<コロナの夜に こんがらがってまったて>

<コロナの夜に 019>
承前)親父が考えていた「魔法の杖」は存在する。
「ヒット商品」だ。
言い換えれば「売上」である。
売上が全てを解決してくれると考えていたと思う。
ある意味正しい。

武術の稽古で我が師匠が
「すっごい長いロープが複雑にこんがらがってるのを直す方法を見つけた」と言って
数十メートルあるロープを持って来て実際にやってみたことがある。

私はごちゃごちゃとこねくり回し30分くらい格闘していた。
が、ちっともほどけやしなかった。

師匠はスルスルと滑らかに一つ一つの絡みをほどいていき
ほんの数分で見事な一本のロープに戻して見せた。

理屈は単純だ。
どんなにぐっちゃぐちゃにこんがらがっていようとも、からまっている部分は1箇所ずつしかない。
だから1箇所ずつ順番に解いていくのが一番早い。

数年に一度ある「目から鱗」体験だった。
実際やってみることをオススメする。

電話のクルクルコードはいつのまにかからまっている。
仕事も多分そうだろう。
からまることは自然なんだと思う。
ただ、からまったまんまだと使い勝手が悪い。
だから、ときどきからまったところを直してやらないといけない。

売上が増えれば、からまりは解消するかと言えば、そうではない。
財務上の問題が解決して、せいぜい新しいロープが手に入るくらいだ。
またすぐロープはからまる。
数年でこんがらがったロープの山で埋まる。
問題は全く解決していない。魔法で見せかけただけだ。

今、こんな社会に生きている感が強い。

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