いつか失ってしまうのがこわいものほど
前回は櫻坂46さんの曲について書いたのですが、今日は長年愛してやまないPerfumeお姉さんの曲について(ガチオタやらせてもろてます、粒です)。
「いつか失ってしまうのが怖いものほど美しい」
この歌詞に出会ったのはPerfumeさんのアルバム、COSMIC EXPLORERが発売された2016年だった。
高校生になりたてで、得ることに必死で何かを失うことを考えたこともなかった頃。
いつか失うのが怖いものってきっと高価で、高尚で、なんかよくわからないけどすごいもので。
まだ若造のわたしにはしばらく到底縁のない歌詞だわ、と思っていた。
そして現在、22歳。
当時からそんなに成長していないけれど、わたしは常に失うことを恐れている。
失うことを恐れるほどのものって「なんかすごい」ものだと思っていたのに、今のわたしは普通に過ごしているこの「日常」を失うのが怖い。
別に何もすごくない、ごくごく地味なこの日常がなんとも愛おしいのだ。
ふとした時にアパートの窓から目に入る雪景色とか、誰かと何気ない話をする時間とか、何を話しているのか一向に理解できないけど耳に入ってくる誰かのフィンランド語とか。
日本に帰国したらこのありふれた風景はわたしの日常ではなくなってしまう。
今話しているこの人の日常からもわたしは消えてしまう。
遠い国の、かけ離れた、並大抵の努力ではもう二度と手がとどかないものになってしまう。
最近はそんなことを考えながらお散歩をしたり、ごはんを食べたり、勉強したりして生活している。
この普通とももうすぐさようならなんて信じられないなと思いながら、
予想よりも早く流れる時間に止まってよ〜と思いながら、生きている。
いつまでもどこまでもネガティブな人間である。
もともと非日常だったものをだんだんと日常にしていくのが留学の一つの醍醐味ではあるけれど、そうして日々を積み重ねるなかで一度手にしてしまったものを、自分になじませてしまったものを手放す心構えをするのにはこんなにもエネルギーを伴うのかと一人で悶々としている。
まだあと2ヶ月と少しあるのに、じりじりと近づいてくる「その時」を迎えるのが怖くてたまらない。
でも、終わりが見えているからこそすべてが美しく感じられるのかもしれない。
いつか失ってしまうのが怖いから美しいのか。
美しいからいつか失ってしまうのが怖いのか。
今のわたし的には圧倒的に前者だなと思う。
TOKIMEKI LIGHTSの歌詞を通してこの複雑な感情の切り取り方を与えてくれた中田ヤスタカさまがいる方角には一生足を向けて寝られない。
(それ抜きにしても一生足を向けて寝られないのはそれはそう。我々オタクにとっては様々な面で神すぎるので。)
わたしの場合どれだけ恐れていても近いうちに失うことは決定しているので、本来なら恐れを捨てて全力で今あるものをエンジョイすべきではあるんだろうけれど、
失ってしまうのが怖いからこそ享受できている美しさがあるのなら、もう少し怖がっていようかなぁとも思う。
ネガティブさゆえに手にした素敵な光景もあるよ。
オタクゆえに見えた世界もあるよ、という覚書でした。
おわり :)