでもある。
ただ、つなげるかどうかは実力の部分もあるだろうけど、きっとほとんどは「運」
幸運を祈るしかない。
たかだか「のれん」の話だ。