実家を買うか貰うか借りるか① ~「買う」の話~
貸家にするに際して、実家を私が購入するのか、父から私への贈与という形にするのか、父の所有のままで活用を請け負うのか、という選択肢があります。どの選択肢が良いのか、果たしてそれらが可能かどうか、判断しかねます。また自分勝手な話ですが、自分の金銭的負担は軽くしたいものです。
まずは、実家を購入する場合について検討すべく、インターネットで調べてみました。
親所有の家を子が購入することを「親子間売買」といいます。親子の間での取引ですから、市場価格よりも低い譲渡価格で取引したとしても、お互いに納得していたら良いのです。しかし、余りに低過ぎると税務署に「みなし贈与」と判断されて、市場価格と譲渡価格との差額について子に贈与税と共に課徴金も課されることになります。
「みなし贈与」と判断されない価格設定については、2007年の東京地裁の判例により、時価の約8割で設定されている相続税評価額(=路線価)以上での売買は、相続税法で言う「著しく低い」譲渡には当たらない、とされています。
ただ、それは土地・建物込みで売買する場合の話です。先日、弟が相談した不動産屋の査定では、土地が4,000万円で建物は0でした。金融機関から借り入れるにしても、土地の購入費用までは出ないと思われ、建物のみを購入したいと考えます。
この場合の建物の適正な価格が分かりません。
不動産屋を通すと適正な価格を設定してもらえる、と不動産サイトに記述があったので、弟が相談した不動産屋に行きました。
「先日こちらで査定してもらった戸建ての件で相談したい」と言うと、売却の話かと思われたようですが、「建物だけを私が買う場合の価格を教えて欲しい」と言うと、計算方法は様々あるとのことで、「司法書士や税理士に聞いてみるので2週間下さい」とのこと。参考資料として固定資産税の通知書の他、実家の図面等を提示したところ、「小回りの利く工務店があるので、次の時に屋根の補修と外壁塗装工事の見積書も用意します」「次の時は工務店も一緒に家の中を見ましょう」との申し出があったので、お願いして帰りました。
約束の日に店頭を訪ねると、そのまま営業車で実家に連れて行かれ、玄関先で待機していた工務店の代表に引き合わされました。その方が家の中を見て回る間に、不動産屋の担当者は手書きのメモを出し、おかしな計算の説明をしました;
1つ目の計算は;
査定価格4,000万円-路線価で計算した3,500万円 = 建物500万円
2つ目の計算は;
査定価格4,000万円÷固定資産税課税標準額(土地1,400万円+建物700万円)≒2、
ゆえに
査定価格4,000万円-(同課税標準額の土地1,400万円× 2) = 建物1,200万円
1つ目の計算にある路線価で計算した3,500万円は、上述したように親子間売買の際の土地・建物込みの適正価格の下限です。市場価格である査定価格との差額を持ち出す意味が分かりません。
2つ目の計算については、持ち出した数字が間違っていました。固定資産税の通知書にある1,400万円は土地の"都市計画税課税標準額"で、700万円は"土地"の固定資産税課税標準額です。別の欄には、固定資産税評価額の土地3,000万円と家屋350万円の記載があります。計算に用いるなら、こちらの数字です。
疑問をぶつけると、担当者は「計算方法はいろいろあるので、どうにでもなります」と答えました。それでは「売りたい価格になるように計算している」と言っているようなものです。そもそも司法書士や税理士に聞いてみるという話はどこに行ったのでしょう。
もやもやした気分を顔には出さず、屋根の補修と外壁塗装工事の見積書を受け取って帰りました。後日、工務店から内装リフォームの見積書が送られてきます。
往復3時間も掛けて、時間を無駄にしたようです。資産価値0の家だけの親子間売買を仲介する仕事は、不動産屋にとっては仲介手数料が微々たる旨味のない仕事だったのでしょう。
不動産屋から受け取った外装工事の見積書にも二重計上の凡ミスがありました。工務店も頼りないですが、預かった見積書を確認もせずに渡す不動産屋の担当者もどうかと思いました。
主人にその話をしたところ、後日、会社で法令を調べて来てくれました。率直な話、建物だけを購入するなら0円でも良いのかもしれないけれど、固定資産税評価額350万円が妥当ではないか、とのこと。
主人の方が不動産屋よりも役に立ちました。
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