16日目:システインを分解してH2Sを産生することは、ヒトの胃の中ではありふれている
論文自体は読んでいるものの、まとめるのをサボっている。これは今までの人生でよく見られてきたよくない傾向である。
眠い。左隣がうるさい。
Title
The Capacity to Produce Hydrogen Sulfide (H2S) via Cysteine Degradation Is Ubiquitous in the Human Gut Microbiome
Author
Xiaofang Jiang2
Mihai Pop1,3
Motivation
どんな課題や問題点を解決しようとしたのか?
硫化水素はいくつかの臓器から賛成され、ヒトの生理学的な機能に影響を及ぼすが、ヒトの腸内細菌が産生する硫化水素が全身にどのような影響を及ぼすのかはわかっていない。
既存の研究で足りないところはどこだったのか?
最初のステップとしてどの腸内細菌が硫化水素を産生するかを知る必要がある。硫酸還元菌は数が少ないし、メタン菌と共存することができない(オナラには硫化水素とメタンガスのどちらも含まれているのに)。一方で、多くの研究が無機硫黄化合物よりシステインの分解のほうが多量の硫化水素を出すことを示している。(Levine et al., 1998; Deng et al., 2015; Yao et al., 2018).
現在のところ、システイン分解による硫化水素の産生に関与する遺伝子について未解明な部分が多く、そのためシステイン分解による硫化水素と硫酸還元菌が産生している硫化水素の割合についてはよくわかっていない。
Method
どんな実験をしたか?なぜその実験設計でよいと仮定したか?
profile Hidden Markov Models(隠れマルコフモデル)を用いてシステインを経由して硫化水素を産生する酵素をプライマリー、セカンダリー、イロウニアスの3段階に分類した。
Insight
どんな結果が得られたのか?どんな条件だと上手くいって,どんな場合は上手くいかなかったのか?(リミテーションに近しい内容を書くのがいい?)
“primary” (dcyD, yhaM, mgl, sseA)
“secondary” (metC, malY, cysK, cysM, mccB)
“erroneous” (tnaA, iscS, mccA)
これらの遺伝子を持つ細菌が実際にシステインを代謝するかを実験的に確認したわけではない。さらに硫化水素産生にはさまざまな経路があるが、硫化水素を中間体や同化経路で使用しているのは含めてはならない。今回は異化経路の最終産物として出てくる硫化水素のみを対象にした。Eggerethella spp. と Gordonibacter spp.は硫酸還元菌であると報告されていたが、今回の研究で、上記の遺伝子を持つことが発見された。これらの菌が硫酸還元菌でないことを証明するためには更なる実証実験が必要である。
さらに、この研究ではすべてのUHGGを用いたわけではないし、これらのデータベースは西洋人のデータに偏っているため、漏らしている遺伝子があるかもしれない。メタゲノミクスは硫酸還元菌の相対存在量を過小評価している可能性がある。
新しくわかった知見はなにか?他のアプリケーションやシステムでも使えそうな知見は何か?
硫化水素産生は硫酸還元菌について着目されることが多かったが、システイン代謝を経由して硫化水素を産生する菌の相対量が多く、メタトランスクリプトームの結果よりこれに関与する遺伝子がよく発現していることがわかった。つまり、硫化水素が人体に与える影響を調べるための実験をデザインするとき、システイン代謝を行う菌により着目しなければならない。
CRC患者に関しては硫酸還元菌よりもシステイン代謝菌の方が多くみられ、硫化水素とCRCの関連を裏付ける結果となった。
Contribution summary
「[Author]は[Motivation]という課題のため,[Method]を行い,[Insight]がわかった.」”[Author] did [Method] to solve [Motivation] and found [Insight].
Domenick J. Bracciはヒトの腸内細菌が産生する硫化水素が全身にどのような影響を及ぼすのか調べるという課題のため、メタゲノムデータベースより隠れマルコフモデルを作成し、システイン代謝菌による硫化水素産生がCRCに重要であることがわかった。
追記:
Gasotransmitter:ガス伝達物質のこと。(神経伝達物質の一つ)一酸化窒素、一酸化炭素、硫化水素のみがガス伝達物質として認められている
be of 名詞:今まで何となく読み飛ばしてきたが、主語 be 名詞だと主語=名詞になるため、主語の性質を表すことができない。この不都合を避けるためにこのような表現を用いるらしい。be 形容詞よりお堅い表現。