第2章 第17話 親切心のカバとの出会い
ある暑い日、ガウデは森の川へ水を飲みに行った。川のほとりでは、動物たちがのんびりと涼んでいた。しかし、その中で、一匹の小さなリスが困った顔をしていた。
「うう……どうしよう……」
ガウデは心配になってリスに声をかけた。
「どうしたの?」
リスは不安そうに答えた。
「向こう岸に行きたいんだけど、水が深くて渡れないんだ。橋もないし、泳ぐのは苦手だし……。」
「うーん、どうしようかな……」
ガウデが考えていると、ドスン、ドスンと重い足音が聞こえた。
「困っているのかい?」
ゆっくりと近づいてきたのは、大きな体のカバだった。
「リスくん、向こう岸に行きたいんだって?」
カバは優しく微笑みながらリスを見つめた。
「僕の背中に乗りなよ。すぐに運んであげるよ。」
リスは驚いた様子で言った。
「えっ、いいの?そんなことしてくれるの?」
カバは静かに頷いた。
「もちろんさ。困っている仲間を助けるのは当たり前だろ?」
リスは恐る恐るカバの背中に乗り、カバはゆっくりと川を渡り始めた。
ガウデはその様子を見て、なんだか温かい気持ちになった。
リスが無事に向こう岸に着くと、嬉しそうにお礼を言った。
「ありがとう、カバさん!とっても助かったよ!」
しかし、カバはただ笑って「どういたしまして」と言っただけで、それ以上は何も言わなかった。
ガウデは不思議に思い、カバに尋ねた。
「ねぇ、カバさん。どうしてそんなに親切にできるの?お礼をもらいたいとは思わないの?」
カバは穏やかに答えた。
「本当の親切っていうのはね、見返りを求めるものじゃないんだよ。困っている仲間を助けること自体が、僕にとっての喜びだからさ。」
ガウデはハッとした。
「僕、今まで『親切にしたら感謝されるべき』って思ってたかもしれない……。」
カバは優しく微笑みながら言った。
「本当の親切は、相手のためを思って行動すること。それだけで十分なんだよ。」
その後、ガウデは森の中で困っている仲間たちを見つけるたびに、何かできることはないかと考えるようになった。
木の実を集めているリスを手伝ったり、道に迷ったウサギを案内したり――。
「ありがとう!」
仲間たちの笑顔を見て、ガウデはカバの言葉を思い出した。
「本当の親切って、こういうことなんだな。」
ガウデの心は、いつもより少し温かくなった。
その夜、ガウデはカバにお礼を伝えた。
「カバさん、ありがとう。僕も、もっと自然に親切にできるようになりたい!」
カバはゆっくりと頷きながら言った。
「ガウデ、親切は小さなことからでいいんだよ。大切なのは、相手のことを思いやる心さ。」
ガウデは深く頷いた。
「これからは、もっと仲間たちのことを考えて行動するよ!」
夜風が森を吹き抜け、ガウデの心は優しさで満たされていた。
次回「大局観」 次なる冒険への期待を胸に、ガウデの学びは続いていく。
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