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「カラスの道しるべ」-エッセイ


カラスと聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
不気味で不吉な鳥、あるいはゴミを漁る迷惑な存在でしょうか。
そういったネガティブな印象を持つ方も多いかもしれません。
あるいは、カラスには人間の7歳程度の知能があると言われていることから、賢い鳥としての印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。

私にもカラスにまつわる忘れられない思い出があります。
子どもの頃、私は方向音痴で、何度か通ったはずの実家の墓地への道もなかなか覚えられませんでした。
ある日、自転車でお墓参りに出かけた際も案の定道に迷いました。そしてどういう訳か、カラスがよく鳴いていたという記憶を頼りに、カラスがたくさん飛んでいる方向を目指して進んでいったのです。
当然ながらその後さらに道に迷ってしまうことに……。

毎年お彼岸の季節になると母がこのエピソードを笑いながらを話すせいで、今でも鮮明に覚えています。
そんな恥ずかしい思い出をもつ私ですが、最近になって、カラスに関する興味深い話を知りました。

実は、日本には昔からカラスが道を示す賢い鳥として言い伝えられてきた歴史があったというのです。
八咫烏(やたがらす)という神聖なカラスの伝承がその代表ですが、道を示す役割を持っていたとされています。

そんな言い伝えを知ってから例の思い出を振り返ると、幼い私の判断もあながち間違っていなかったのでは?と思わなくもないですね(?)。

ところで、カラスには日本の八咫烏に関する伝承をはじめ、他にも世界にはさまざまな伝説や言い伝えがあるんです。
ここからは、いくつかの興味深いカラスの伝説をご紹介します。

日本の八咫烏

日本では、カラスは神聖な八咫烏として知られています。
三本足のこのカラスは、天照大神の使いとされ、岩戸隠れの際には重要な役割を果たしたという説もあります。
熊野三山の導き手としても崇められる八咫烏。道を示す賢い鳥としてのイメージは、カラスの知恵を象徴した伝説と呼べるでしょう。

中国の金烏

中国には「金烏」という伝説があります。
太陽の中に住む三本足のカラス、それが金烏です。太陽そのものが神聖なものと考えられており、金烏もまた神聖視されていました。天体に関わる重要な存在としても扱われていたようです。

ギリシャ神話のカラス

ギリシャ神話では、カラスはアポロンの使いとして重要なメッセージを伝えるという役割を担っていました。
また、アレキサンダー大王の東方遠征の際には、道を示す鳥としても登場します。
神々や英雄たちと深い関わりを持つカラス、その重要性は神話を通じて語り継がれています。
ここでも道案内役をしていたのが興味深いですね。

イギリスのアーサー王伝説

イギリスにもカラスにまつわる興味深い伝承があります。
魔法でカラスに変えられたアーサー王の話は、カラスを殺すことが不義であるとされていたことを示しています。
ロンドン塔に住むワタリガラスは、イギリスの歴史と文化の象徴とされています。

終わりに

カラスは、ただ不吉な鳥というだけではありません。
次にカラスを見かけたとき、その黒い羽の向こうに広がる豊かな伝説の世界に思いを馳せてみてください。
カラスが今までとは違った存在に見えてくるかもしれません。

〜50音でつづるエッセイ〜
久々に「か」から始まるテーマでお送りします♪

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