<経営の話 少し長めの射程で考える事業継承04>

<経営の話 011>
お店ってのは個人の持ち物ではなくって「お預かりもの」
貸してくれてるのは創業からの代々ではなく
これから先の人たち。
未来の田中屋せんべい総本家に関わる人々。

継承って言うと、歴史とか伝統って言葉のイメージが強いので
のれん、土地、設備、人、金などの資産に気を取られすぎてしまう。
その資産を相続するのは過去からなんだけど、
その権利を行使させてくれるのは未来だと思っている。
私が誰に責任を負うかって言ったら
今いる従業員さんたちと未来の跡取りや従業員さんたち。
過去は大事だけど、責任はない。
彼らに対しては何もする必要がない。
今でも昔の従業員さんに申し訳なかったなって思うことはたくさんあるし、
墓参りはするけどw

では、先祖が何のためにあるかって言ったら、
彼らから骨の髄まで学び、研究し尽くせばいいのである。
その教材を無料で提供してくれているのだ。
代々受け継がれてきた配合、それを作る技、それを運用する術。
学び、研究のタネはし尽くせないほどある。
先代までがしてくれた失敗を経験値として活かせるのも強み。

自分がそれぞれの時代に生まれ育っていたら、、、どんな選択をしたか?
祖父が職人を独立させたのも
親父が洋菓子やらレストランをやったのも
その立場、環境じゃなかったらわからなかった。
自分ならどうだったかなんてわかるはずはない。
それに文句を言っても仕方ない。
単純な失敗だったわけじゃなく私がやらなくて済んだ失敗。
失敗というのか経験というのかはどっちでもいい。
ただ、そのおかげで私はそれらのチャレンジはする必要がなくなった。
そして、私は煎餅に一本化できたし、事業拡大の怖さも知った。
それらの選択のひとつひとつは親父だけでしたものでもないし
私だけの経験値でしたことでもない。
その経験の蓄積こそが大きな財産と言っていいと思う。

チャレンジして失敗も悪くない。
ただ、経験として残るなら。

150年続いたお店だもの、あと150年は残したいと思う。


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