<経営の話 カヌレ誕生の演出>
<経営の話 061>
承前)2019年の6月、初期メンバーにとってのラストワカタク。
5年間の軌跡を締めくくる大切な場所と時間。
それに向けて「せんべい屋の甘酒カヌレ」を試作して、
散々な失敗を繰り返しているのを度々SNSにアップしていた。
田中屋ファンにとっては何ができるんだ???という謎は深まるばかりか
本当に間に合うんか???というハラハラドキドキ。
私のクソリアルな期待と不安を少し感じ、一緒に旅をしてもらいながら
無事?お客さんと一緒にワカタク初日を迎えられた。
たくさんのお客さんが発売を心から喜んでくれたのが表情を見て伝わった。
こういうことがたまらなく嬉しいんだなあ。みつお
それは私なりの演出だったと言っていいかもしれない。
いきなり新作の「せんべい屋の甘酒カヌレ」が出ましたよ〜なんて告知したって
あいつまた変な菓子作ってきたなくらいにしか思ってもらえない。
お客さんと歩んできた道のりがあって大切なお菓子にしてもらえたんじゃないかと思う。
メンバーからはよく失敗作なんてアップするねなんて冗談言われたりもした。
私は匠でもなんでもないから、形にもならず食えないほど不味いスタートラインから地べたを這いつくばって
ようやくこの舞台に立たせてもらってるんだって見てもらうことも私の仕事だと思ってる。
試作のまま完成しなかったとしても、それをそのまま見せればいい。
カッコつけたってしょうがない。無様だっていい。
匠だからひょいひょいって新作できんだなんて思われたらたまったもんじゃない。
実はこれ、お客さんではなく、後に続く次の職人さんたちに見てもらうためにやってる。
それが業界の最前線を歩む(つもりでいる)私の覚悟。
たかが煎餅。
できることは少ないかもしれない。
物語は紡げる。
まだまだ始まったばかりだ!