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ヘルシンキ2


 郊外にでてすぐ、イッコさんの畑もある農場へ。ねねさん、カヤさん、パタニさんたちが出店するというご飯につかうお野菜を受取りに立ち寄る。

 ここのオーナーさんは、去年だったかに長野に農業研修にいって、フィンランドで大根の生育に挑戦して、ちゃんと実ったという、とても地に足のついた方だという。

 無人の納屋のドアを開けると、袋に野菜がギッシリはいって、青々とした葉っぱが繁っている。

 その袋を持つと、アウラちゃんもなにかしたいというので、片方をもってもらった。
 周りのみなさんはいち早く気がついていたようだが、アウラちゃんは、いつの時代かの娘のような雰囲気を感じる。見た目が似ているということも大きいが。


 アウラちゃんが畑と畑の垣根になっている桜の木からチェリーをみんなに摘んでくれる。

 ブルーベリーがすぐ脇の草木のあいだに無尽蔵に自生しているので、大概の野山にわけいると、いつでも食べれる。

 サナトリウムへの高速は、所々ディズニーのような岩が剥き出していて、助手席で指摘すると、フィンランドの国土はほとんど岩盤でできているという。
 どうりでフィーリングやバイブスの相性がいいわけだ。
 UFOの上にいるようなものだろう。
 雨は降ったり止んだりを繰り返す。夏は大概そんな感じのようだ。

 だいぶ走って、側道に出る。
 アアルトのサナトリウムに近づいたようで、近くのスーパーマーケットで、食材の買い出し。
 見慣れない大きな野菜がいっぱいあったり、チーズとソーセージコーナーが充実している。   
 フィンランドはほぼ電子決済のようで、現金はあまり持ってないらしい。

 小さなAIの宅配ロボットみたいなのが、道路を普通に自動で、走ったりしている。
 日本ではまだみない光景だ。
 
 どこまでもずっと高原で、大自然のなかをAIロボットが走る。好きなバランスだ。テスラの数も、日本よりたくさん走ってる印象だ。

 カヤさんの車のフロントガラスは、結構大胆にヒビがはいっているが、フィンランドではあるあるらしく、トラックなどが跳ねた石などがあたったのだという。

 もうちょっと走ると、松林のなかに不意にアアルトが姿をあらわす。
 ぼくは、どこに行くにもあまり下調べしないので、アアルトがどんな建築家なのかも、ほとんどノータッチで、ここに辿り着いた。


 それぞれの部屋をルームツアーしていくと、ぼくの部屋がみなさんと離れた6のエリアにあるのがわかる。
 みんなでみにいくと、入口のドアがとても美しくて、よくみるとMANTYLAと書かれていて、瞬間的にマントラが思い浮かんだ。


 聞くとMANTYは松という意味だそうで、マントラ(真言)は、松果体から発せられる言霊という宇宙コンピュータのアルゴリズムのチューニングコードのようなものだとおもうので、6(第6チャクラ=第3の目⇨松果体)という数字もふくめピンとくる。

 部屋にはいるとキッチンがあり、シングルの簡易ベッドが2組、壁に、仮眠用でもあるような姿で、病室のような空気感もあり、サナトリウムの時代を垣間見る。
 家具や食器などはアアルトのものが随所に使われていて、いいコンセプトだと感じる。

 先に見た棟にはキッチンがなく、6をみんなの食事部屋にするほうがいいだろうということになる。
 イッコさんの1人部屋が、2人ずつ寝れる個人部屋が4つある構造だった(他もやたら部屋数が多く広い)ので、4つのうちの1部屋に寝ることに決まる。

 キッチンから手早く美味しく出されるフィンランドの定番料理などをつまみながら、明日の仕込みがされていくなか、ドライブのつづきの、いろんなおしゃべりをする。
 カヤさんのダンナさんのパタニさんや子どもたちも訪れる。みんな日本語がうまい。
 子どもたちとはアニメの話しを少しする。

 松林の中で、肺炎患者を中心に治療していたというサナトリウムは、生死の境目に向きあう施設であり、全面の松につつまれ、松果体の中枢のようなポジショニングにサナトリウムが置かれ、自然のマントラ(MANTY)の響きのなかで過ごす意味が、浮きあがってくる。

 この地上には、実は過去も未来もない、死と生は分かれてなくて、同時にある、ということを、宇宙との共同作業のようにインスピレーションとして受け取ったアアルトの、全地球人の主題にもなりえるテーマが、このサナトリウムと松のポジショニングに、知ってか知らずか、盛り込まれていることを、直感する。

 この重要な設計の地で、新しくはじめられたODENというアンビエントフェスは、8月3日のライオンズゲートの真っ只中ということもあり、シリウスと太陽と地球が一直線に並ぶのを、おでん串のヴィジョンに結びつけ、タイトルにしたそうだ。


 聞いたところによると、フィンランドの、アンビエント界隈のスターがそろったフェスらしく、出番も着くまで聞かなかったが、最後のシメと聞いて、不思議な気分になった。

 ヨーロッパでは、初となるLIVEのはじまりがこの地になった意味が、翌日の本番を迎えると、より実感されていった。

 北海道で2人展をしている福太郎さんからLINEで、ばななさんの「ミトンとふびん」を読んでいるとヘルシンキがでてきて、パラレルフロウを感じましたとメッセージがくる。
 たしかにそうだった。


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