
オーピーと不登校 (1)



オーピーは今小学2年生である。
学校はほぼ行っている。
遅刻度100%。
週の半分は早退。
って感じ。
地域によって学校のサポート制度が色々違うと思うが、オーピーの住む地域の学校には学校内に通級というものがあり(支援級が必要か必要でないか微妙な生徒、いわゆるグレーゾーンの生徒のサポートをしてくれるシステム、とスースは理解している)、オーピーは週に1回、1時間通級を2学期から利用している。
「もう学校に行きたくない。」
とオーピーが言い出したのは2年生に進級して割とすぐの事だった。
『あー、、とうとうきたか、この時が、、。』
とまずスースは思った。
幼稚園の時も、1年生の時も、オーピーのギリギリで踏ん張ってる感をスースはなんとなく感じとっていた。
楽しい事もあるけどしんどいことも沢山ある、まだ少しだけ楽しい事の方が多いから頑張ってるって感じ。
1年生の3学期のある日、今まで見た事がない様な暗い顔をして学校から帰ってきたオーピー。
「どうしたの?大丈夫?」
とスースが尋ねると、
「みんなの声がうるさ過ぎて嫌だ。」
と。
『急に?!それとも今までずっと我慢してた?』
困惑するスースに学校から電話が。
「今日お掃除の時間にオーピーくんが廊下で耳を塞いでうずくまっていて、、、」
と担任の先生。
「どうしたの?ってきくと、うるさ過ぎて嫌って言っていたんです。しばらくしたら落ちついたんですが、気になったのでお母さんにお知らせしておいた方がいいと思って。」
「それから、実はオーピーくん最近、私の側を離れたくないようで、給食も休み時間も「先生と一緒がいい!」と言っているんです。」
「え!!!そうなんですか??うわ〜、、すいません先生、、、。」
甘えん坊オーピーを学校でも発揮していたとは驚いた。
「いえいえ!私は全然いいんです!お母さんと情報共有しといた方がいいなあ〜と思ったので。オーピーくん何か不安があるのかなあ〜?と私は考えています。」
それから先生と相談して、イヤーマフを学校に持って行く事にした。それでしばらく様子をみましょうと。
イヤーマフは音に敏感なキャノンもずっと使っているので、スースもオーピーにも馴染みのある代物だった。
早速、オーピーに
「音が気になるならキャノンみたいにイヤーマフ使ってみる?」
と尋ねると、オーピーの表情が少し明るくなった。
「どの色がいいかな??」
Amazonのサイトを見せる。
オーピーは、赤色が大好きなオーピーにしては珍しく、スカイブルーのイヤーマフを選んだ。
オーピーが先生に甘えたおしていることは、なんとなく、オーピーにきかない方がいいかも、、と思って触れなかった。
今思うと、それがパンドラの箱の蓋に手をかけてしまうようで面倒だっただけかもしれない。
イヤーマフを導入してからオーピーは学校にいる間中イヤーマフを装着している様だった。
先生にべったりは結局2年生に進級するまで続いた。
2年生になったある日、
「もう学校行きたくない。」
と、それはそれは悲しそうに辛そうにシクシク泣くオーピーの姿を見て、スースはどうしても「頑張れ」とは言えなかった。
イヤーマフをして、先生を執着と呼べるほど心の拠り所ににして、そんな風にして自分なりに踏ん張って頑張っていたオーピーに、これ以上頑張れなんてどうしても言えなかった。
泣くほど辛い事、させる必要ある?とも思ったし、そこまでしてオーピーを学校に通わせる理由がスースには見つけられなかった。
「ほんなら今日は休もうか!」
こうしてあっさりオーピーの不登校がスタートした。