BLWがもたらした『すっぱい』の気づき――トマトから学ぶ子どもの言語発達
最近、娘がトマトを食べたときに『すっぱい』と言いました。その一言が、私にとってとても大きな気づきとなりました。普段は何気ない反応に過ぎないかもしれませんが、この瞬間を通じて、BLW(Baby Led Weaning)がどれだけ子どもの認識や言葉の発達に影響を与えているのかを実感しました。
その日、私はスーパーでトマトを買ってきました。
野菜の高騰でトマトを買うか悩む日が続いているんですが、その日は箱で300円で売っていたんです。
久しぶりに娘にトマトを食べさせよう、ミートソース作ったり、サラダにしたり、ハヤシライスにしたり…娘に食べさせたいものを考えながらトマトの箱を手に取りました。
その日の夕飯はトマトをたっぷり乗せたサラダにすることにし、娘にも大人と同じようにトマトを提供しました。
娘はトマトを一口かじり、『すっぱい!』と言ったのです。最初は何気なく聞き流してしまいそうでしたが、ふと気づいたことがありました。
私は『具体⇒抽象化』のプロセスだと気が付いたのです。
具体的な食材(トマト)を食べ、その特徴(すっぱい)を感じ取ったことで、娘は『トマト=すっぱい』という抽象的な概念を理解したのだと。
これこそが、言語教育における大切なステップだと感じました。
モンテッソーリ教育の言語教育における言葉の獲得プロセス
直接体験(食べる、見る、触る、嗅ぐ)です。直接体験である具体から、写真や絵などの半抽象、抽象的な「ことば」へと進むことで思考の道具としての「ことば」が獲得されるのです。
「ことば」を獲得することにより、人から聞いた話や本に書いてあることを読んでイメージしたり、そこから得た情報をもとに考えたり、知識を得ることもできます。
だから、モンテッソーリ教育では、この直接体験をスタートとして、言語教育が行われます。
例えば、娘が「トマトはすっぱい」と言ったとき、最初は「トマト」と「すっぱい」という具体的な経験を元にした言葉を使っていますが、その後他の果物や食べ物を食べたときにも「すっぱい」と感じれば、次第に「すっぱい」という味の特徴を「トマトだけではなく他のものにも当てはまるもの」として理解するようになります。このように、具体的な事例から言葉や概念を抽象化していくわけです。
BLWのアプローチ
BLW(Baby Led Weaning)はつい「手づかみたべ」という手段に注目を浴びがちですが、「子供が自らの意思」で「自ら体験する」し、食べる力を伸ばすことが理念です。つまり、子どもの原体験が子どもの学びに大きな影響を与えるのです。
従来の離乳食では、トマトをすりつぶしたり、細かく切ったりすることで、子どもが食べるのはあくまで加工されたもの。これでは、トマトそのものの形や色、質感、味を「そのまま」感じる機会が減り、食べ物がどんなものか、どんな特徴があるかを深く理解することが難しくなります。例えば、「トマト=すっぱい」という具体的な味覚の認識をする前に、ただ「すりつぶしたもの」「細かく切ったもの」を食べているだけだと、味に対する認識も少し曖昧になってしまうかもしれません。
一方で、BLWでは基本的にアレンジを加えることが少なく、食材の形状をそのままにして子どもに与えることが多いです。トマトを見て、触れて、食べるという体験が可能になります。トマトの皮の質感や、切った時に出る中身、そしてそのトマトが持つ「すっぱい」という味を、直接的に感じることができます。これにより、子どもは食材をそのままの形で認識し、味や食感の特徴をより具体的に把握しやすくなるのです。
まとめ
娘が「トマトはすっぱい」と言ったのは、まさにそのトマトを「そのまま」の状態で体験したことによって、トマトの特徴を抽象化した結果だと思ったのです。
BLWを実践することで、娘は食べ物をただの『食べ物』としてではなく、形や質感、味の特徴として認識し始めているように感じます。これは言語発達にも大きな影響を与えていると実感しています。食べ物をそのまま手で触れ、食べることで、味覚だけでなく、視覚や触覚も活性化され、その情報を言葉で表現する力が育まれているのだと思います。
さいごに
この気づきを通じて、BLWが子どもの成長にどれほど影響を与えるか、改めて感じました。今後も娘の食事の時間を、もっと意識的に楽しみながら、言葉や認識の発達をサポートしていきたいと思います。
皆さんのお子さんは、どんな食べ物を通して『言葉』を覚えましたか?
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