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【骨董のある暮らし①】 日常を味わう、楽しむ。

私のここ10年のライフワークとして、ご近所でアンティークショップを営んでいた店主の知識をコンテンツ化するというものがあります。というか、10年がすぎて、やっと「これはコンテンツ化していかなくちゃ」という心境に至りました。
まだまだ、全然形になっていませんが。
店主は西洋東洋問わず器が大好きで、社会人になってからずっと給料を全部骨董買いにつぎ込んできたような方。あまりのコレクション量に収納場所がなくなり、ついにはお店をオープンしてしまったという経緯があります。
でも年齢を重ね、お店の経営を続けることも難しくなってきました(体力的に物理的に)。そして、そろそろ人生の集大成として、「集めたものを人に受け継いでいく」という作業に入ろうとしているわけで。
私が依頼されたのは、それらを「人に受け継いでいくための作業」を手伝って欲しいということでした。
コツコツと作業を続けています。
その合間に、あれこれ見せてもらう骨董は本当に素敵で美しく。そういう「こぼれ出た知識」でさえ、少しずつ拾っていきたい。

■古伊万里の上手。花唐草。

今回見せてもらったのは、江戸中期の古伊万里焼。江戸時代の焼き物は時代によって全く性質も評価も変わるらしく。制作年代はとても大切だそうです。江戸中期といえば、元禄時代前後かな(すいません適当で)。
日本人にとって最も親しみのある藍色を使って、唐草模様を描いた飯碗。花と唐草を一緒に描くのは江戸時代前半までで、後期になると唐草オンリーになるため、花模様があることがポイントになります。
上手と言われる「お客様用の食器」は、普段は大切にしまっておいて、ここぞという時に使うもの。
これを、店主は日常的に食卓に並べます。
大切に大切に、傷つけないように気をつけながら、普段のご飯をいただく。日常の食卓に潜むこの上ない贅沢。


■その姿勢、その生き方


日常に使うものにこそいいものを。それが店主の姿勢です。
味気ないものでなんとなく食事をするのではなく、大切に使いたくなる歴史のあるもの、理由のあるもの、魅力のあるものを身近に置く。それが人生を豊かにしてくれる。
人生に、社会に、世界に「問い」を投げかけて、それに応えてくれるものを集める。
そういう姿勢を私は今こそ、学びたいなと思っています。


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