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【独立・起業のリアル】<序の章 No.19>私の起業の軌跡 一、証券会社勤務時代から起業するまで
高校を卒業した私は、一九六二(昭和三十七)年三月、上京して大手証券会社に入社しました。入社式当日に言い渡されたのは、神田支店勤務でした。
ただ漠然と、本社でバリバリと働くイメージだったことや、同じ学校から本社勤務になった者がいたことなどから、「なんで俺が支店に配属なんだ」と大変不満に思いましたが、この考えをすぐに改めることになります。
独身寮生活のなかで、同僚や先輩の日々の行動を見ているうちに、実は営業支店のほうが即戦力として、会社から期待されていると知り、仕事に邁進しました。
その後、私は大手証券会社支店勤務を自分ではどうしようもない不条理に泣かされ退職し、中小企業勤務を経て脱サラし、事業経営や商売がどういうものかを理解しないまま、中小企業勤務時代に出入りしていた印刷会社の幹部社員と共同経営形式で起業しました。
それは大企業に勤め、中小企業も経験し、窮余の一策としての起業で、先ず小資本で起業できることが唯一の手段であったような起業でした。この期間の時代に、上司やパートナーを含め、周囲の人間関係から自分自身が味わった苦味や内に秘めてきた痛みは、枚挙に暇がないほどです。
転職した中小企業を辞して、共同経営形式で始めた印刷会社では私は立場上、専務取締役でナンバー2でしたが、資本金のほとんどを自分で集め、新規開拓で有力顧客を獲得し、黒字経営の基礎を築いた自負心をもって、頭のなかでは自分の会社として日夜業務に大車輪でした。
また、多くの紹介先を証券会社勤務時代のお客様からいただきました。紹介されて請け負った仕事は、名刺や原稿用紙の印刷といったどんな小さな仕事に対しても、必ず納期と品質を守ること、お得意先に途中経過を報告することなど、常にお得意先に安心を与えることに徹してきました。
それが脱サラした私への信頼を得るものと確信していましたからこそ、そのような当たり前のことをすべて自分事だと、徹底して取り組んできました。