<和菓子の話 本和菓衆の魅力〜番外編>

<和菓子の話 014>
増税後の厳しい時期にも関わらず、大成功を収めた本和菓衆2019
三越のいろんな人から成功の理由を聞かれた。

お店サイドからすると
「商品アイデアが良かった」とか「逆転の発想が奏功した」など
わかりやすいマーケティング的な回答を求められてたんだと思う。
どっこい、そこはアマノジャックゆーすけ、そんな答えは絶対しないのさ。
いや、あまのじゃくだからしないってわけじゃない。
ホントに思っていないのだから仕方ない。

どう答えたか。
「積み重ね」です。
これまでどうやってお客さんとの関係性を作って来たか、
リピートしたいと思うような商品作りに励んで来たか、
個性的な新製品を発表し続けて来たか、
いろんなことを何年も積み重ねて来た結果ですよ、と。
本和菓衆自体がどんなヒット商品を世に送り出すか競争みたいな雰囲気に取られかねない危うさを持っているのはやってる本人たちが一番承知しているつもりだ。
一回性のアイデアで勝負してたら、この結果はありません。

そしたら、「では、来年はさらに成長するんですね?」と来たもんだ。
そんなことはわかるはずがない。
良い時も悪い時も粛々と自分のできる精一杯をやるだけ。
成長するかしないかは、売り手が決められることではない。
時の運を実力と勘違いしてはいけない。

と、自らと担当者を戒めたつもりだったが通じたかどうかは定かではないし、この言葉が報告書に載って伝わるとも思えない。

そして、もう一つのエピソードを伝えた。
本和菓衆は売場だけでなく、配送や掃除のスタッフにも人気が高いのだ。
理由は単純、「ありがとう」をきちんと言うからだ。
みんなが表には出ないスタッフさんたちに感謝の気持ちを持って接し、それを態度や言葉で示している。
ごくごく当たり前のことをやっているだけ。
今では当たり前になっているが数年前はそうだったかといえばそうでもなかった気がする。
佐藤アトレーユ慎太郎が中心となって態度で示し、それにみんなが自然と感化されて風土となっていった気がする。
開店前に売り場を綺麗にしてくれるのも、荷物が届くのも当たり前ではない。
綺麗にしてくれてありがとう、荷物を持って来てくれてありがとう。
そうするだけでみんな気持ち良く売場を綺麗にしてくれて、荷物を持って来てくれる。
どうせならあそこで仕事をしたい、私が荷物持ってく競争が起こってると言ってくれてるという話を聞いた。
そんな雰囲気は必ず売場にも影響を及ぼす。

商品や店舗経営の課題はいろいろあると思うけど、
私たちが当たり前のことをしただけで裏方さんに評価されるなら
そもそもの土台に問題があるんじゃないかと思いますよ、と。

それは残念ながら、百貨店だけの問題ではないと思っている。
当然、私にもそうできていない時だってある。
少しでも良くなりたいし、良くなっていく方向に向かえば良いと思って伝えた。

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