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右城松風堂/田村太一さん

2023年10月6日&13日放送

 今回のお客様は、四万十市中村小姓町にある老舗菓子店「右城松風堂」の四代目、田村太一さんです!

■ 田村太一さん
高知市出身。高校卒業後、東京の大学に進学。「いつかは高知へ帰りたい」という思いを持ちつつ東京で働いていました。2017年、子どもが生まれるタイミングでUターンを決意し、母親が社長を務める「右城松風堂」へ入社!現在は四代目として、昔ながらの味を守りながら新しい商品の開発などにもチャレンジしています。

〔 番組収録風景 〕

▶ 筏羊羹で有名な右城松風堂!

 旧中村市小姓町に暖簾を掲げて100年以上の歴史を持つ「右城松風堂」は、田村さんの曽祖父が弟と共に立ち上げた老舗菓子店で、その後、祖父(二代目)、母(三代目)と継承され、田村さんが四代目当主となります。

 看板商品は高知県民なら誰もが知っている【筏羊羹】です!その昔、四万十川では上流域で切り出した材木を筏に組んで下流へと運搬しており、その懐かしい風情を郷土菓子に仕立てたのがこの商品。「♪ 筏羊羹 中村名物、ほんに嬉しい 良い味、香り~」のCMソングでも有名ですよね。

 70年近い歴史を持つ【筏羊羹】は原材料にこだわり、北海道産小豆と、伝統的な手法で製造されている岐阜県産の糸寒天を使用しています。

 製造方法は昔のまま。大きな鍋に、水で戻した糸寒天と、小豆を炊き上げて作った生餡などを入れてかき混ぜ、これを小さな鍋に移し替えて、筏を模した筒に流し込んでいくのですが、なんと驚くことに「99%手作業」なんだそうです!

〔 これは匠の技! 〕

 その後、およそ一日かけて冷却したら次は包装作業です。
羊羹が詰まった筒状の商品にフィルムを巻き、筏の要領で両端を結んでいくとお馴染みの【筏羊羹】が完成!多い日には一日に千本製造するそうです。

 【筏羊羹】を上手に食べるには、フィルムに入った切れ目から半分ほど剥がし、あとは下から押し出すようにするのがポイント。およそ70年変わらない味の四万十銘菓をぜひ召し上がれ!

〔 なんだか無性に食べたくなりました♪ 〕

▶ まさか「右城松風堂」で働くとは?

 高知市で生まれ育った田村さん。母親の実家である「右城松風堂」は、田舎のおじいちゃん・おばあちゃん家という感覚だったそうで、自分が跡を継ぐなんて夢に思わなかったそうです。

 大学進学で東京に出て、そのまま東京で就職。いくつかの職場を経験しますが、その中のひとつにチョコレートのオーナメントを製造販売する会社があり、田村さんは営業職をしながら繁忙期にはチョコレートの製造にも取り組んでいたそうです。洋菓子と和菓子の違いはあれど、今に繋がる菓子製造の現場を経験していたんですね。

 その後、子どもが生まれるタイミングで高知へのUターンを考え始めるようになります。理由の一つは「子どもを育てる環境としてはやはり高知がいい」と思ったこと。そしてもう一つは、右城松風堂の三代目として店を切り盛りしていた母親の「誰も継がなかったら店を畳もうと思う」という言葉でした。長年愛されてきた「右城松風堂」が無くなるのは嫌だと感じた田村さんは、2017年、高知に戻って四代目になることを決意するのでした。

〔 創業100年の歴史ある佇まい 〕

▶ 地元に根ざした商品づくり

 「右城松風堂」の商品は【筏羊羹】に代表されるように、地元・四万十市をイメージさせるものばかりです。


 まずは、清流・四万十川で優雅に泳ぐ鮎をモチーフにした【鮎最中】
「大鮎最中」と「小鮎最中」の2種類があり、「大鮎最中」には北海道産小豆の粒餡と優しい口あたりの求肥餅が、「小鮎最中」には四万十名物である青のりを混ぜ込んだ白餡が入っています。

〔 鮎最中 〕



 次は、四万十市中村出身の思想家・幸徳秋水にちなんだ【秋水餅】
右城松風堂の店舗が明治の自由民権運動家が議論し合った「中村自由亭」の跡地にあることに因んだ菓子で、もち米に味を付けたふやきに餡と求肥餅をはさんだ商品です。

〔 秋水餅 〕



 もう一つは、土佐の小京都・中村を菓子で表現した【小京都 中村】
応仁の乱が起きた際に、京都から下向した一条教房公によって繁栄の礎が築かれたことから「土佐の小京都」と呼ばれる旧中村市。小京都の面影を古来からの製法に求め、干菓子として仕上げたのがこの商品で、香ばしくさっくりと焼き上げた煎餅にはほのかな黒砂糖の甘味が感じられます。

