小さな四季の舞台
ーあれは何という名前だったか。ー
大がかりなイベント会場での、建物の壁にドカンと映し出されるような、派手な演出や物語のしっかり作り込まれた壮大なスケールのものではなく、私が今日、目にしたのは、とても小さな、水族館の一角の静かで地味な、
そう、あれは確か、プロジェクション・マッピング。
日本海に面したその土地の、海辺の風景を上から見てそのまま切り取ったような、波や山や岩がそのままリアルに映し出される不思議な舞台。
しばらく近くで見ていたら、その舞台にチラチラ白いものが舞い始め、それは見覚えのある日本海の冬景色になった。
次にやって来るのは色鮮やかな春。
海辺にチラチラ葉っぱも舞うような細かい仕掛けが素晴らしい。
そのうちに蛍がたくさん現れて、夜の闇と小さな蛍光色が映っていたかと思うと、突然ピカっと光って大きな雨粒が水面に当たり始め、それが過ぎると、真っ白な雲が水面に映り込むような真っ青な夏が来る。
予想していた通り、小さくて可愛い紅い葉が波間に散り始め、やがて来る冬を想起させながら風に舞っていく。
私はこういうものを創ろうと思う人の感性が素晴らしいと思う。人を楽しませようという気持ちと、この美しい景色を切り取って描こうという思い、そして何より、この土地を愛しているという思いが、美しい四季の移り変わりをより色濃く魅せてくれる。
現代のコンピュータや技術の進歩は凄まじいなという思いよりも先に、それを生み出そうとした人の、この土地や自然に対する畏敬の念と美しさへの憧れの思いに、私は心打たれる。
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