強みと弱みを評価する際に見落としがちなポイントとその対策
雨が残って走りに行けないので、今日も昼休みを使って投稿します。
この記事のまとめ
この記事を読むことで、以下の3つのポイントを身につけることができます:
①強み・弱みの評価で見落としやすい「バイアス」について理解する
②隠れた弱点を発見し、予防するための具体的な方法を知る
③強みを過信しないためのリスクマネジメント思考を取り入れる
事業戦略やプロジェクトを進める際、まず最初に行うのが自社(もしくは自分自身)の強みや弱みの把握です。しかし、強みと弱みの分析が不完全であれば、重要なポイントを見落とし、最終的には戦略全体が失敗に終わる可能性もあります。そこで今回は、特に見落とされがちなポイントに焦点を当て、正確な強みと弱みを見極めるための方法を解説します。
その①:強み・弱みの評価には「バイアス」が存在する
強みと弱みの評価には、どうしても主観的なバイアスが入りがちです。例えば、長年同じ職場にいると「自分たちのやり方が正しい」という思い込みが生じ、その結果、外部環境や競合他社の強みを過小評価してしまうことがあります。これを防ぐためには、外部視点を取り入れることが必要です。
見落としがちなポイント:内部と外部の認識の差
経営学者のリチャード・ルメルト(Richard Rumelt)は、戦略における「マインドセット・トラップ」を提唱しています。彼は、企業が自社の強みや弱みを考える際、内部の認識と外部の評価が乖離してしまうことを指摘しています。例えば、ある企業が「当社は製品の品質が高い」と強みを認識していたとしても、実際には顧客は「コストパフォーマンスが悪い」と評価しているかもしれません。これが「マインドセット・トラップ」です。
解決策:外部の意見を積極的に取り入れる
この問題を解決するためには、外部の意見や評価を積極的に収集することが重要です。具体的には、以下の手法を取り入れてみましょう。
• 顧客アンケートの実施
自社製品やサービスについて、定期的に顧客アンケートを行い、強みや弱みの評価を外部視点から把握します。
• 競合分析
自社を競合他社と比較し、自社の特徴やポジショニングを客観的に理解します。特に、競合の弱みとされている部分が、自社にとってのチャンスとなり得るかどうかを検討することが大切です。
• 第三者評価の活用
コンサルタントや業界の専門家に意見を求め、内部では気づけなかった「盲点」を見つけることも効果的です。
その②:強みを過信すると「弱点」に変わるリスク
もう一つ見落とされがちなのが、「強みを過信しすぎることによって弱点に変わる」リスクです。例えば、「当社は高品質を強みとしている」と思い込んでいる企業が、高品質を維持するために開発期間やコストをかけすぎた結果、市場で競争力を失うというケースもあります。
見落としがちなポイント:強みの「裏側」にある脆弱性
オランダの戦略コンサルタント、マイケル・ウィドン(Michael Widon)は、「強みは過度に依存されると弱みになる」という概念を提唱しています。彼は、多くの企業が自分たちの強みを誇示し続けることに集中し、その結果、他の重要な側面(例えば、コスト効率やイノベーション)を軽視してしまうことを指摘しています。
解決策:強みを定期的に見直し、柔軟に戦略を調整する
強みを弱みに変えないためには、以下の対策を講じることが重要です。
• 強みの「棚卸し」を定期的に行う
強みを定期的に振り返り、その競争優位性が依然として市場で有効かどうかを確認します。また、その強みが過度に強調されていないかを検討し、バランスを取ることも重要です。
• 強みの「多角化」
一つの強みに依存しすぎないよう、複数の強みを育成し、状況に応じて柔軟に使い分ける戦略を採用します。これにより、一つの強みが脆弱化した場合でも、他の強みを活かして補完することができます。
その③:弱みを「成長のチャンス」と捉える
最後に、弱みの評価において「改善不可能」と判断してしまうことが、もう一つの見落としがちなポイントです。弱みは、見方を変えれば「成長のチャンス」と捉えることができます。
見落としがちなポイント:弱みを「隠す」戦略の弊害
多くの企業が、自社の弱みを「隠す」か「無視」する傾向にあります。しかし、これでは問題が根本的に解決されず、むしろ競合に突かれるリスクが高まります。例えば、ある企業が「当社はIT技術が弱い」と認識していたとしても、その問題を隠しておくと、デジタル化が進んだ市場で競争力を失いかねません。
解決策:弱みを積極的に開示し、改善する
弱みを隠すのではなく、積極的に開示し、改善のための計画を立てることが重要です。具体的には以下の方法を検討してみましょう。
• パートナーシップの活用
自社の弱みを補完してくれる企業や専門家と提携し、共同で成長戦略を描きます。例えば、IT技術が弱い企業は、外部のITコンサルタントと協力し、デジタル化の基盤を強化することが考えられます。
• 教育・研修プログラムの導入
自社の従業員に対して、弱みを補うための教育や研修を提供し、組織全体として弱みを克服する体制を整えます。
まとめ:強みと弱みを正しく理解し、戦略に活かすために
強みと弱みの評価は、主観的なバイアスや思い込みによって見誤られやすいものです。そのため、外部の視点を積極的に取り入れ、強みを過信せず、弱みを成長のチャンスとして捉える姿勢が求められます。これらを意識することで、現状を正しく理解し、より効果的な戦略を描くことができるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!