〔 小京都 中村 〕


 【筏羊羹】は高知龍馬空港、JR高知駅、道の駅などでお買い求めいただけますが、それ以外の商品は基本的に店頭販売のみとなっています。

『 有限会社右城松風堂 』
【住 所】  四万十市中村小姓町5
【営業時間】 午前8時~午後6時30分
【定休日】  なし(元日のみ休業)
【お問合せ】 0880-34-6161


 なお一部商品は、デザイン協力していただいている「Ban Design Studio」が手がけるオンラインショップ「おいしいデザイン商店」でも取り扱っています。四万十の味を届けるギフトにピッタリですので、ぜひチェックを!

〔 おいしいデザイン商店で販売中! 〕

▶ 新作商品の開発も!

 「右城松風堂」の四代目として、【筏羊羹】や【鮎最中】など昔ながらの味を守っている田村さん。その一方で新作商品の開発にも取り組みました。
その商品が … 【ようかんまる】!店自慢の羊羹をもっと気軽に食べてもらいたいとの想いから、ひとつぶ羊羹の中に四万十栗のペーストを入れ、一つ一つ個包装しました。

 羊羹を小さくするのに使ったのが、前職であるチョコレートオーナメント会社で使っていた道具だったそうで、これを使うことで思っていたとおりの大きさ・形の一口羊羹ができたんだとか。その後、周囲の方と相談した末に四万十名物の栗のペーストを入れてみたところ、餡子と栗の絶品スイーツが完成!【ようかんまる】として売り出すことになりました。

〔 これが噂のようかんまる♪ 〕

 すんなりとイメージどおりの商品が出来たのですが、その後じっくりと時間をかけたのがパッケージ等のデザイン戦略でした。

 パッケージ等を担当したのは東京のデザイン会社「Ban Design Studio」の坂東真奈さん。高知の著名なデザイナー梅原真さんに師事し、高知・宮﨑・鳥取・秋田などローカルのプロジェクトを担当したあと独立。父親が土佐、母親が江戸という、高知と東京の“ハーフ”のデザイナーさんです。

 商品パッケージは、車の中や旅先でも食べやすいように細長いスリーブ箱を採用。【ようかんまる】という和風でカワイイ商品名と相まって、お出かけのリュックの中に入れておきたい素敵な商品が完成しました。
 四万十観光のお土産にはもちろん、お腹が空いたときの甘味として、また山歩きやスポーツのあとの糖分補給としても召し上がっていただきたい商品になっています。一度食べたらもうヤミツキですよ♪

▶ 地元のお祭りにも参加!

 田村さんは「中村商工会議所」にも所属していて、青年部の活動を中心に取り組んでいます。2022年度は「みんなで祭向上委員会」の委員長も経験。四万十市を盛り上げるイベントを仕掛けてきました。

 この秋のお祭りをご紹介します!

『 たのしまんとリバーフェスティバル 』
【日時】令和5年10月29日(日)
【場所】四万十川キャンプ場
【内容】地元商店によるマルシェ出店
    高校生による押し花
    ダンススクールによるダンス披露
    GO GO ちびチャリレース など

〔 GO GO ちびチャリ 〕

『 一條大祭 』
【日時】令和5年11月22日(水)~24日(金)
【場所】一條神社 ほか
【内容】提灯行列・宵宮祭(11/22)
    奉納神楽・稚児行列(11/23)
    出店も並んでお祭りムード満点です!

〔 いちじょうさんとして親しまれる一條神社 〕

▶ 今後の夢は?

 100年を超える歴史を持つ「右城松風堂」を継承した田村さんですが、暖簾を守るプレッシャーは露ほども感じさせず、飄々と自然体で向かい合っている印象です。そこには、多くの方から愛される「右城松風堂」の仕事に大きなやり甲斐を感じ、それを楽しもうとするポジティブな考えがあるのではないでしょうか?


 最後に田村さんの今後の夢を伺いました。

■ 代替わりするときまで今の店を安定的に続けていく!
■ 機会があれば海外にも商品を出してみたい!



 老舗の当主を継ぎながら、肩肘張らずにのんびりと構えている田村さん。
きっとこの先も「昔ながらの味を守ること」と「自らの感性を生かして時代に合った商品をつくること」を両立されていくことと思います。
飾らず、悠久の流れに身を任せるスタイルは、さながら四万十川のよう。
これからも、変わらず其処にある安心感を発揮してくれそうです♪

【 放送プレイバック 】📻✨
★ 10月06日(金)放送 ⇒ 
コチラ から!
★ 10月13日(金)放送 ⇒ 
コチラ から!

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